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2 最初の依頼

時々病んでしまう……ヒロインさん早く来てぇ!(必死w)

レンタル彼女とは字のごとく、女の子を彼女として借りれることだ。可愛い女の子が多く、値段も高い……と、友人から聞いたことがある。


レンタル主婦とは、主婦として女性を借りること。まあ、家政婦に近いけど、それよりも家庭的って感じかな?


どちらも、名前しか知らない仕事だが、本日から俺はレンタル主夫という怪しげな仕事をすることになった。

妹から貰った連絡先に連絡すると、すぐに仕事が貰えた。


一括で管理している所があって、そこの指示で現場に向かうことになるらしい。

面接もどきもしたが、ある程度家庭スキルがあって、人格が一定なら受かると面接官は話していた。


まあ、たまに家庭スキルがあると偽って、ヒモ目当てで押し入ろうとする不逞な輩がいるそうだが、そういうのは普通に面接で弾かれるらしい。


主夫スキルを持つ人材はかなり貴重らしく、既婚者が多めだそうだが、独身者は俺くらいとも言ってたな。

まあ、俺はバツイチなんだけど……


「ここかな?」


最初の依頼の住所に着く、一人暮らしには最適な二階建てのアパート。

その2階の1番端の部屋のインターホンを押す。

少しすると、中から人の足跡が聞こえてきて、内側のチェーンは外さずに眼鏡の女性が顔を見せた。


「……勧誘なら間に合ってますので」

「あ、新聞とか宗教とかじゃなくて、レンタル主夫としてご依頼を頂いたと思うんですが……美澄佳奈(みすみかな)さんですか?」


名刺と共に自己紹介をすると、納得したようにあっさりと中に入れてくれたが……不用心だと思うのは俺だけかな?

しかし、そんな疑問はあっさりと消えることになる。


「狭いけど入っていいよ」

「……いえ、とりあえず早速仕事に移らせて頂きますね」

「あらそう?なら、掃除と夕飯の支度をお願い。私は締切があるから」


そう言ってスタスタと部屋に閉じこもる依頼主。

だが、そんなことより俺はこの惨状がどうしてもキツかった。


「なるほど……これが噂に聞くゴミ屋敷か……」


足の踏み場はあるが、ペットボトルや缶を適当に入れた大きなゴミ袋。

コンビニ飯の残りや、脱ぎ散らかされている服。

下着もあるのだが……まあ、別に他人の下着に興奮する趣味はないので気にはならなかった。


それよりも、問題なのは依頼主である美澄さんが入った部屋以外の全てがゴミ屋敷状態なことだ。


「うお……これ何ヶ月前のだ?」


台所は自炊をした形跡のある様相だが、フライパンに付いた汚れは固まっており香ばしい香りを放っていた。

食器類も水には付けてあるが……果たしてどのくらいの期間寝かしていたのだろうか?


カサカサ


バッ!と俺は後ろを振り返る。

気のせい……否!


カサカサカサ!


「じ、Gだと!馬鹿な!」


皆が畏怖するあの生き物、黒色男爵こと、イニシャルGが確かにそこにいた。

その後の俺の行動は迅速だった。

一気に潰したい衝動を抑えて主夫七つ道具が1つ、殺虫スプレーを取り出すと奴に放つ!


だがしかし、その程度では奴は止まらない。

しばらくは動き回るので、逃がさないように退路を経つ。


なんて、カッコつけてるけど、仲間がいる可能性も考慮して片付け始める。

どうやら、その一匹だけだったらしく、台所が片付く頃には奴は息の根を止めていた。


「ふぅ……Gなんて見たの何年ぶりだ?」


前に見たのは実家の台所だったか?

俺が妻……じゃなくて、元妻と暮らし始めて暫くして様子を見に行ったら台所がえげつないことになっていたんだよなぁ。


……あー、顔がチラつくと無性に吐きそうになる。


割り切ったはずなのに……ダメだな。

それを忘れるように掃除に没頭、ついでに使われてなかった洗濯機もフル稼働させる。


一通り必要なものは用意してきたので、とりあえず掃除に関しては時間さえあればなんとなる。

とはいえ、とりあえず依頼主のご飯も準備しないとだからなぁ。


普通なら好みを聞くところだが、仕事をしてるところを邪魔したくはない。

仕事に真剣に打ち込む人はカッコイイって思うから。


なので、ゴミの分別と冷蔵庫の内容から大方の好みを予想して買い物を済ませて支度をする。


肉類が好きそうなので、ハンバーグとご飯と味噌汁。付け合せの野菜は煮て柔らかくして出すことにする。

なんか、こうして料理を作っていると本当ホッとするなぁ。


『あー!もう!なんで分からないかなぁ!』


ある程度出来たので、部屋に届けようかと思っていると、依頼主である美澄さんの部屋から奇声が聞こえてきた。

なんだろうと思っていると、ムスッとした顔をした美澄さんが部屋から出てきた。


「……ご飯出来ましたけど、どうなさいます?」


そう声をかけると、美澄さんはため息をついてから言った。


「ありがとう、でもそういう気分じゃないから、後で食べるね」

「分かりました。まだ掃除が残ってますので、居る間ならすぐに用意しますね」

「まだやるの?もう8時なのに」


気がつくとそんな時間か。


「お邪魔でなければもう少し居させてください。延滞の料金などは特に無いのでご安心を」

「……前に頼んだ時は少し掃除して有り合わせでご飯作っただけなのに、当たり外れが激しいんだね」


これは俺を当たりと思ってくれてるのだろうか?


「天使さん……だったね。夕飯貰ってもいいかな?」

「分かりました。お部屋で食べますか?リビングでも食べられるようにはなりましたが……」

「じゃあ、リビングでお願い」

「分かりました。すぐに用意しますね」









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