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宇宙歴史 信長SF  作者: 渋谷かな
4/10

信長、尾張動乱

時代は戦国時代なのだが、技術力は現代よりも高く、宇宙にも行けるほどだった。

世界の核戦争に巻き込まれ、地球は放射能に包まれてしまった。

各国は、領土を地球から切り離し、ロケットエンジンで打ち上げた。


人類は、宇宙に出たのだ。



宇宙歴史0年。


人類は、宇宙に出ても戦いを続けた。

新型兵器、宇宙鎧侍を開発して、全宇宙の覇権を争うようになってしまった。


人は、滅びなければ、戦うことを止めないのだろうか?



ここは、宇宙尾張の那古野城。宇宙鎧侍生産工場。


「サル。宇宙鎧侍の旧式から普通へのバージョンアップは進んでいるか?」


この偉そうなのが織田信長である。


「赤塚に出陣した宇宙鎧侍以外は、完成しています。これも利家のおかげです。」


メカニックがサルこと、木下藤吉郎である。


「おまえが利家か?」

「はい、信長さま。前田利家です。」

「次の戦いでは、おまえも出陣するがよい。」

「はは、ありがたき幸せ。利家、初陣いたします。」


こんな感じで、前田利家の初陣が決まった。



ここは松葉城と深田城。


「攻めろ! 攻めろ!」


織田信友も信長の父、信秀が亡くなったのをいいことに、尾張を平定しようと軍を動かした。


「この坂井大膳にかかれば、簡単に城も落とせるわ!」

「信秀がいなくなれば怖い者なし!」

「空け者の信長などに尾張が任せられるか!」

「尾張は、信友さまのものだ!」

「ハハハハハ!」


坂井大膳は、坂井甚介、河尻与一、織田三位と共謀し、松葉城と深田城を攻め滅ぼした。



ここは宇宙尾張の那古野城。


「なに!? 信友が反旗を翻しただと!?」


信長は、報せを聞いて驚いた。


「はい。既に松葉城と深田城は、織田信友の家臣、坂井大膳に落とされました。」


この報せを聞いた信長の家臣は、ゲッソリした。


「山口親子が今川に降ったばかりなのに、次は信友一派か・・・。」

「どうして、こうも謀叛者がでるのだ?」

「やはり、信長が空け者なのが悪いのでは!?」


ザワザワと家臣の中でも不満が噴出している。


「みな、亡き親方さま、信秀さまに恩のある身、信長に不満はあると思うが、ここは、この平手が頭を下げるので、此度は殿を助けてやってください。」


家臣の平手政秀が頭を下げて、武将たちの不満を治める。


「平手どのが、そこまで言うのであれば。」

「そうだな、今回は信長に従うか。」


信長の教育係の平手政秀は、苦労が絶えない。


「宇宙萱津に出陣する!」


当の信長本人は、家臣の不満など気にしなかった。


「宇宙お城戦艦、那古野城、発進!」


お城戦艦は、再び宇宙に飛び立った。



若い信長に不満を抱くのは、年上、歴戦の先輩ばかりであった。父、信秀には従ってきたが、息子の信長に従うよりは、自分が殿になりたいという嫉妬があったのかもしれない。


また信長は、自分に忠実なる家臣として、若手を積極的に起用している。サルや前田利家など、若者にチャンスを与えている。それが古株の家臣には、面白くなかったのだ。


しかし、林や平手の作った宇宙鎧侍は旧型であり、サルや前田利家の作る、新型の宇宙鎧侍を比べると、世代交代を進める信長が開発技術力の向上という面では、正しいと言わざるを得なかった。


しかし、若手の積極的な登用が、これまでの功労者の重鎮たちは不愉快だった。謀叛者が出たり、内乱が起こるのも、信長の構造改革のスピードが早すぎて、結果的に痛みを伴うものとなってしまった。



ここは宇宙空間。宇宙萱津。


「来たか! 若造!」


坂井大膳、坂井甚介、河尻与一、織田三位が信長の軍勢を待ち構えていた。


「裏切り者共の首を取れ!」


信長も家臣たちに指令を下す。


パホパホ!


