第七話:キラキラ星
「うた。」
「迎えにきたよ。」駆け寄ってくるこうの手を繋ぐ。
「横山さん。」
「はい。」
「こう君、楽しんでいるようですね。これからも親御さんが見つかるまでお願いします。」
「はい。」
夕焼け空の下二人手を繋ぐ。ちょっと前までは手すら繋いできてくれなかった。
「ねぇ、うた?」
「ん?」昔より話しかけるようになったこう。
「うたのお父さんとお母さんはどこにいるの?」
「あ、私のお父さんとお母さんは長野に住んでるんだよ。私は大学があるからこっちにひとりで住んでるんだよ。」
「そっか、さみしくない?」
「うーん、さみしくないけど…。こうが来てから楽しいよ。」
「ほんと?」
「うん。」こうはやっぱお父さんとお母さんに会いたいのかなと夕焼けを眺めていた。
「僕ね、お父さんいないんだ」その急な告白に思わずこうを見る。
「お母さんにお父さんいない理由聞いたことない。でもお母さんと二人きりだったよ。」
「そうかぁ…」その話はそこで終わった。いやどう聞けばいいのか分からなかった。
「こう、お風呂いいよ!」
「わかった。」
「あ、まって」
「ん?」
「一緒にはいっていい?」
「…うん!!!」お風呂で髪洗ってあげると恥ずかしそうに笑う。それにつられて詩も笑う。そういえば昔お風呂お父さんと入ったことを思い出し、その時に歌った歌を口ずさむ。
♪Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!
Up above the world so high,
Like a diamond in the sky.
Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!
「キラキラ星?」
「そーだよ。英語のきらきら星!」
「すごい!もう一回歌って!!」
「いいよ!」昔英会話を習ってる時に習ったなと思い返しながら一番だけを何回も歌う。
「うた、歌上手いね!」
「親父ギャグかよぉー。」
「違うよぉー。」
夜空を照らす星。確かうろ覚えだけど日本語の歌詞には"みんなを見てる"って歌詞があったんじゃないかな?