第69話
■2015/08/15 誤字脱字の修正、及び表現の一部変更を行いました。
第69話
◇
翌朝、いつも通りの0530時に目が覚めたのに、俺は何とも言えない倦怠感に襲われた。
以前、毒槍で傷を負った時ほど酷くはないが、風邪で高熱を出した時くらいには辛い気分である。
かと言って、微熱がある訳でもない。
恐らく原因は、昨日ヘルガの『剛力』の『秘伝』を真似て、魔法をブーストして放ったことだと思われる。
あの直後から何とも言えない気怠さを感じていた。
以前よりもレベルが大幅に上がって回復力も高くなっているハズなのに、このザマという事はブーストも色々と検証が必要な技術の様である。
先日『必殺』と『加速』という体術系の『秘伝』を購入して、ガキの頃から修めてきた武術に組み込む事を始めたばかりだというのに、新たな強化手段を見つけてしまったからには、更に完成は遠のくかもしれない。
しかし、検証の度にこんな状態になっていては、余計に進捗が遅れかねないので、今回の騒動が片付いたら回復系の『秘伝』を購入しておく必要がある。
怠いとは言っても、遺跡への案内人の仕事を受注してしまったからには仕事を休む訳にはいかないので、ベッドから気力を奮い立たせて起き上がった。
ヒルダは昨夜、母親であるヘルミーネと一緒に寝ていたため、俺と一緒に眠っていたのはヘレナだけだったが、彼女と目覚めのキスを交わしてから出かける準備に取り掛かる。
食堂には既にレナート、ヘルガ、ヴィクトル、ヴェラの4人が来ており、昨夜の内にヴィクトリアたちが用意しておいてくれた料理をテーブルに広げているところだった。
「おはよう。」
「おはようさん。顔色が良くないけど大丈夫かい?」
俺が声をかけると、レナートたちが挨拶を返してくれる中で、ヘルガが俺の顔を凝視して心配そうな様子を見せる。
「大丈夫だ、ありがとう。昨日あの龍神像を壊すのに力を込め過ぎたみたいでな。魔力の回復が遅いだけだ。」
「あれだけ変わった『秘伝』を沢山購入しているのに、回復系のモノは持ってないのかい?」
「ああ、丁度それの購入を検討していたところだ。」
「そうかい。まあ、今日はもう一度昨日の場所へ行くだけだから、無茶する必要もないハズさね。」
「そうだと助かるんだがな。
そう言えば『秘伝』を購入した人間を他に見た事が無いんだが、何か問題でもあるのか?」
「私らはどうしても、物心つく前から習って来た血継の『秘伝』に愛着があるのさ。
それに、購入する際に適正診断があるとはいえ、あれは適正が全く無い人間を判断する為だけのものだからね。
高い金を払った挙句に、適性が辛うじて有る程度だったり、血継の『秘伝』に悪影響があったりする事が多いんだよ。
普通は、ヘルミーネみたいに血継の『秘伝』の適性が非常に低い輩が、ランク4以上になったら購入するくらいさね。」
ヘレナも俺の助言が無ければ、折角購入した『秘伝』の習得を諦める所だったから、適性以外にも現象に対する明確なイメージの有無が重要なのかも知れない。
映像技術の発達した地球の先進国でも、自然現象をスロー再生の様に明確に思い描ける人間は少ないのだから、この世界だと更に難しいハズである。
「なるほどな。じゃあ、―――」
俺たちは、そんな会話をしながらのんびりと食事を終えてから、ハンターギルドへ赴いた。
◇
俺たちがギルドのホールに入ると直ぐに、カトゥーンのナル○に出てきた写輪○みたいなコロボーマ眼を持つ神秘的な受付嬢が声を掛けてきた。
「皆さん、会議室の方へ来て下さい。」
この美人受付嬢はアルビノらしく、体毛や皮膚は真白で、瞳孔は毛細血管の透過により赤色をしているのだが、眼に黒い幾何学的な模様があるせいで、俺には写輪○にしか見えない。
会議室には既にギルド職員だけでなく、今回同行するランク4ハンターや、駐留軍の千人長と諸行軍の百人長も俺たちを待っていたようだ。
待ち合わせ時間までには未だ10分間ほどあるので、俺たちが遅刻した訳ではない。
挨拶を交わしたが、士官たちの態度は何処かぎこち無い様に見える。
恐らくだが、この街には基本的にランク4以下のハンターしか居ないせいで、士官たちはランク6ハンターである俺やヘルガとの距離感を探しあぐねているのではないか、と思われる。
