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異世界で正しく生きるには  作者: 春に狂う
ここを拠点とする!
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一件落着!ひと段落!です!!

ゴブリンの死体から逃げるように来た道を戻る。

後ろめたい何かを置き去りに、村への帰路を急ぐ。

1つの生命を潰すという行為を初めてしたのだし、胸にしこりが遺るのも当然ではあるのだけれど…

自分を聖人君子とは思っていなかったし、言葉の通じない化け物相手で、こんなになるとは思わなかった。


個人の正義感で、見ず知らずの大人を利用する程度には、悪道にいると考えていたのだけれど…



益体もなくボーッとしながら、村へと向かう。

そうだ、ガウスさんに手伝ってくれたことの礼を言わなければ…


「あ、でもどうやって見つけた事を知らせればいいんだろ…?」


ガウスさんは僕とは反対側、平野へと繋がっている方面を探してもらっている。

距離的にも僕が走って追いつくような人ではない。大人の彼と子どもの僕とでは、歩幅が大きく違うのだから。


まあ、先ずは3人と村に戻ることが最優先なのだけれども…


「……で、これ何?」


「おふねー!」


「お空、とばしてます…!」


「おっきなのをね!飛ばしたらね!バティたちも乗れるの!!」


「あー…うん、なるほど……なるほど?」


林を抜けた所で、思い出したように3人が大きな丸太を持って来たのだ。

村の倉庫にある備蓄の一本を借用したらしく、移動に使ったとの事。どこに置いてあったのか…


バティたち3人は、サイコキネシスと呼ばれる類の能力(ちから)を持っていて、重さに関係なく、大体のものを自由に飛ばせる。

人や動物も飛ばせるのだが、どうにも自分自身は飛ばせないらしく、先ほど落ちて来たのも、木に登っていたのではなく、3人で丸太に乗っていてバランスを崩したということしい。


いまいち3人の持つ超能力の感覚が分からない…

感情の上下動や精神の動揺が能力の安定性に直結しているのだろうか。

だとすると、丸太から落ちたのはゴブリンの姿を見て怯えたから?

けどそうすると丸太が落ちなかった理由は?

3人にあの時の気持ちを聞くのもどうかと思うし…


他の子達の能力、例えば


ヴェスタ(70番)スティア(12番)の2人は発火能力(パイロキネシス)

リヴィア(2番)流水能力(アクアキネシス)

バズス(22番)ゾフィ(87番)スカッド(11番)の3人は流風能力(エアロキネシス)

スレイ(88番)トルース(7番)の2人は発雷能力(ボルトキネシス)


といった能力で、みんなある程度は自分の意思で使いこなせているけれど、怒ったり泣き叫んだり、感情が大きく乱れると制御できずに暴走してしまう。


施設での僕たちへの実験や研究で分かった事は、一応僕たちでも見れるようにはなっていて、この8人はふぇ…フェノメナキネシス?だったかの欄に書かれていた。


詳しくは理解できない(わからない)けど、ヴェスタやスティアと同じように火を出せる子は他にもいるけれど、2人とは能力の発動や制御の仕方が違うように、他の子たちも、同じ能力に見えて何かが違う能力という事なんだろう。


なんだか頭がこんがらがって来た……

元を正せば感情の乱れで能力は暴走する。

けれどバティたち3人が能力を暴走させた形跡はあの林からは見られなかくて不思議だったというだけな筈だったのに…



……単純に滑って落ちただけだろうか?

3人同時というのも変な話だけれど、こう考えるとなんだかしっくりくる。


「お兄さん、お兄さん」


「っと、ファロル?どうしたの?」


「村、着きます」


変に考え込んでいる間に村の近くまで来ていたみたいだ。

畑の周りでは、掘り出した土が山の様に積み上げられていて、すぐ側には掘られた穴が遠目にも確認できた。

村の人たちは休憩している様で、寝転がっていたら話していたり思い思いに行動している。


「ちょっととは言え、遠出して疲れてるだろうけど、それはそれ。あの土をかき混ぜてもう一回埋めてもらうからねー」


「はーい」


「バティね!全然疲れてないよ!!」


「ぎゅーって、するんです?」


「頑張ってねマリウス、バティは元気だねーもうちよっと声小さくしよっか、ぎゅーっじゃなくてぐるぐる〜っの方でお願いできる?ファロル」


「「「はーい!」」」


「それじゃ、先ずみんなに言うことは?」


「「「ごめんなさいー!」」」


「良し、それじゃ村の人たちにちゃんと言おうね?」


言うが早いか、村長の方へと一斉に駆け出した。

少し前までは見られなかった元気な笑みを浮かべながら。


村の人たちが笑顔で接してくれて助かると、こういった時、本当に思える。

施設の大人のような、底冷えする目で見られていれば、小さい子たちは当然、僕含め年長の子たちだって誰も信用できずに、この子たちが今見せているような笑顔は見れなかったことだろう。


警戒はしているけれど、それでも感謝の気持ちや信頼心もある。

外を知らないというのも多分にあるのだろうけど、この村に来れて良かったと思っている。


ファンタジーな世界だと言うのなら、施設に関わりのある大人に見つかってしまうこともないだろうから、その点でも安心できるし、理由は分からないけどみんなと言葉だって通じる。


「うん、多分、来れたのが“ここ”で良かったんだろうなぁ…」


「なんだ小僧、耄碌したジジイみてえな事言いやがって」


「うわぁっ!?が、ガウスさん!?」


「おう、ガキ3人も無事だったみたいだな」


「えっと、どうやって…?」


「ガキの足で行ける所は探し終えたからな、一旦村に戻って来てたんだよ」


…平野で見晴らしが良いとは言え、その分捜索範囲は広かった筈なのに…

ガウスさんって足が速いのか……意外すぎる…


「おいてめえ、なんか失礼なこと考えてやがるな?」


「えっ?そ…んなことは…ないです、よ?」


「分かりやすい奴だな…」


「………」


敬語に慣れてないだけです!

動揺しやすいとかそういうんじゃありませんから!


僕達はこの村で!重要な立ち位置を確立するんです!

だから極力弱みを見せない様じゃないと…!

超能力の設定に関して、作中での説明は主人公目線での解説が主になります。

分かりにくい様でしたら活動報告の方に纏めたものを投稿すると思います。



これまでに登場したキャラクターの特徴を活動報告の方で上げておきます。

キャラの動きをイメージし易くなって貰えると喜ばしいです。

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