第60話
■2015/08/30 誤字脱字の修正、及び表現の一部変更を行いました。
第60話
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俺とヘルガとレナートは、一瞬前まで自分たちが居た場所に武器と蹴りを叩き込んでから挨拶をしてきたミスター・ジョンドゥーに対して、睨みつけながら丁寧に挨拶を返してやる。
「チッ!出番が待ち切れなくて、とうとう推参しやがったな。」
「割り込みはダメよ、坊や。お家に帰ってママのおっぱいでも飲んでなさい。」
「フッカーは足りてるから、今更ポン引きなんか用無しだっつうの!」
ニタニタと作り笑いをしていたミスター・ジョンドゥーが一瞬だけ能面のような無表情になったかと思ったら、赫然と怒気が満面に顕われて、ガキのように喚き始める。
ミスター・ジョンドゥーの変貌を見ていたら最初こそ、俺は何となくシネマのザシャイニングでジャック・ニコルソンの演じた父親を思い出したが、そんな事は怒りによって直ぐに忘れ去ってしまう事になった。
「利いた風な口を叩くんじゃねぇ!俺様にそんな事を言って良いと思ってんのか?!何ならテメエらの女を―――」
ミスター・ジョンドゥーが唾を飛ばしながら、ヘレナやヴィクトリアを猟奇的に陵辱する様子を話している途中で、青色の巨人が襲いかかってきた。
俺とレナートはミスター・ジョンドゥーに斬り掛かろうとしていたので、咄嗟に方向をズラすだけで避ける事が出来たが、ヘルガは雑草を掻き分けるかのように巨人に背後から払い除けられて吹き飛んでいく。
「な?!」
青色の巨人が狙ったのが自分であった事に驚いたみたいで、ミスター・ジョンドゥーは声を上げて一瞬動きが止まったため、アッと言う間にピンボールのように連続して殴り飛ばされてしまった。
「巫山戯んな!誰のお陰でそうなれたと思ってんだ!!」
ミスター・ジョンドゥーは頭から血を流しながらも、右手のモーニングスターを盾代わりにして2撃目以降を防ぎ、背中に背負っていたオール金属製のバトル・アックスを左手で振るい、巨人のコンボ攻撃を巧みに潰して何とか凌いだ。
ミスター・ジョンドゥーの頑丈さもセリフの意味も気になったが、それよりも俺は青色の巨人の連続攻撃のパターンに酷い違和感を感じる。
青色の巨人は、同じ人間が操縦しているかのように全く同じパターンの9種類の4連コンボか、単発で大振りのフィニッシュブローだけを使っている。
しかも以前戦った緑色の巨人や紫色の巨人と同じパターンである。
巨人は一連の攻撃動作を途中で止められるとそこから再開出来ずに、同じ動作を最初からやり直すか、別の動作に切り替えるので、その隙にミスター・ジョンドゥーが攻撃を叩き込む。
だが、8匹から絶え間なく襲われるせいで、一太刀浴びせる間にミスター・ジョンドゥーも確実に1発は殴られており、明らかに劣勢に立たされてダメージが蓄積している。
但し、俺たちの槍術では目ン玉しか傷つけることが出来なかった巨人の身体が、熱したナイフでバターを切るかのように、ミスター・ジョンドゥーの振るうバトル・アックスによって容易く切り裂かれていく。
ミスター・ジョンドゥーがバトル・アックスを振るう速度は俺と大差ないし、俺よりも刃筋が立っている様にも、ヒートホークみたいに赤熱している様にも見えない。
ブレイド部分が高周波振動しているのかもしれないが、そうするとあんな頑丈そうな斧刃を使う意味が分からなくなる。
ミスター・ジョンドゥーが体勢を立て直そうとして魔法で空中に駆け上がり出すと、4匹の巨人が素速く飛翔して頭上から攻撃し、地面に叩き落としているので、飛行速度はミスター・ジョンドゥーの方が速いのかもしれないが、スタートダッシュは巨人の方が圧倒的に速いみたいだ。
暫くすると4匹の巨人が地上戦に加わらなくなり、上空から一撃離脱戦法のみを行い始めたせいで、ミスター・ジョンドゥーに反撃する余裕が無くなった。
このまま巨人の勝利に終わられても困るので、ミスター・ジョンドゥーには巨人と共倒れになって貰う事にする。
「ヘルガ!レナート!俺は空中で巨人の翅を毟り取ってくる!地上の事は任せるぞ!」