但し、ランク5ハンターもいないが、駐留軍や諸行軍の総隊長はランク5相当なので、レナートの扱いには困っていないらしく、彼は窓口代わりにされていた。
0630時になると予定通りに会議が始まったが、特に僭神の使徒や眷属を駆除しに行く訳ではないので、縦穴の存在する地点の座標を確認したり、進軍する順路を確認するだけである。
昨日、折角ヘルガが遺跡の傍に縦穴を開けたにも関わらず、そこはランク6の領域である事から使用しないことになった。
結局は、俺たちが最初に見つけたランク5の領域にあった縦穴から潜入して遺跡まで進むことになる。
この辺りの深淵の森に住むランク7以上の生物は基本的に巨大なので、直径4フィートや6フィート程度の縦穴には入り込めないハズだ。
仮にあのトンネルに入り込んでいるとしても精々がランク6の危険生物なので、狭いお陰で囲まれる事が無いなら俺とヘルガがいれば、何とか対処は可能との見通しだった。
◇
20分間にも満たない会議を終えて、ホールで待っていた兵士たちと合流し、そのまま深淵の森に向かって出発した。
ランク4ハンターが8名、ギルド職員が2名、駐留軍と諸行軍はそれぞれ十人隊、それに俺とレナート、ヘルガ、ヴィクトル、ヴェラの合計35名が調査隊の総員である。
俺とレナートとヴェラが先導し、ヘルガとヴィクトルが殿を務めて、全員が駆け足で進んでいく。
ランク3ハンターであるヴィクトルやヴェラのペースなら把握しているので、俺とレナートはそれに合わせて進んでいたのだが、意外な事に諸行軍の2名の若い兵士が真っ先に疲労で倒れてしまった。
「何をやっとるんだ、貴様らは?」
「も、申し訳、あ、ありま、せん。」
下士官が叱責しているが、倒れた兵士はロクに返事も出来ないくらいに呼吸が荒い。
同じランク3相当とはいえ、ヴィクトルやヴェラは既にランク4に近い実力があるが、どうやら兵士たちは未だランク2に近い実力しか無いらしい。
城門から未だ3マイルほどしか離れていないのに、早速大休止に入ったのだが、良く見るとハンターの1人も付いてくるのがやっとだったみたいで、膝に両手をついて荒い呼吸をしている。
逆にヴィクトルやヴェラは車両などでいう所の巡航速度で走っていたので、ウォーミングアップにしかなっていない。
30分間ほど経ってから、速度を落として進軍を再開する。
◇
昼を大分過ぎた頃になって漸く、昨日見つけた縦穴まで残り100ヤードほどの距離まで来たが、ここは深淵の森へ13マイルほど入った場所でもある。
シルヴェストル辺境伯領に隣接している深淵の森は、ジルヴェスター辺境伯領やシグブリット辺境伯領のモノよりも、ランク4の領域が5マイルほど奥へ広く、ランク5の領域がその分だけ狭いとはいえ、15マイルより奥からはランク6の領域になるのは変わらない。
そのため、深淵の森へ12マイルほど入った場所にも、ランク6の生物が獲物を追いかけて出現する事は多々あるらしい。
ここで、俺たちの中で『探査』の魔法で最も遠くを見渡す事が可能なヴェラが何かを発見したと告げて来た。
「何か木像みたいなのが沢山いるよ。」
この世界には絵空事ではなく神々や精霊などが実在するので、目に見えない神々を勝手に形した神像を作る事は禁忌とされているが、芸術品や美術品としての銅像や木像は普通に存在する。
俺のすぐ後ろから聞こえてきたヴェラの言葉が気になって、俺とレナートは全体に合図を出して即座に立ち止まった。
「木像?案山子みたいに設置してあるのか?そんなもの昨日は見なかったハズだがな。」
「違うよ。東の方へ向かってゆっくり進んでいるんだよ。」
俺の問い掛けに対するヴェラの回答によって、物見遊山気分の調査は終わった。
レナートが即座に臨戦態勢に入り、口頭によるやり取りが封鎖されて、俺とレナート、駐留軍と諸侯軍の下士官の計4名で偵察してくる事がハンドサインで全体に告げられた。
ヘルガは基本的に獲物を見た途端に後先考えずに突撃していくので、彼女にはこの場でヴェラとヴィクトルのお守りをさせておく。
それにしても、こうも頻繁に異形の生物に遭遇すると、未知の生物と遭遇出来た事による喜びよりも、誰かが陰謀を巡らしているのではないかと勘繰ってしまう。
