視野の重なり 1
何だってんだ、この空は!俺の頭で行きつ戻りつ。降るにしろ降らないにしろはっきりしろ。道端に轢かれて伸し烏賊のようになった鼠の死体、奴だってこんな薄汚い天井の下じゃ安心して成仏も出来ない。ひび割れだらけのアスファルト。こいつにしてもどうにも空模様を計りかねた様子で、黒いんだか白いんだかわからない色のまま、とりあえず真っ直ぐに視線の消えるままに延びている。ベルトコンベアのでかいのといった車道に飛び出してみれば、トレーラーが巨大なクラクションを鳴らして通り抜けていく。その後ろから走ってくる危険物を積んだトラック運転手の迷惑そうなその瞳!馬鹿にするなと、こちらも睨み返す。頭にきたのか急にアクセルを踏み込んでまるでイタチの最後っ屁、排気ガスを顔面にひっかけられた。それでも咽ることのできない俺の肺の無神経さ加減!うんざりしている俺の横にあるのは、溝とも川ともただの窪みともつかないような水溜り。鈍い銀色の光を放つポンプが、ごぼりごぼりと溜まった溝に廃油のような水を流し込んでいる。どうせならこの下にある泥の中にでも眠っているのがお似合いなのかもしれない。こいつだけが俺を地面に張り付かせているのかと思うと、カッとなってポンプの隣でうなりをあげている野外用発電機を思い切り蹴飛ばしていた。