「了解!加減はするから心配しなさんな!」
俺がミスター・ジョンドゥーに視線だけ向けて声を掛けると2人とも意図が分かったようで、悪人みたいな笑顔でミスター・ジョンドゥーをちら見してから返事をしてきた。
ヘルガの表情がいつもと違う気がするので、先ほどの巨人に払い除けられた際に負傷しているのかもしれない。
俺の修得した天駆ける魔法は、実際には空中に浮遊したり、飛翔している訳ではなく、目標座標に向かって落下しているだけなので、直線での加速だけは他の飛行魔法よりも優れている。
しかし、方向転換する際には、カーブなどせずに直線定規で多角形を描くように進むことになるので、高速で飛んでいる時には他の飛行魔法よりもレッドアウトなどの危険性が高い。
とは言え、スピードが出る前に方向転換するのであれば抜群の機動性を誇るので、ミスター・ジョンドゥーの頭上に居座る巨人との空中戦でなら優位に立つことが出来る。
強靭な甲殻とは異なり、翅なら容易に切断することが出来るし、兵士やハンターからも何名かの飛べる者が参加したので、思ったよりも順調に巨人の戦法を封じることが出来た。
但し、翅を斬られた巨人が地上に落ちると、代わりに未だ翅を斬られていない巨人が上空に飛び上がってくるので、予想よりも時間がかかってしまったらしく、ミスター・ジョンドゥーは満身創痍となってしまった。
俺が8匹目の巨人の片翅を斬り落とした隙を突いて、ミスター・ジョンドゥーが巨人の包囲を掻い潜って兵士やハンターに駆け寄り、彼らを壁代わりに使い始める。
「あのクソッタレ、何て事をしやがる!」
ミスター・ジョンドゥーを狙って巨人が腕を一振りする度に、先ほど死亡フラグを口に出していたランク4ハンターたちが、ボーリングのピンの様に吹き飛んでいく。
ミスター・ジョンドゥーも兵士やハンターの後ろから、巨人に向かってモーニングスターを振り回し、バトル・アックスを叩き込む。
当然ながら兵士やハンターも巻き添えを喰らって、モーニングスターに叩き潰されたり、バトル・アックスで切り裂かれたり、巨人の吐き出した液体爆薬で木っ端微塵にされたりしている。
また、ミスター・ジョンドゥーは首を刎るか頭を潰した巨人の身体には、即座にテルミット反応爆弾みたいな水で消火出来ないタイプの焼夷爆弾を投げつけて完全焼却しているので、火達磨になって転げ回る兵士やハンターまで出始めた。
しかし、奮戦はしたがミスター・ジョンドゥーは次第に右腕を引き千切られ、左足を砕かれて、終には頭を握り潰された瞬間にバトル・アックスを最後の巨人の顔面に叩き込んで相打ちとなって果てた。
「取り敢えず、ミスター・ジョンドゥーと巨人の呼吸と鼓動が停止している事は確認した。」
「アンタに相応しい、幕切れだったねえ。」
「負傷者の救助を急げ!手の空いているものは遺体の回収を行え!」
周囲では辛うじて生き残ったハンターや兵士たちが苦痛に呻いてはいるが、数百以上もの死骸が散乱して折り重なって転がっており、正しく死屍累々といった様子である。
巨人の死体の処理を後回しにして、負傷者の手当を優先していたら、死んだはずの巨人が突如起き上がり、深淵の森を目指して猛スピードで駈け出して行く姿が目に入った。
「な?!」
「総隊長殿。追いかけるのか、放置するのか、どうする?」
ホンの少しの間、全員が茫然として巨人の疾走する姿を眺めていたが、突然嫌な予感がした俺は本日の司令官に確認した。
「出来る限りで構わないので行方を追って欲しい。深淵の森の百マイル以上奥へ入って行ったら放置しても構わない。」
「了解した。」
「お前たちもソードに付いていけ!」
司令官の要請を受けて俺が『飛翔』の魔法を発動していると、百人長やレナートが飛べる兵士やハンターたちに指示を出しているのが聞こえてきた。
ミスター・ジョンドゥーが巨人の死体を毎回執拗に燃やしていた理由がやっと分かった。
肩から袈裟斬りで身体を切り裂かれているし、顔面から喉元までもバトル・アックスで割られているのに、巨人は時速20マイル以上の速度で森林地帯を疾走している。