両軍から合戦の合図のホラ貝の音色が聞こえてくる。


「信長を殺せ!」

「裏切り者に死を!」


両軍が激しくぶつかり合う。


カキン! カキン!


刀と刀がぶつかり合う。


「サル! 大丈夫か!?」

「利家! こそ!」


信長の若て、木下藤吉郎と前田利家もよく戦った。


「そこに見えるは、敵将と見た! 我は柴田勝家であるぞ!」

「坂井甚介だ! 勝負!」


柴田と坂井は、武将同士、勝負を着けようと、お互いに突進する。


ズバ!


柴田の1撃が、坂井を一瞬で倒した。


「坂井甚介の首、討ち取ったり!」

「おお!」


柴田の活躍に信長の兵の士気が高まる。


「なに!? 甚介が討たれたと!? むむむ!? 退却だ!」


酒井大膳たちは、劣勢なので撤退を始めた。



この戦いは、初めから勝負がついていた。士気が違うのだ。信友の権力の保身ばかり考える過去の亡霊たちの旧式の宇宙鎧侍部隊。


それに対し信長は家督を継ぎ、今川にも抗い、美濃の斎藤道三とも同盟を結び、古参は、活躍しないと地位を失うという危機、若手は武功を立てるチャンスであった。


信長側の宇宙鎧侍は、旧式から、イマドキの普通の宇宙鎧侍にバージョンアップを完成させている。さらに新兵器の火縄銃も量産に成功している。勝敗は、技術開発力の差で決まるのだ。



「追撃だ! とことん追い詰めるのだ!」


信長は、攻撃の手を緩めなかった。


「信長さま、もう勝ち戦ですし、もう追わなくてもいいのでは?」


家臣は、勝ち戦できりがいいの追撃する必要はないと言う。


「私は織田の家督を継いだ。織田の名前を継ぎ、家臣たちの家族、生活の面倒をみるという立場を継いだのだ! この戦は、どこまでも勝ち戦である! 2度と刃向かえぬよう、どこまでも追い駆けるのだ!」

「おお!」


信長は、過去の戦から多くのことを学んだ。戦は、名前でするものであり、多くのものを背負っている。負ける訳にはいかないのだ。


「追撃!」

「追え!」

「火縄銃、一斉発射!」


バーキュン!


