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異世界で正しく生きるには  作者: 春に狂う
ここを拠点とする!
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復興は まだまだ続くよ どこまでも その2

さて、狩りをすると言っても当然ながらそんな経験はないし、その為の道具もない。


となると、先ずは誰かに教えを請うしかないのだけど…村全体の話として、そんな余裕はない。


食糧事情に問題がないと言っても、別に余裕があるという訳ではなく、かといってない訳でもない。

貯蔵用として扱われている洞穴には穀類を始めとした野草などの植物性食物だけはある。


ただ、こういった貯蔵食糧も、本当に食べ物がない緊急時の為のものなので、何らかの理由で狩りが出来ないときにしか開放されないらしい。


結局、日々の食料の要は狩猟に掛かっていて、尚且つそちらに回している人材を他のことに割けない。割く余裕はないということになる。


けれど、そうなると困った事になる。

僕に狩りを教えられる余裕のある人がいないのだ。


コツだけでも教えてもらって自分で試す……時間は掛かるけれど、多分これが最善だろう。

弓と矢の作り方なんかも教えて貰えれば村全体の装備を整える事も出来るかもしれないし…


一度考えが決まると、次々と肯定理由が浮かんでくる。


うん、狩りのコツはエドさんに教えてもらうとして、弓矢の作り方は…あれ?そもそも誰が作ってるんだろうか?


……村長に聞きに行ってみよう。











「ふむ、村での役割分担とな?」


「はい。誰が普段何をやってるのかなって…」


「まあ構わんがのう」


「すいません急に…」


「ほっほ、何お主もあと少しすれば働いてもらう歳になるしの、先に知っておいて損はなかろう」


「えっと、今すぐ狩りを手伝うとかは…?」


「……狩りの危険を分かって言っておるのか?」



急に…いや、ゆっくりと、僕の言葉を聞いた村長は目を閉じ、緩やかにそう口にした。



「え…?」



ただ、余りにも雰囲気が変わり過ぎて、一瞬何を言われたのか分からなくなった。



「狩りに出れば当然肉食の獣に襲われるやもしれん。それは魔物でも同じことが言える。その危険を分かって言っておるのか?」


「あ…いえ……」



ただ、言われてみればそれは当然の事で、少しずつ慣れていこうなんて、軽率な考えの自分に気付く。

林でゴブリンと遭遇し、次はないと思いながらも、どこか楽観視していた。

どうにかする目処も立っていないのに、行き当たりばったりなまま行動を起こす無鉄砲さを理解していなかったのだ。



「…まあお主なら分かっておるじゃろ」


「っ…」



すみません全然考えてませんでした。



「ほれ、これが書き留めじゃ…お主、字は読めたか?」


「大丈夫です。施設では本を読んでいたので」


「そうか、まあ読めんかったらアーカードに頼むと良い」


「いえ、ですから読めますって」


「ほっほっほ」



そこから村長はずっと笑って、僕が何を言ってものらりくらりと笑みを絶やさなかった。


なんなんだ一体…

まあ、トーヤくん、この書き留めを読めないんですけどね。

施設での本は読めてましたよ。

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