俺はある程度近づいてから、シネマのスピーシー○に出てきたエイリアンに良く似ている木像のステータスを読み取ってみる。
【名称】
ヒト型節足動物類 アラクランノイド科 アラクランノイド
【レベル】
59
やはりこいつらが、先日遭遇した蟻人と共生関係にあるといわれている蠍人らしい。
アラクランノイドの外見は、コーンロウみたいな髪型をしている様に見えるが、体表に描かれている幾何学模様と同じく、全身を覆う甲殻にそういった彫刻が施されているだけらしく、チベットの仏像が動いているかの様な印象を受ける。
何方かというと、シネマのエイリア○出てきたビッグチャッ○に似ていたミュルミドネスの方が、蠍人といえる様な外見だった気がする。
いや、そんな事はどうでも良い。
西側の奥の方から、シネマのエイリア○に出てきたクイーンに何となく似ている巨大な生物が出てきたが、俺にはコイツのステータスが読み取れない事からすると、最低でもランク7以上である可能性が高い。
コイツは体長約33フィート、体高15フィートほどで、細長いカブトガニを被っているみたいな頭部に、口にはアリと同じ様な大顎があり、阿修羅像みたいに左右3対の腕が計6本と、干乾びて痩せ細ったティラノサウルスみたいな真っ黒色の身体をしている。
そして、このクイーンモドキが引き摺っているのは、シネマのメガ・スパイダ○に出てきたのと同じくらいに巨大なクモだった。
巨大クモの頭部には人身みたいなモノがあるのでアラクネらしいが、コイツのステータスも読み取れないし、人身部分の腕は肘から先がなく、人身部分の背部から生えている刺だらけの3対の細い副椀は垂れ下がっている。
アラクランノイドは、クイーンモドキの尖兵として前方を警戒し、巨大クモの後ろからはグールやアンデッドが大量について来ていた。
この世界でのグールとは、ビデオゲームのデッドスペー○に出てきたネクロモーフみたいな存在で、人間の新鮮な死体が何らかのウイルスみたいなモノに感染もしくは汚染すると、変成して発生する。
既に腐敗が始まっている死体がグールになることはないが、歩き回る腐った死体みたいなアンデッドになる場合があり、これも別系統のウイルスみたいなモノに感染もしくは汚染した結果だと考えられている。
グールは、生前のレベルにより変成後の形状や能力が異なるらしいが、基本的には元の身体とは別に、カマキリみたいな2本の腕が肩甲骨から生え、鞭みたいな3本の触手が頭部から生えており、その他の全身は表皮が剥がれ落ちて剥き身の状態になる。
グールやアンデッドは、ビデオゲームみたいに脳や心臓といった生物の急所を破壊しても無意味で、焼却しなければ行動を止めない事から、取り敢えずは 四肢や頸部をバラバラにするしか対処の方法が無い。
こいつらは、街や俺たちの方へ来るのではなく、滅亡した隣国の方へ向かっているみたいなので、今直ぐ対処が必要という訳ではない様である。
しかし、少なくとも千匹以上はいる僭神の眷属を放っておけるハズもない。
俺たちは偵察を終えて皆が待っている場所まで慎重に戻る。
駐留軍の千人長が脳内で遠方と会話できる『無線』の魔法を使用しながらも、偵察に出ていた下士官から既に『無線』の魔法で聞いていた内容をワザワザ声に出して本部への報告を始める。
恐らくは、『無線』の魔法が使えない俺たちハンターたちへの説明を兼ねた配慮だと思われる。
下士官だと約1マイル程度までしか届かない短距離専用の『無線』の魔法しか使えないらしいが、千人長以上になると20マイル近くも届く中距離用の『無線』の魔法も使用出来るらしいので、ここからでも街中にある軍の本部まで直接通信可能なのであろう。
宮廷筆頭魔導師になると、大陸の両端間でも通じるくらいの『無線』の魔法すら可能になるみたいだが俺には関係のない話しだ。
「ヘッドクォーターへ、こちらはブラボー。隣国で消息不明となっていた蟲神の使徒を発見した。別の僭神の使徒に引き摺られて隣国の跡地へ向かっている模様。―――」
しかし、その内容は驚くべきものだった。
僭神として崇められる生物は最低でもレベル1000以上、使徒はレベル300以上というのが一般的に知られている法則らしい。