火縄銃の光エネルギー弾が数十発放たれる。


「ギャア!?」


酒井大膳の兵士は、ほぼ壊滅状態で逃げ帰って行った。


「勝どきをあげよ!」

「エイエイオー! エイエイオー!」


織田信長軍の大勝利だった。自軍の被害を少なく、追撃戦で敵に大きなダメージを与えた。信長の戦上手ぶりは家臣の間でも話題になり始めた。


しかし、同じ尾張の同胞同士の戦い。戦意の無い敵を追い崩す戦いぶりに、疑問を抱く家臣も少なくはなかった。



「これも教育係だった、私の責任です。」


信長に不安や不満を収めようと、家臣の平手政秀は、自害した。


「俺のせいで・・・すまん。」


信長は、涙を流し悲しんだ。


「政秀のために寺を作ろう。」


信長は、政秀寺を作り、亡き家臣の魂を供養した。


「死んだ家臣に、ここまでしてくれるのなら・・・。」


一部の家臣は、信長は義理堅いのだろうと、信長を慕うようになった。


「空け者の猿芝居だ!」


重鎮である、林や柴田は、まだ信長を快く思っていなかった。



ここは宇宙尾張。宇宙鎧侍生産工場。


「サル、宇宙鎧侍の燃料はどうなった?」


信長は、サルに尋ねる。


「燃料は、隕石です。」


サルは答える。


「隕石!?」

「はい。隕石でございます。石油や天然ガスでは無理がありますから。」


宇宙鎧侍の燃料が、隕石に決まった。


「不思議な隕石で、熱エネルギーを持っています。それを宇宙鎧侍に取り込んで、熱エネルギーで動かしています。」

「では、火縄銃はどうなっている?」

「火縄銃も隕石の熱エネルギーを光エネルギーに転換しています。」

「ほほ、ということは、隕石次第ということでいいのだな。」

「はい。殿も変わった隕石を見つけたら、回収をよろしくお願いします。」

「うむ、わかった。」


宇宙鎧侍の燃料が決まり、一安心だった。


「殿! 一大事です!」


その時だった。早馬が信長の元にやって来た。


「どうした!?」

「今川が村木砦に現れました!」

「また今川か!?」

「殿! ご命令を!」

「サル! 軍議だ!」

「はは!」


信長は、今川を討つべく軍議のために家臣を集める。同じ尾張の信友に攻められないように、同盟国の斎藤道三に援軍を頼んだ。安藤元就が援軍として派遣された。



ここは宇宙尾張。お城戦艦、那古野城。


「それでは軍議を行う。」


信長が軍議を始める。


「殿になってから、戦ばかりだ!」


織田家の重鎮、林秀貞が文句を言い、帰ってしまう。


「林には、困ったものだ。」


その場の悪い空気に、家臣は動揺する。


「去る者は気にするな。今いる戦力で、勝つ方法を考えるんだ。」


信長は、前向きに前しか見ない。


「宇宙のごみの中を渡って、今川の背後から奇襲するぞ!」

「おお!」


村木砦攻略の作戦が決まった。


「宇宙お城戦艦、那古野城、発進!」


地面からお城がロケットエンジンを噴出させ、宇宙空間に飛んでいく。



ここは宇宙空間。宇宙のごみの中。


「殿、こうも隕石や廃棄された残骸が多いと、危なくて進行するのは無理です。」


オペレーターの兵士は、信長に進言する。


「こんな危険な所を通って敵が攻めてくるとは、今川も思うまい。このまま突き進むのだ!」


信長の意志は強い。大将にとって1番大切なことかもしれない。


「やりました! 宇宙のごみの中を抜けました!」

「このまま今川に奇襲をかける! 全員、戦闘配備!」

「おお!」


信長は突破不可能と思われた、宇宙のごみの中を無事に脱出した。興奮状態から家臣の士気もアップした。



ここは宇宙空間。今川の村木砦。


「織田の軍勢だと!?」


今川は、いきなり織田が背後から攻めてきたので驚いた。


「かかれ! 一気に攻め滅ぼすんだ!」

「おお!」

「ギャア!? 逃げろ!」


信長の奇襲が成功した。今川は、戦闘態勢が整うまでもなく、あっさり敗走した。


「勝どきをあげろ!」

「エイエイオー! エイエイオー!」


信長は、村木砦の戦いを制した。



ここは村木砦の側の丘。


「あれが織田信長か・・・。」


戦いの様子を全体が高台で見える丘に1人の男がいた。今川の軍師、太原雪斎だ。


「空け者とは、想像もできない奇襲をするということか。」


この後、太原雪斎は死去する。もし太原雪斎が生きていれば、また違う桶狭間の戦いだっただろう。



ここは宇宙尾張。信長の屋敷。


「守護の斯波義統さまが、信友に撃たれた!?」


信長は、その報せに驚いた。


「はい。無念です! どうか父の敵を討ってください!」


守護、斯波の息子、斯波義銀が信長に助けを求めてきた。


