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悪魔株式会社  作者: 小判鮫
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舞台裏

「うわっ、死にやがった…。」

「んーでも、頑張った方だよ。お疲れ様。」

ボスは仕事が終わるとよくキスをしてくれる。何故なのかはわからないが、恋愛的な感情ではないことだけはわかる。

「…ボス、舌入れてもいいですか?」

「あぁ、それは堪忍やなぁ。」

「あっ、それ俺のですよぉ!」

「ふふっ、ふと使いたくなってね。」

と頭を撫でられる。触られた感触も心地良い。

「でも凄いですね、この子。何も感じてないみたい。」

「まぁ、そこが私の気に入ったところだからね。」

「へぇ、そうなんですね。確かにこの仕事に向いてそう…。」

「ん、この仕事はまだ嫌いなのかい?」

「え、いや、今は嫌いってわけじゃなくて、ちょっと気分が乗らないときがあるだけですよ。」

「そうか。君はとても強がりだから、見てて心配になるんだよ。まぁ、私以上に気にかけてくれる子がいるから大丈夫だとは思うがね。」

「あはっ、そうですね。そう思うと、俺って結構幸せ者ですね!」

「ふふん、そうかもしれないね。…おっ、面白そうな本、見っけ!読んでもいいかな?」

「へぇ、ボスってそういう恋愛小説もお好きなんですかぁ?」

「うん、好きだよ。だって、心がときめくじゃないか。」

え、そのクールな美形で何を言う。めっちゃ乙女じゃん、ボス。どっちかって言うと、ときめかせる方じゃん、ボス。

「ボス、俺が小説よりもっとときめかせてあげましょうか?」

とベッドに寝っ転がって小説を読んでいるボスに覆いかぶさった。ボスは少し目を見開いてから、恥ずかしそうに目を泳がせた。

「俺、ボスを一度でもいいから喰ってみたかったんですよ。ボスってなんか禁断の果実みたいじゃないですか。とても美味しそう。」

「ふっ、私はそんなに美味しくない。」

って軽く笑われ投げ飛ばされてしまった。

「いったぁ。あはっ、やっぱボスには手出しはできひんわぁ。」

「まぁ、キスならいくらでもしてあげるよ。舌は入れない約束だけど。」

「じゃあ、もし俺が舌を入れたら、ボスはどうしますか?」

「んーと、そのまま噛みちぎるね!」

「こっわぁ。満面の笑みでそんな残酷なこと言わないでくださいよぉ。」

久しぶりに感じたなぁ。ボスのこの怖さ。

「ふふっ、ごめんごめん。今のは軽い冗談だよ。」

「冗談でもやめてくださいよぉ、心臓に悪い。」

「不老不死のくせして何言ってんだよ。」

「あはは、確かに。それもそうですね。…あっ、ボス、そういえば…。」

ガチャ

「はぁ…ボス、あなたって人は本当に私を困らせるのがお上手なようで。」

やっぱりだ!サタさんが迎えに来た!

「あぁ、サタァ、いまいいところだからちょっと待って。」

「待ちません。」

「あっ、ちょっ、返して!」

「仕事が終わるまで返しません。キュー、これ借りてもいいか?」

「あぁ、好きに使ってください。差し上げますよ。」

「そうか、ありがとな。」

「キューはこんなにも優しいのに、なんでサタは…」

「あ?今なんか言いましたか?」

「なんでサタは私に冷たくするんだ…。」

「そんなの決まってるじゃないですか。いちいち言わせないでください。ほら、行きますよ。」

とボスの脚を掴んで、引きずるように運んでいく。

こんなことをボスにできるのはサタさんぐらいだろうな。

「ちょっと痛い、痛いよ。サタァ。」

「じゃあ、自分で歩きますか?」

「わかったよ、自分で歩くから。」

とは言っていても、ボスは私の肩に寄っかかって体重を乗っけている。

「重いですよ、ボス。体重増えたんじゃないですか?」

「…おくちミッフィーちゃんにするよ?」

「ふっ、なんかそれ可愛いです。でも、自分の首を絞めることになりますよ。」

「じゃあ、相手の首はへし折れるかな?」

と私の首を触りながら、そう言う。

「あぁ…そうですね。その痛みでたぶん死んじゃいますね。もう、ボスとは永遠に会えないです。」

「おぉん…つらいなぁ。そうなったら寂しさで死んじゃうな。」

ってぎゅっとそのまま後ろから抱きしめられた。ボスが可愛すぎて死にそう。

「んー、結局のところ、自分で自分の首を絞めることには変わりないですね。」

「ふふっ、そうだね。回避できなかったよ。永遠に会えないなんて言うからさ。」

「まぁ、そんなことは絶対にないのでご安心ください。」

「うん、わかっているよ。」

「…もう離してくれますか?歩きにくいです。」

「やだ、あとちょっとだけ抱きしめさせて。」

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