そうすると、あのクイーンモドキや巨大クモは、やはりランク7以上の生物だという事になる。
「―――。ヘッドクオーターへ、了解。ブラボーはこれより使徒を尾行し、行方を確認する。オーバー。」
報告の終了した士官に俺は尋ねてみる。
「千人長殿。俺たちハンターは、どうすれば良いんだ?」
「ソードとレナートは同行して欲しい。辺境伯閣下がギルドを経由して正式に依頼するそうだ。
ヘルガにも同行して欲しいところだが、未だ緊急事態とは断定出来ないので、予備役の彼女に依頼は出来ないらしい。
縦穴の調査は後日再度実施するので、他のハンター諸君はギルド職員と一緒に一旦帰還して貰いたい。」
「了解した。それと先ほどの使徒どものレベルは分かるか?」
「十人長にもあいつらのステータスは読み取れなかったそうだが、過去の記録からすると蜘蛛神の使徒である巨大クモは多分レベル400程度のハズだ。」
「そうか。ありがとう。」
やはりか。緑色の巨人型生物がレベル350だったから、それよりも身体能力は大分上という事だ。
何となくだが、そんな気はしていた。
普通ならあんな珍しい生き物を見れば、俺は楽しいと感じるはずなのに、緑色の巨人型生物を初めて見た時にも感じなかった怖気しか感じていないからだ。
しかも、それを半殺しの目に合わせているもう一匹のクイーンモドキの使徒は、身体能力か戦闘力がそれ以上のハズである。
キメラを除いてランク7以上に分類される生物は、人間が下手に大軍を投入して駆逐しようとしても、一発で広範囲を殲滅する事が可能な大技を持っている場合が多い。
因みに巨人型生物は雷撃を放って周囲を皆殺しにしたが、こいつもキメラではないかと言われているので、例外扱いされている。
もっとも、下等竜がブレスを放つのを含めて、俺はそんなマップ兵器が使用される現場を見た事はない。
そして、もう一つ恐怖を感じているのが、神々が浄化の炎を使用するタイミングの事だ。
単に僭神の使徒や眷属が居たりするだけでは浄化の炎は発動しないが、一旦発動すると何故かランク5以下の領域がまとめて滅却されるらしい。
浄化の炎自体は人間に無害だが、浄化の炎によって熱せられた空気を吸ったりすれば人間も肺臓や気管支を焼かれて死ぬし、浄化の炎によって発生した爆風で飛来した物体が当たっても人間は簡単に死ぬ。
◇
最後尾だと思われるグールやアンデッドが通過して暫くしてから、俺とレナート、駐留軍と諸侯軍の十人隊が尾行を開始する。
他の者たちはヘルガが先導して帰還した。
往路で殆どの危険生物を狩ってきたばかりなので、復路では余程のことがない獲物自体がいないハズである。
1マイルほど進んだ所で体力の低かった若い兵士が恐慌状態に陥ったらしく、突然槍を振り回しながら大声で意味不明な事を喚き始めてしまった。
「もう嫌だぁ!―――」
只でさえ危険な任務のせいで極度に緊張して酸素を無駄に浪費しているのに、心肺能力が低いせいで少し移動しただけで酸欠状態となり、思考力や忍耐力が大幅に低下してしまったのだろう。
訓練不足の新兵には良くある事だし、大抵の一般人が突然極限状態に放り込まれ、それが長時間続くとこうなるのが普通である。
特にこれが地球の軍隊だったら引き金を引くだけで殺す事が出来るので、恐慌に陥った新兵が敵味方区別なくアサルトライフルを乱射して大混乱に陥っていたかも知れない。
だが、ここでは1秒間にも満たない間に下士官がその兵士の槍を叩き落とし、口を塞いで取り抑えた。
前方に居るグールやアンデッドに特に変わった動きは無い。
しかし、正直に言って、グールどもに気づかれていないとは思えないのだが、既に終わった事だ。
以後は標的に気付かれて警戒されている前提で事を進め、無理そうだったらきっぱり諦めて手を引くしかないだろう。
拘束された兵士を下士官が簡易転移門で本部へ送還すると、千人長のハンドサインによって尾行を再開する。
軍が使用している簡易転移門も起動すると金切り音がするらしいのだが、ゴツいノイズキャンセリング装置が別途取り付けられているので、注意していなければ気付かない程度の音だった。
何れにしても、面白くも何とも無い最低の狩猟となりそうだ。