「この信長の暗殺計画が露見し、信友の旧清州城の周囲を焼き払って脅したのに、それに懲りずに、守護さまに手を出すとは!」


信長の堪忍袋の緒が切れる。


「織田信友を守護を殺害した謀叛人として、討伐するぞ!」

「ありがたい!」


信長は、正当な名目を得て、尾張統一に向けて、天敵であった織田信友を討つ機会を得たのだった。


「殿、新造の宇宙お城戦艦、新型清州城が完成しました。」

「よし、那古野城から清州城に乗り換えて、信友の古い清州城を艦隊戦で滅ぼしてくれるわ!」


信長たちは、新造宇宙お城戦艦、清州城に乗る。清州城は、那古野城よりも大きく最新の宇宙お城戦艦という感じだった。


「宇宙安食に出陣だ!」

「おお!」


信長は、新造宇宙お城戦艦、清州城に乗って出陣した。



ここは宇宙空間。宇宙安食。


「あれは信友の家臣の河尻左馬丞と織田三位です!」


オペレーターが信友の家臣を見つけた。


「宇宙鎧侍は順次、発進せよ!」


信長は、宇宙鎧侍に出撃命令を出す。



ここは宇宙お城戦艦、清州城のデッキ。


「柴田勝家、長槍装備で出る!」


今回の尾張の宇宙鎧侍は、新開発の長槍を装備して出撃する。普通の槍の2倍の長さがある。柴田たち宇宙鎧侍部隊は出撃していく。



ここは宇宙空間。宇宙安食。


「なに!? 信長の宇宙鎧侍が出てきただと!?」

「ここで叩いて、情勢を逆転させて見せる。」


河尻と織田三位は、信長の宇宙鎧侍部隊と交戦状態に入る。



ここは宇宙お城戦艦、清州城のブリッジ。


「見つけました!? 信友の旧清州城です!」


オペレーターが織田信友を見つける。


「よくやった! このまま信友に艦隊特攻をかけるぞ!」


信長は、新清州城で、信友の旧清州城に突撃する。


「全砲門、開け! 合図で一斉放射だ! 引き付けてから撃て!」


両者の清州城が重なり合う。


「撃て!」


信長が合図を送る。


バキューン!


信長の新清州城が一斉に火縄銃を討ちまくる。


ドカーン!


信友の旧清州城は、煙をあげて爆発を繰り返す。


「旧清州城から離脱する宇宙鎧侍を発見! これは!?」

「どうした?」

「信友機です! 信友の宇宙鎧侍です!」

「なに!? 宇宙鎧侍部隊に連絡しろ!」

「ダメです! 河尻、織田三位との戦闘中で連絡が取れません!」


それを聞いて、信長が席を立つ。


「俺が行く! 信友に引導を渡してやる!」


信長はブリッジを後にする。



ここは宇宙お城戦艦、新清州城の信長の宇宙鎧侍のコクピット。


グイン!


信長が新型の赤い宇宙鎧侍を起動させる。


「信長、出陣する!」


信長が隕石の熱エネルギーの小型のロケットエンジンを噴出させ、信友の待つ宇宙空間に飛んでいく。



ここは宇宙空間。宇宙安食。


「クソ!? 届かない!?」

「卑怯だぞ!」


河尻と織田三位の旧式の宇宙鎧侍の刀では、長槍を持っている信長の宇宙鎧侍部隊には攻撃が当たらなかった。


「何とでも言え! 宇宙鎧侍の性能の差だ!」


柴田は、長槍を振り回す。


「ギャア!?」

「やられた!?」


河尻と織田三位の宇宙鎧侍の首を、柴田が回した長槍が切り落とす。


ドカーン!


そのまま河尻と織田三位の宇宙鎧侍は、爆発して粉々になった。


「一気に信友軍を倒すぞ!」

「おお!」


織田家の宇宙鎧侍部隊は、敵将を倒したということで士気が上がる。



ここは宇宙空間。小刻みな爆発を繰り返す旧清州城周辺。


「見つけたぞ! 信友!」

「信長か!? 若輩者が調子に乗りおって!」


両者は、お互いの機体を確認した。


「この織田家の恥さらしが!」

「空け者が何を言う!?」


信長と信友は、刀と刀を交える。


「私が織田家で1番偉いのだ! 信長、おまえではない!」

「そんなこと誰が決めた!」


激しい刀の打ち合いである。


「私は織田信友だぞ! 織田信友であるぞ!」

「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」


信長は、多くの敵を見てきた。その中で信友はゴミの方である。


グイン!


信長の心に反応して、空け者システムが起動する。宇宙鎧侍の全身が赤い炎のようなオーラに包まれる。刀も刃の部分が赤く炎のように燃えている。


「なんだ!? 信長の宇宙鎧侍が変化した!?」


信友は、見たことのない宇宙鎧侍に驚いた。


「信長斬る!」


信長の刀の1撃が、信友を斬り捨てる。


「俺が織田家で1番偉いんだ!?」


信友は、最後の声を発する。


ドカーン!