人間なら、折れやすい鎖骨の下には太い動脈があるので袈裟に斬り下せば致命傷を与える事が出来るハズだが、巨人は胸部や頸部に空いた割れ目から膿のような黄色い液体を垂れ流しているのも気にしていない。
やはりこいつらは、シネマのターミネータ○みたいにそう簡単には死なないという事だ。
巨人が目指しているのは、ムシどもの巣穴は発見されていないが位置的には何かが在る筈なので、念のため明日にでも掘りかえしてみる予定の標的8である。
案の定、巣穴は見えないが、標的8近辺の深淵の森の中を複数のムシが徘徊しているのが見えてきた。それも標的2と同じタイプのムシである。
「昨日の偵察時にはムシなんて居なかったはずだろ?!」
「まさか、巣分かれでもしたのか?」
俺の横を飛んでいる駐留軍の兵士たちがそんな事を話した直後、士官から声を掛けられた。
「ソード!辺境伯閣下から緊急通信があった!災いを炎で浄化する、との神託が降ったそうだ!」
「ジルヴェスター辺境伯領でもそれと同じ神託が降った事があるぞ。」
「知っている!深淵の森の一部が焼き払われる可能性が高い!煙に巻かれるからあまり奥には入るな、との事だ!」
「了解した。止まれ!!」
俺は了承すると同時にハンドサインというか、両手をバタつかせながら全員に停止を合図する。
目標座標を切り替えて急停止すると即座に俺は『飛翔』の魔法を解除し、『浮遊』の魔法に切り替えて樹上に降り立った。
浮遊できる者はその場に留まっているが、何名かは俺みたいにゆっくりと降下していくのが見える。
「おい!あそこに縦穴があるぞ!」
「まさか、巨人はあそこから潜っていったのか?!」
ハンターの1人が標的8が存在すると予想されている場所ではない方向を指さしている。
そこには標的2の巣穴に開いていた様な縦穴が存在していた。
「おい!向こうの方を見てみろ!森が燃えているぞ!」
「あそこは標的2じゃないのか?!」
そんな言葉が後方から聞こえて来たので、顔だけ向きを変えて見てみると城壁都市を取り囲むように7箇所から煙と火の手が上がっているのが見えた。
恐らく、連日駆除してきた巣穴の位置だと思われる場所が、何というか真赤に燃えている炭の上に生木を置いた様な感じで燃えている。
「おい!縦穴からムシが湧き出してきたぞ!」
「あいつら、こっちに向かって来てるんじゃないのか?!」
更に、そんな言葉が後方から聞こえて来たので、顔向きを戻して見てみると群れをなしてムシがこちらに進んでくるのが見えた。
「退避!」
駐留軍の士官の指示に従って、地面に着地していた者たちが慌てて飛翔を開始する。
しかし、ムシどもは俺たちの足元を素通りして行った。
「マズい!ムシどもは街へ向かって逃げている!―――」
「おい!縦穴から巨人も出てきたぞ!しかもムシどもを追いかけてる!」
ムシどもを見下ろすのを止めて視線をあげると城壁都市が見えたので、俺はみんなに攻撃する事を呼びかけ様としたが、後ろから更に増援が現れたことを告げる声が聞こえてきた。
「辺境伯にすぐに知らせてくれ!俺は巨人の足止めをしてくる!」
「分かった。」
士官の返事を聞くと直ぐに俺は、『収納』の魔法に格納しておいた金属製のボーラを幾つか取り出し、『飛翔』の魔法を発動して樹上から巨人の背後に飛び降りた。
そして巨人の脚に向かってボーラを投げつけた瞬間、樹上から嫌な言葉が聞こえてきた。
「バカな!もう1匹、巨人が現れたぞ!」
後ろを振り向いてみれば、確かにこちらに向かって突進してくる青色の巨人の姿が目に入った。
咄嗟に飛翔して樹上から巨人どもを観察すると両方とも無傷である事に気がついた。
「おい!こいつら無傷だぞ!」
先ほど俺に2匹目の巨人の出現を告げたハンターも気づいたようである。
標的2周辺の森林地帯と異なり、深淵の森は樹木が生い茂っているために炎天下でも薄暗いので、青色の肌が迷彩色となって傷がなくなっていることに今まで気づかなかった。
もしかして、標的2に居た青色の巨人は、以前ミスター・ジョンドゥーに手足を潰されながらも逃げ回っていたヤツなのか?だから、復讐のためにミスター・ジョンドゥーだけを狙っていたのか?!
