仕事始め
僕はきっと天邪鬼だ。休んでていいって言われると逆に動きたくなるところ。向いてないって言われた仕事を意地でもやろうとするところ。すごく天邪鬼だ。
ここの仕事はたぶん人を殺すことだろう。はたして僕にそんなことができるだろうか。でも、こういうのは強気にならなければいけない気がする。そして、何かを始めるときは楽しまなくては。
コンコンコン。
「おぉ、リア、どうしたんだ?」
「あの、仕事をしたいなって思いまして…。」
「仕事?休んでなくていいのか?」
「もう大丈夫です。十分、休みましたから。」
「そうか。まぁ、いずれ話すことになってたからな。入って。」
部屋の中に入ると、机の上にノートパソコンと紙が何枚か置いてあるのが見えた。
「お仕事中にいきなり押しかけてすいません。」
「ふふっ、そんな気にしないで。仕事中、押しかけられるなんてしょっちゅうだから。」
「あぁ、そうなんですね。」
「あっ、紅茶でも飲む?」
「いただきます。」
というとカップに紅茶を注いで、目の前に出してくれた。その姿がいちいち様になるっていうか、格好良い。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、ちょっとだけ待ってて。すぐ戻ってくるから。」
この紅茶すごい美味しい。どんな茶葉なんだろう。そして、ボスって仕事中は眼鏡するんだ。雰囲気変わるな。
「ただいまぁ。」
ボスが大量の銃を抱えて入ってきた。銃がテーブルの上にドサッと置かれた。
「プレゼントだよ。」
「え、こんなには貰えないですよ。」
「いや、これは倉庫にたまりにたまっちゃって困ってたやつなんだよ。」
「あっ、そうなんですか。じゃあ、ありがたく…。」
銃に触ってみる。思っていたよりも軽い。
「使い方わかる?」
「いえ、全然。」
「じゃあ、一緒に練習しようか。私も最近、あまり触れてなくてね。できるかな?…バーン!」
と僕に銃口を向けてそう言った。
「あなたがやると冗談にならないですよ。」
「ふふっ、ごめんごめん。どれ持っていくか決めた?」
「あっ、じゃあ、これで。」
小さくて持ちやすそうな拳銃を持つ。
「よし、練習しに行こ!」
とどっかに行こうとするボスについていく。
「ボス、僕に構ってばっかで大丈夫なんですか?仕事とか…」
「不老不死の良いところは無駄に時間がありすぎるってところだからね。」
「…要するに暇人ってことですか?」
「おぉ、結構言うじゃん!私に心を開いてくれたのかい?」
と肩を組まれる。
「まぁ、それなりに。」
「ふふふっ、嬉しいなぁ。まぁ、君の心の隅々まで見せてくれるともっと嬉しいんだけどなぁ。」
「そんなことできるわけがないですよ。誰もが嫌われたくないって思いますから。」
「ふふっ、そうだね。私もそんなことはできないよ。だけど、私は君のすべてを知りたい。そう思うことは自由だろう?」
「でも、なんかボスにはもうほとんど知られてる気がするんですけど気のせいですか?」
「んー、まぁ、予習はしといたから。」
「え、僕が生きてるときに?いつから?まさか生まれたときからですか?」
「ふふん、ちょっとこの会話はやめとこっかぁ。」
「えええ、教えてくださいよ!もしかして僕の黒歴史とかも…あぁ、つらい。死んでるけど死にたい…。」
「まあまあ、君をこの世界に誘ったのはだぁれだ?」
「え…ボス、ですよね?」
「そうだよぉ、この理由を考えればわかるよね?」
理由…?ボスがこの世界に誘った理由。