信友の宇宙鎧侍は爆発した。


「これで尾張は、俺のものだ!」


信長は、ついに宿敵、織田信友を打倒した。こうして名実ともに、信長が織田家の頭領になった。


新型の赤い信長専用宇宙鎧侍、新造宇宙お城戦艦、清州城。新兵器、火縄銃に長槍。そして信長の揺るがない精神力と奇襲のための作戦。技術革新と、それを使いこなす人間が見事にコラボレーションした結果である。



ここは宇宙尾張。信長の屋敷。


「大変です!」

「どうした?」

「斎藤道三が息子の義龍の謀叛にあい、援軍を求めています!」

「なに!? 父上が!?」


報せは、信長の奥さんの濃姫の父、斎藤道三の窮地であった。


「あなた、父上を助けて!」

「わかった。私自ら、兵を率いて救援に行こう。」

「ありがとう。」

「すぐに出陣の用意をせよ!」


信長は、美濃まで斎藤道三の援軍に向かう。



ここは宇宙美濃。宇宙空間。宇宙長良川。


「無念・・・。」


斎藤道三は、息子の斎藤義龍に討たれた。


「父上!?」


信長の援軍は、あと少しの所で間に合わなかった。


「斎藤道三を討ち取ったぞ! この勢いのまま、織田も滅ぼすぞ!」

「おお!」


斎藤義龍軍は、道三を討ち士気が上がっていた。その勢いのまま、織田軍に迫ってくる。


「殿、撤退してください! 相手は破竹の勢いです! 今、戦っては、味方にも甚大な被害がでますぞ!」

「全軍退却! 殿は、私がする!」


殿とは、相手の追撃部隊を足止めする、命懸けのポジションである。


「引け! 引け!」


信長軍は、一目散に撤退を始める。


「火縄銃部隊、撃て!」


信長の指示で、火縄銃が一斉発射される。


「なんという威力!? これでは追えんな。」


宇宙美濃の斎藤義龍の軍は、追撃をやめた。


「みんな、撤退するぞ。」


信長は、斎藤道三を救うこともできず、戦的にも負け戦のようだった。



ここは宇宙尾張。信長の弟、信行のお屋敷。


「信長が当主になってから戦ばかりです。」

「戦も私が1番戦っています。」


信長の家臣のはずの、林と柴田である。


「よく来てくれました。林、柴田。」


信行の母、土田御前は大喜びである。


「兄上は、空け者だから、当主は無理でしょう。」


信長の弟の信行である。頭脳明晰で真面目な性格である。


「信行さま、どうか当主におなり下さい。」


信行に織田家の当主になってほしいという家臣も増えた。



ここは宇宙尾張。信長の屋敷。


「そうか、林と柴田が信行に味方したか。」


信長は、信友を討ち、ほぼ尾張を統一したが、敵がいなくなると、権力を欲しがる輩が現れるのである。


「はい、私たちは信友も討たれた、殿についていきます。」


森可成、佐久間盛重、佐久間信盛は、信長に忠誠を誓う。


「おもしろい。柴田なら殺そうとするだろうが、林がどうするか、試そう。」


信長は、1人で林の屋敷に行こうとする。



ここは宇宙尾張。林の屋敷。


「と、殿!?」


林は驚いた。信長が護衛も付けないで、1人でやって来たのだ。


「林、邪魔するぞ。」


信長は、空け者らしく普通に表れる。


「何か御用ですか?」

「俺を暗殺しないのか?」


この信長の返しに、林は信長に謀反がバレていると気づいた。


「殿は、いたずら好きで空け者と呼ばれ、当主には向いておりませぬ。また教育係の平手政秀も責任を感じ、自害してしまいました。それから謀叛や戦の連続です。これでは尾張の国がもちません。後ろ盾の美濃の斎藤道三の死。殿は孤立無援でございます。」


