選択三話 異世界の情報。
ガックり_| ̄|○
今回も私が選択しました。
やはり、無謀な挑戦だったな。でも続けよう。
「じゃあ、異世界観光をさせてください。」
「本当にそれで、良いのかしら?異世界勇者って面白そうだと思わない?」
どうやら、月の神カグヤ様は僕に勇者になって欲しい様だ。
しかし、僕はカグヤ様の意向を汲もうとはしない。・・・だってさ。異世界モノの小説をみると、勇者って苦行だと思うんだよね。まぁ、想像での話なのだから本当の所はわからないけれど、今こうしてお伽話かって感じで月の神カグヤと名乗る人の前に立っているわけだから、僕が思うファンタジー世界へと僕は足を踏み入れたって事だろうし、手違いでここに来た僕が勇者っていうのも何か違うと思うからだ。
「いえ。僕は異世界観光がしたいです。」
きっぱりと断る。
「う~ん。そうよね。仕方がないかな?」
独り言の様にカグヤ様はブツブツ言っておられるが、僕は敢えてそれをスルーする。
神様の都合なんて僕には関係ないからね。
「わかりました。では、異世界観光をして時間を潰して頂きましょう。リーちゃんこっちに着て頂戴。」
「・・・。」
返事が返ってこない。只の屍の様だ・・・。僕は心の中でツッコミを入れる。
「リーちゃん。もうお尻は痛くないでしょう?それとも追加をお望みかしら?」
カグヤ様は笑顔なのに、その後ろにはスタンド・般若が現れた。
何故か、その時のカグヤ様は香ばしいポーズへと変化しておられた。
「はい。ここに。」
シュッタという音と共に、リーちゃんは登場する。
頭を地面につけてザ・ジャパニーズ謝罪であるDoGeZaスタイル。
圧倒的権力と力を背景にした上下関係なのだろう。
背中はビッショリと汗ばんでいてシャツが背中にくっついている。
兎耳の横からは、タラ~リと流れる汗。目頭はウルウルと水分が溜まりを形成している。
「もう。リーちゃんは、そうやって最初からいう事を聞いてくれていたら、本当にいい子なのに。」
ボソッと、それでいて周りに聞こえる様に言うあたり、月の神カグヤ様の恐ろしさがわかるだろう。というモノだ。
「リーちゃん。茂さんが異世界観光をしたいとおっしゃるから、あの世界の事を説明してあげて。今とってもホットなあの世界を。」
「カグヤ様。本当にあの世界へと彼を送り込むおつもりですか?」
ナニヤラ、アヤシイクモユキナンデスガ、ダイジョブナノデショウカ?
僕の思考は、カタカナで構成されていく。不安の池に足のつま先から頭までどっぷり浸かっていくような不思議な感覚を味わう。
「ええ。仕方が無いですわ。茂さんがどうしても観光したいとおっしゃるのですもの?」
「か、かしこまりました。」
なぜ、そうも硬くなっていくのだ兎人よ?
ギギギという音を立てながら、兎人リーちゃんは僕の方へと向きなおす。
「あんたに・・・。」
「リーちゃん?」
「ゴホン。月の神カグヤ様からのご厚意により、茂さんには今から完工して頂く世界の事をご説明致します。」
途中で、カグヤ様からの鋭いリーちゃん呼びによって、リーちゃんはグーの手を口元にやりながら咳をする。額からは汗が流れている。そんなに暑くないはずだが?
「今からアン・・・茂さんに観光して頂く異世界は魔法が普及している世界です。そして、地球では中世ヨーロッパと呼ばれる時代の文明水準です。最近は異世界人が多く居り、場所によっては近代日本と変わらない場所もあるようですが、基本的には中世ヨーロッパレベルと思っていて問題ありません。ここまでで、質問はある・・・ありますか?」
最後でしくじりそうになるとは、修行が足りんな。とツッコミを入れたい所をグッと我慢して質問を考えるが、とくにない。というか早々に疑問など出るハズもないと僕は思う。
「いえ。」
僕の答えを待ってから続けるつもりなのだろう。一度頷く兎人リーちゃん。
「魔法がある世界でるとお伝えしましたが、スキルと呼ばれるモノも存在します。スキルは行動を制限する為にあるのではなく、補助する為にあるモノであると認識してください。スキルがあろうとなかろうと、同じ行為はしようとすれば出来ます。スキルがある方が無駄な力が必要なくなる。スマートにおこなえる。より上手く出来る。威力が増す等の効果が得られるだけです。中には特殊なスキルもありますが、スキル無しでもおこなえる術はある。という事は知っておくと良いかも知れませんね。追々スキルの事は知識ではなく実感を持って頂ける事でしょう。」
益々、ファンタジー世界に彩られていく未知の世界。
「もしかして、魔法があるという事は?魔物も居るんですか?」
ちっ!先に聞きやがって、これから順に説明するんだよ!
