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3 美澄さんの同人誌

作者の癖に3話まででラブの気配がない……だと……ฅ(;๑•̀ω•́๑)ฅニャン…ダト!?

まあ、大抵1話目からイチャイチャしてますからw

「おぉー、このハンバーグ美味しい」

「なら良かったです」


美味しそうに俺の作った夕飯を食べてくれる美澄さん。

新婚当初はこんな光景も見ていた気がするけど……ずっと昔のことみたいだ。


他の男との逢瀬で忙しい時は、帰ってこない日も多かったし、朝帰りも何度もあった。

たまに帰ってきて、唐突に夕飯を所望する時もあったから、本当に使用人みたいな扱いでもあった。


昔は美味しいと言って……まあ、それも演技だったのだろうけど……それでも、形だけでも美味しいと言ってくれてたのに、途中からは作っていて当たり前。

少しでも遅いと、怒るので、食材を無駄にしないようにするのが大変だった。


まあ、その扱い自体はそこまで不満は無かった。

仕事をして稼いでくれてるのだし、疲れて多少俺に当たるのも仕方ないことだと思っていた。

子供が出来るまでに、落ち着いてくれれば良いとそんな幻想も抱いていたからだ。


(我ながら見る目がないよなぁ)


思い出したくなくても、嫌な記憶ほど忘れられない。

幸せだと思っていた記憶にすら嫌悪感が湧くのは、本当に自分でも最低だとは思うけど、それでも、聖人ではない俺にはそれらを許容する余裕は無かったのだろう。


直接的に思い出さなければ、まだなんとかなる。

きっと、会えば俺は壊れるかもしれないな。


「天使さんって既婚者?」

「え?あ、いえ……この前離婚したばかりです」

「あー……ごめん。なんか辛いこと聞いちゃって」


気まづそうな美澄さんに俺はなんとか笑みを浮かべて言った。


「いえ、なるべくしてなったので仕方ないです。それより、お仕事大変そうですね」

「んー、まあね。天使さんは私の仕事何か知ってる?」

「在宅でのお仕事でしょうか?あ、でも締切と言ってましたし、漫画家さんとか?」

「……まあ、絵に関しては近いかな。イラストと同人誌をメインで活動してるんだ」


同人誌と言うと、薄い本のことかな?オタクな友人に見せて貰ったことがあるけど、レベル高くて驚いたものだ。


「そうなんですか。凄いですね」

「ふーん、同人誌って聞いても馬鹿にしないんだね」

「はい?」


よく分からずに首を傾げると、美澄さんはため息混じりに言った。


「大抵、同人誌書いてるって聞くと馬鹿にする人多くてさ。漫画家もどきとか昔の同級生が馬鹿にするんだよね」

「そうなんですか。変な人もいるものですね」

「え?」

「だって、真剣に向き合ってるなら立派な職業だと思いますし、絵が描けるというのは本当凄いですから」


描こうと思っても、描けない人はかなり居るし、努力してるのはこの生活環境を見れば一目瞭然だった。

栄養ドリンクの空もかなりあったし、少なくとも俺はこの人のことを尊敬できていた。

確かに、家事スキルとかはゼロかもしれないけど、それだけ仕事に打ち込めるのは素敵なことだと思うしね。


そんな俺の言葉を聞いてキョトンとしていて美澄さんは、くすくすと笑って言った。


「本当に当たり外れが激しいんだね。決めた、これからは天使さんを指名するね」

「……?えっと、ありがとうございます」

「だから、今日は片付け終わったら帰っていいよ。また次の時に続きはしてくれればいいから。あと、ご飯もお願いね」

「じゃあ、おかずの作り置きだけしておきますね」

「ありがとう。肉類多めがいいかな」


そして、この日から俺は週一で美澄さんに指名されるようになるのだが、通うようになってから、彼女には同性の恋人が居るということを聞かされて少し安心したのだった。


我ながら女々しいが、元妻のことをまだ引きづってるのだろう。


美澄さんはいい人だし、そんなことないとは思うけど、俺みたいな奴を愛してくれる人は居ないとそう思っているから。


まあ、同性の恋人という単語は驚いたけど、本人達が幸せなら俺が口を出す必要は無いだろうしね。

そんな訳で、あっさりと納得するとまたしても美澄さんに楽しげに笑われたのだが……なぜ?





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