林は、信長に思いをぶつける。


「殿では、織田家をまとめることができないでしょう。」


林は、決別の一言を言う。


「ですが、3代にわたってお世話になった恩があるので、暗殺はいたしません。」


それでも林は、織田家に恩を感じている。


「わかった。今度、会う時は戦場だな。」

「・・・。」


信長は、それしか言えなかった。そして信長は帰って行った。空け者の信長が、家臣の様子を伺いに来ることを、不思議に感じる林であった。



ここは宇宙尾張。清州城周辺。


「でやあ!」

「とりゃあ!」


ついに信長軍と信行軍との兄弟対決が始まった。


「突き進め!」

「数はこちらの方が多いぞ!」


信長軍700に対し、信行軍は1700。柴田が1000、林が700。信行軍が圧倒的に有利だった。


「引け! 退却だ!」


信長軍は、佐久間、森、前田、丹羽長秀などが挑むが、戦上手の柴田の相手は一筋縄ではいかなかった。


「清州城を落とせ!」


柴田・林軍は、連戦連勝で信長のいる清州城まで攻め入った。


「突撃!」


柴田の合図で、柴田・林軍は突撃する。信行軍の宇宙鎧侍が清州城に乗り込んだ。


バキューン! バキューン! バキューン!


火縄銃が連射され、柴田・林軍の宇宙鎧侍を撃破していく。


「撃て!」


信長が合図を大声で叫ぶ。


バキューン! バキューン! バキューン!


火縄銃の連射技術は、まだ開発されていないはずだが、信長軍は、火縄銃の連射ができた。


「しまった!?」


柴田や林の宇宙鎧侍も火縄銃の弾が命中して、機体がダメージを受けてしまう。


「ギャア!?」

「火縄銃の連射だ!?」

「おっかねえ!? 逃げろ!?」


柴田・林軍は、総崩れになる。


「やった! 敵が逃げ出したぞ!」

「殿の作戦が大成功だ!」


信長の作戦とは、数で負ける相手に何度も負け、油断を引き出し、本拠地の清州城まで攻め込ませることだった。多くの敵でも、1か所に集めれば大きな的である。乗り込んでくる敵を、チャージ済みの火縄銃を1人3本持っている。3発を撃つ頃には、1発目のチャージタイムが終わっているのだ。だから火縄銃を連射のように撃つことが出来るのだ。


「信長、出陣する!」


信長は、最初から気合が入りまくりであった。


「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」


信長は、今まで耐えていたのでストレスが溜まっていた。それを一気に開放する。


グイン!