って言わんばかりの顔になる兎人リーちゃん。その後ろではカグヤ様の後ろからゴゴゴって聞こえてきそうな感じなのだが、大丈夫か?
「はい。その通りです。今から説明する所でした。魔物は人類の敵として存在している訳ではありません。野生動物と同じ扱いであると考えて頂くと良いかも知れません。まぁ神様の前では生きとし生けるモノは全て平等なのですが、そこは人間族の立場ですから、まぁ良いでしょう。」
「あの?人間族ってなんですか?人族では無いんですか?」
キョトンとした兎人リーちゃん。
「あ~、人間族は人間で構成された種族の事を指しています。人族とはその他のエルフやドワーフや私の様な兎人などの全般を指します。地球には人間しか居ないから、単純に人族と呼んでいるのでしたね。より限定した人間族。と呼んでいます。人族は二足歩行と言語を持つ物全てを人族と呼びます。今回の事は人間族に対して話す内容だと思ってください。人間族は自分が至高の存在だと思っている種族の様で、他種族からは危険視されておりますので、ご注意ください。」
「はい。」
どうやら、人種ならぬ種族差別は大きい様だ。どの世界もそういう考え方する人は多いね。自分と違う事がそんなに問題かな?カテゴリー分けして考えて思い込んだり、決めつけたりする事は多いいのは間違いないか。僕もそういう所あるもんな。
「とは言え、世界の人口比率は人間族が多く締めておりますので、早々問題になるとは思えませんので、心配なさらずとも大丈夫でしょう。質問はありますか?」
差別の事を考えていたけど、さらっとエルフやドワーフが居ると言ってたよね?それに目の前に兎人リーちゃん要るし・・・。
「あの、エルフとかドワーフが居るんですか?」
「聞いてました?居ますよ。他にも色々な種族がね。犬族や猫族などが有名ですかね?とは言え、人間族程発展してませんけどね。」
「ふふふ。その辺は、実際に見てみたら良いのではないかしら?」
カグヤ様の提案はもっともだ。観光するんだからそれで確認すれば良い話だね。
「わかりました。」
「という事で、ほぼ説明は終わりにしようと思うのですが、良いですか?」
「ええ。良いですわ。後は観光の醍醐味としてとっておきましょう。」
「かしこまりました。」
カグヤ様とリーちゃんとのやり取りで、説明は終わったらしい。
「さて、茂さん。」
「はい?」
カグヤ様が僕の方へと改まって向きなおされた。
顔は温和そうな笑顔であるが、真剣な眼差しが真面目な話に移行しているというのがわかる。
「貴方の観光の間は、自分の身は自分で守って頂く必要があります。その為に、スキルを付与しようと考えています。どんなスキルが欲しいですか?ちなみに、言語については心配しないでください。スキルとは別でコミュニケーションは潤滑に出来る様にしますから。なので、自身の身を護る為のスキルを考えてください。」
「あの、それは何個まで頂けるんですか?」
数は確認しとかないとね?交渉は必須でしょう?
「そうですね。厳選した方が良いかしら?旅には苦労があった方が楽しいモノね。では5つにしましょう。」
「えっ?多くないですか?」
リーちゃんがよけいな事を言う。
「ふふふ。異世界人なのですから、少しくらいは優遇されて良いでしょう。」
「ですけど、スキルを選べる時点で優遇だと思うのですが?」
「ふふふ。良いのよ。」
カグヤ様はやんわりと、けれど意志は固そうにリーちゃんに告げている。
「どんなスキルがあるのですか?」
「そうですね。では少し情報を茂さんの頭に流しましょう。」
カグヤ様がそうおっしゃると直ぐに僕の頭の中にスキル一覧が流れてきた。
さて、僕はこの中からスキルを選ばなくてはいけない。
どうしたもんか?
今回の選択。
①魔物が居る世界だから、戦闘系スキルだ!
②異世界観光だから、観光に役立つであろうスキルだ!
③自分で考えず、ランダムに付与してもらおう。
締め切り:2021年1月25日24時
次回更新:2021年2月1日0時
よろしくお願いします(^^)/