僭神の眷属や人間の死体だったモノを食う事は禁忌とされているし、食いたいとも思えない。
それに、簡単に死なないというか動けなくするのにも一苦労する様な相手しか居ないのだから新兵が嫌になる気持ちも分かる。
◇
駐留軍の士官がハンドサインで、辺境伯領の領地外へ出た事を教えてくれてから数マイルほど進んだ。。
突然剣呑な空気を感じ取った俺は、直ぐさまハンドサインで停止と警戒を呼びかけ、全員で方円陣を組んで全周囲の索敵を行う。
数秒後、一部にはアラクランノイドも混じっているが、俺たちは千体近いグールとアンデッドの集団に包囲されている事が分かった。
クイーンモドキみたいな使徒がいないのは、不幸中の幸いである。
この期に及んでは口頭によるやり取りを封鎖しても無意味であろう。
俺とレナートは敵を挑発しながら、味方の士気などの様子見を始める。
「よう、お嬢ちゃんたち!俺はトンネル警備のジョンソンだ。
おかしな報告があってな。大きなクモに乗った6本腕のサソリがなんだが、もしかして君たち見かけなかったか?」
「それにしてもお前ら臭いぞ!鼻がひん曲がりそうだ!香水の着けすぎじゃないか?」
今まで微風は北側から吹いていたので気にならなかったが、その北側にもアンデッドが回り込んだために死臭が漂ってくるようになった。
土左衛門らしき崩れかけのや破裂寸前に膨らんだのなど、アンデッドの大半が風下に居るのがせめてもの救いではある。
俺たちの挑発に対して、当然ながら知能のないグールやアンデッドは何の反応も見せないが、アラクランノイドが俺たちには理解出来ない言葉を口から発して応えたのを合図にして、グールどもが一斉に高速で襲い掛かって来た。
<続く>
【人物紹介】
ソード……主人公。本名は、惣田真悟。ステータス上の名前が、シングル・ソード。ランク6ハンター。
ヘレナ……ソードと同棲中。傭兵ギルドの教育担当。ランク5ハンター。
ヴェラ……ヘレナの父方の又従姉妹。ランク3ハンター。
ヴィクトリア……ヘレナの父方の従姉妹。ハンターギルドの契約責任者。ランク5ハンター。
レナート……ヴィクトリアの同棲相手。ランク5ハンター。
ヘルガ……ヘレナの叔母。元ランク6ハンター。
ヘルミーネ……ヘレナの母方の従姉妹。ヘルガの娘。ランク3ハンター。
ヒルダ……ヘルミーネの娘。4歳。
カール……ヘルミーネの同棲相手。ハンターギルドの渉外担当。ランク4ハンター。
ヴィクトル……ヘルミーネの母方の又従姉弟。ランク3ハンター。
【基本魔法紹介】
『探査』……亜人の視力や視覚を再現したもの。実際に視力を強化している訳ではなく、周囲へ魔素を放って反響する魔素を知覚し、視覚と共感覚を引き起こしているだけなので、可視光線以外の映像を視ることも出来る。
『強化』……亜人の頑丈さとパワーやスピードを再現したもの。実際に筋力や筋肉を強化している訳ではない。
『収納』……麻袋などに物体を放り込むという光景を再現したもの。自由に出し入れできる収納空間。容量や時間の流れは個人の力量に比例し、一度構築すれば状態の維持に魔力は消費しないが、出し入れ時には質量に応じた魔力を消費する。生きているモノも入れられるが、消失する事がある。
【秘伝魔法紹介】
『転移』……転移門の機能を再現したもの。自身だけでなく接触している任意の物体にも作用し、距離や容量は完全に個人の力量に比例する。
『飛翔』……グリフォンの飛翔を再現したもの。実際には空中に浮遊している訳ではなく、『落下』の魔法と似た様なモノで目標座標に向かって自身が落下しているだけである。
【その他】
シルヴェストル辺境伯領……主人公が転居してきた街。アロイジウス王国の最北端に存在する。
アロイジウス王国……アドルファ王国と深淵の森を挟んで真南に500マイルほど離れた所に在る隣国。
シグブリット辺境伯領……主人公が住んでいた街。アンブロシウス王国の最南端に存在する。
アンブロシウス王国……アドルファ王国の北東に800マイルほど離れた所に在る隣国。
ジルヴェスター辺境伯領……主人公が最初に辿り着いた街。アドルファ王国の最南東に存在する。
アドルファ王国……ジルヴェスター辺境伯領が所属する国。碧翠大陸の中央辺りに存在する。