信長の感情の高鳴りに合わせて、空け者システムが起動する。全身を赤いオーラに包まれる。


「殿に続け!」


信長軍は、息を吹き返した。清州城から出撃する。


「宇宙お城戦艦、清州城、発進!」


サルが艦長として、ブリッジで指示を出す。清州城は、ロケットエンジンを噴出させ、宇宙尾張の中を飛ぶ。


「全砲門開け! 5秒後に援護射撃を発射する! 3,2,1、撃て!」


お城戦艦、清州城から一斉砲撃が始まる。


「ギャア!?」

「宇宙尾張の中で戦艦攻撃!? 正気じゃねええ!?」

「逃げろ!?」


柴田・林率いる信行軍は、信長の空け者な戦い方に混乱し、逃げるしかなかった。


「信長斬る!」

「信長斬る!」

「信長斬る!」


信長は、信行軍の宇宙鎧侍を次から次へと斬っていく。斬れば斬るほど、自分に敵対する者の数を減らせるのだ。


ここは宇宙尾張。信行の居城になった那古野城。


「どうしよう!? どうしよう!?」


自ら戦えない信行は、ビビりなので、お城戦艦、那古野城で迎え撃つこともできなかった。


「無念。」

「まさか負けるとは・・・。」


数で倍以上勝っていたのに、信長の奇策により、ほぼ柴田と林以外は討ち死にしたてしまった。信行軍は、籠城するしかなかった。



ここは宇宙尾張。信行の那古野城の周囲。


「勝った! 勝った!」


信長の軍勢が那古野城を囲む。信行たちが降伏してくるのは時間の問題だった。


「ちょっと待った!」

「母上!?」


那古野城から信長の母、土田御前が出てきました。


「信長、今回の戦は何かの手違いです。信行を許してあげてください。」

「・・・母上が言うのであれば仕方ありません。ただし条件があります。私に土下座と忠誠を誓うと約束させてください、」

「分かりました。約束します。」


こうして母、土田御前は那古野城に戻って行きました。



ここは宇宙尾張の清州城。


「申し訳ありませんでした。これからは兄上に忠誠を誓います。」

「申し訳ございません。信長さまに忠誠を誓います。」

「申し訳ございません。殿に忠誠を誓います。」


信長の弟、織田信行と柴田、林が謝罪しにやって来た。


「今回は、母上の頼み故、信行、おまえを許す。柴田、林は代々織田家に仕えてくれた家臣なので赦免とする。」


信長は3人を許した。


「ありがとうございます。」


3人は、信長の前から去って行った。


「兄上め! この屈辱は忘れぬぞ!」


弟の信行は、復讐に燃えていた。


「信長がお城戦艦、清州城を発進した時に、信行さまもお城戦艦、那古野城で応戦してくれていれば・・・マザコンの信行さまでは、ダメだ。」

「先祖の事まで言われては、もう歯向かうことはできん。」


柴田と林は、信行を見限った。



ここは宇宙尾張の信行の那古野城。


「信長を殺してやる!」


信行は、まだ兄の信長に従うつもりはなかった。


「今、信長は病の床にあり、一度、お見舞いに行かれてはどうですか?」


柴田は、信行に信長が病と言う。


「そうか、寝ているところを寝首を掻いてやる!」


信行は、信長を殺すつもりでお見舞いに行く。



ここは宇宙尾張。信長の清州城。


「兄上が病と聞き、お見舞いに来ました。」


弟の信行である。


「それでは刀は全て、置いてからお入りください。」


信行は、刀は置いたが、懐に短刀を隠し持っていた。



ここは信長が病で寝てる部屋。


「死ね! 信長!」


信行は、懐から短刀を出し、寝ている信長を殺そうとする。


「ギャア!?」


刺されたのは、信行の方だった。


「信行、おまえの裏切りは柴田から聞いて知っているぞ!」


信長は、柴田から事前に聞いていて、策を練って、病と言い信行を誘きだしたのであった。


「謀ったな!? ゲフ!?」


こうして信長の弟、信行は死んだ。


「河尻秀隆、よくやった!」

「はは!」


信長は、信行を倒し、ほぼ尾張の敵対勢力を倒したかに見えた。


しかし、他の織田家が美濃の斎藤義龍と共に信長を討とうとする未遂事件が起こったり、宇宙空間の宇宙浮野という場所でも、他の織田家と戦闘。これにも信長は勝ち、やっとのことで、敵対する他の織田家を倒すことができた。


さらに守護になった斯波義銀が信長を暗殺しようとすると、信長は、これをあっさりと鎮圧。邪魔な存在は、倒すか、殺すか、追放する。要するに自分の道を妨げる者は消してしまえばよいということである。


「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」


信長は、尾張を支配する国主になったのだ。



ここは宇宙京。足利の屋敷。


「将軍さまにお会いできて、恐悦至極にございます。」


尾張の国主になった信長は、上洛した。兵はたったの100人ほどだった。


「うむ、苦しゅうない。」


相手は、13代足利幕府の将軍、足利義輝である。


「信長、尾張を平定いたしました。」

「そうか、すごいのう。」


将軍は、信長が空け者と呼ばれる問題児と聞いていたので、普通に正装して現れたので面白くない。


「室町幕府のために、頑張ってくれよ。」

「はは。」


こうして謁見を終えた信長は、尾張に帰って行くことになる。


「空け者が尾張の国主だと? ハハハ! ふざけるな! この世は生まれが全てだ! 御家柄なのだよ! すぐに今川に文を送れ! 織田家を滅ぼして、宇宙京に上洛して来いと!」

「はは!」


当時、足利義輝は、京で圧倒的な勢力を誇っていた、三好長慶に苦しめられていた。三好は、京、畿内だけでなく、四国にも兵を派遣するなど、天下統一に1番近いと言われていた。


その三好にいじめられていた将軍、足利義輝がイライラしていたのは確実である。



ここは宇宙駿府。今川義元の駿府城。


「おお!? これは京からの上洛要請!?」


今川義元は、将軍、足利義輝からの文を読んで身震いしていた。


「よし! 決めたぞ!」


今川義元は、立ち上がり家臣たちに指示


「私は隠居し、家督を氏真に譲る!」


今川義元は隠居した。そして家督をバカ息子の氏真に譲った。


「これより三河を平定し、京へ、上洛するぞ!」

「おお!」


ついに東海の覇者、今川義元が動き始めた。


つづく。

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