1匹目の巨人が自力で鎖を引き千切って、2匹目の巨人と並走し始めた頃、突然縦穴から火炎が吹き上げた。
それを契機に周囲が急激に熱くなり、俺の立っている樹木からも水蒸気が噴き出し始める。
「総員退避!!」
駐留軍の士官がそんな指示を出す前に全員が上空へ逃げ出していたが、森が一気に燃え上がった際の余波に巻き込まれて、加速の遅い者たちが次々と墜落して火達磨となっていく。
熱風を吸った為に肺臓を焼かれたのだろう。
飛行魔法の使える者は2百人に1人程度しかいないみたいなので、ここにも僅か十数名しか居なかったのだが、その半数近くが一瞬で消失してしまった。
巨人や一部のムシも火炎に巻き込まれたみたいだが、直ぐ先には岩石地帯が広がっているので、燃え尽きる前に逃げ出しそうな気がする。
「あれが浄化の炎ってやつなのか?」
「ああ、恐らくな。ジルヴェスター辺境伯領の時と似ている。」
南門へ向かって飛翔していると、俺の横を飛んでいる駐留軍の士官が声を掛けてきたので、それに応える。
「街は燃えないんだよな?」
「多分な。その代わり、ムシどもも無事みたいだがな。」
俺たちの足元を行進していくムシの群れを指して俺はそう言った。
「クソ!標的8についての神託なんてなかったのに、どうなってるんだ?!」
「同じ毒針型の甲殻毒アリだったし、標的2と地中で繋がっていたんじゃないのか?」
「巣分かれじゃなくてコロニーの一種って事か?」
「巨人が何の迷いもなく標的8を目指していたからな。標的2の地中で暴れた時に通路の存在を知ったのかもしれん。」
「確かに研究者どもも、スーパーコロニーの可能性は示唆していたからな。」
「俺は一旦ギルドへ戻る!」
「了解した。俺たちは南門にいる友軍とともに、ムシどもの迎撃を行った後、原隊に復帰する。」
2人のハンターは俺についてギルドへ向かい、兵士たちは南門付近に着地した。
<続く>
【人物紹介】
ソード……主人公。本名は、惣田真悟。ギルド登録名が、ソード。ステータス上の名前と地球での愛称は、シングル・ソード。ランク6ハンター。黒髪、濃褐色の瞳、黄色人種、身長183cm。
ケイ……主人公の嫁。本名は、惣田恵子。黒髪、濃褐色の瞳、黄色人種、身長173cm。
ミユ……主人公の姪っ子。本名は、香田美幸。黒髪、濃褐色の瞳、黄色人種、身長168cm。
ジェーン……主人公一家の友人。本名はリサ・タイラー。ギルド登録名が、タイラ・リサ。ステータス上の名前と地球での愛称は、カラミティ・ジェーン。ランク6ハンター。金髪、青色の瞳、白人種、身長178cm。
ヴィンセント……ヘレナの父親。ヴェネッサの異父兄弟の兄。他界。黒髪、青色の瞳、黒人種。
ヴェロニカ……ヘレナの異母姉妹の姉。ヴィンセントの娘。26歳。ランク4ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種。
ヘレナ……ソードと同棲中。傭兵ギルドの教育担当。ランク5ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種、身長173cm。
ヴェラ……ヘレナの父方の又従姉妹。ランク3ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種、身長168cm。
ヴェネッサ……ヘレナの叔母。ヴィクトリアの母親。元ランク5ハンター。ヴィンセントの異父兄弟の妹。黒髪、青色の瞳、黒人種。
ヴィクトリア……ヘレナの父方の従姉妹。ハンターギルドの契約責任者。ランク5ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種、身長173cm。
マティアス……ヴィクトリアの父方の祖父。ジルヴェスター辺境伯領支部のハンターギルドのマスター。ランク5ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種。
ゲイル……ヴィクトリアの父親。マティアスの息子。ランク5ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種。
グレゴリオス……ヴィクトリアの弟。ゲイルの息子。黒髪、青色の瞳、黒人種。
