第3話 チープなラブコメ
とりあえず連続投下してみます。
書店で紅雄兄さんに会った翌日、お昼のパンを買いに購買に行った。
「あっ」
「あっ」
最後の1つのスパゲティロールを一緒に掴んで横を見たら紅雄兄さんだった。
「ごめん。どうぞ」
さっと手を離してゆずってくれる。
「いえ、こちらにしますから」
そう言ってウインナーロールを取ろうとしたら、別の生徒に奪われてしまった。
「……」
「俺はこれにするから」
紅雄兄さんはサンドイッチを持ってレジに行ってしまった。
「あっ!スパゲティロールまだあるじゃん!」
その声を聞いて私は速攻でそれを確保した。
買った昼食を中庭のベンチで萌美と食べる。
このスパゲティロール、紅雄兄さんからもらったことになるのかな?
ぱく
紅雄兄さん、私みたいな子が妹だって名乗り出ても困るだけだよね?
周りからもいじめられそうだし…。
ぱく
紅雄兄さん、優しいんだな。
でも、ああやって女子生徒を惚れさせているのかもされないのよね。
「ねえ、生子」
「なあに?」
「さっき、九條坂先輩と手が触れ合わなかった?」
ぶっ
「別に触れてないわ。このスパゲティロールの端っこを同時に掴んだだけ」
「惜しいなあ。そこから恋が始まったかもしれないのに」
「チープなラブコメね」
「生子って九條坂先輩のこと嫌いなの?」
「別に気にしてないだけだから」
「すごっ!もしかして聖女?恋愛とかしたくない人?」
馬鹿な母親の世話で忙しくて恋愛したことないだけで、興味くらいあるわよ。
あの時だって…危うく好きになる所だったし。
初恋が実の兄じゃなくて本当に良かったわ。
そう思っていられるのも今のうちだけだった。
なぜなら翌日からも紅雄兄さんと幾度も顔を合わすことになってしまうのだったから。
お読みいただきありがとうございました。