オリンピオ……ヘレナの母方の祖父。傭兵ギルド、エスパダニャのマスター。ランク5ハンター。黒髪、青色の瞳、白人種。
ヘンリエッタ……ヘレナの母親。オリンピオの娘。他界。黒髪、青色の瞳、白人種。
ヘラ……ヘレナの異父姉妹の姉。ハンターギルドの渉外責任者。ランク4ハンター。黒髪、青色の瞳、白人種。
オリヴィエ……ヘレナの甥っ子。ヘラの息子。黒髪、青色の瞳、白人種。
ヒラリー……ヘルガの母。元ランク5ハンター。赤毛、緑色の瞳、白人種。
ヘルガ……ヘレナの叔母。元ランク6ハンター。赤毛、緑色の瞳、白人種、身長194cm。
ヘルミーネ……ヘレナの母方の従姉妹。ヘルガの娘。ランク3ハンター。赤毛、緑色の瞳、白人種、身長192cm。
ヴィクトル……ヘルミーネの母方の又従姉弟。ランク3ハンター。赤毛、緑色の瞳、白人種、身長184cm。
ヒルダ……ヘルミーネの娘。4歳。赤毛、緑色の瞳、白人種、身長104cm。
レナート……ヴィクトリアの同棲相手。ランク5ハンター。黒髪、青色の瞳、黒人種、身長184cm。
ランベルト……ヒルダの父親。ランク3ハンター。他界。ヘルミーネの番い。黒髪、濃褐色の瞳、黄色人種。
カール……ヘルミーネの同棲相手。ハンターギルドの渉外担当。ランク4ハンター。黒髪、濃褐色の瞳、黄色人種、身長190cm。
【基本魔法紹介】
『土の剣』……土を固めて大剣の一種であるバスタード・ソードを再現したもの。重いので体力を要する。質量は個人の力量に比例し、鉄くらいの強度を有するが、手元を離れると霧散する。
『水の剣』……水を固めて大剣の一種であるバスタード・ソードを再現したもの。水を必要とする。水を凝固させたのに氷にもならないし冷たくもない。質量は個人の力量に比例し、鉄くらいの強度を有するが、手元を離れると霧散する。
『風の剣』……空気を固めて大剣の一種であるバスタード・ソードを再現したもの。軽いので威力が弱い。空気を圧縮したのに凍結しないし冷たくもない。質量は個人の力量に比例し、鉄くらいの強度を有するが、手元を離れると霧散する。
『土の槍』……土を固めて投げ槍の一種であるピルム・ムルスを再現したもの。重いので体力を要する。質量は個人の力量に比例し、コンクリートくらいの強度を有するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『水の槍』……水を固めて投げ槍の一種であるピルム・ムルスを再現したもの。水を必要とする。水を凝固させたのに氷にもならないし冷たくもない。質量は個人の力量に比例し、コンクリートくらいの強度を有するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『風の槍』……空気を固めて投げ槍の一種であるピルム・ムルスを再現したもの。軽いので威力が弱い。空気を圧縮したのに凍結しないし冷たくもない。質量は個人の力量に比例し、コンクリートくらいの強度を有するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『火炎』……火炎瓶の炎上を再現したもの。対象を燃やす訳ではなく、高熱で加熱する。威力は個人の力量に比例し、火の玉を投擲後に対象との接触で無音発動するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『爆裂』……手榴弾の爆発を再現したもの。対象を爆破する。威力は個人の力量に比例し、火の玉を投擲後に対象との接触で無音発動するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『散弾』……元折式散弾銃での銃撃の着弾を再現したもの。対象を蜂の巣にする。威力は個人の力量に比例し、火の玉を投擲後に対象との接触で無音発動するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『突撃』……カノン砲での砲撃の着弾を再現したもの。対象を吹き飛ばす。威力は個人の力量に比例し、火の玉を投擲後に対象との接触で無音発動するが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『凍結』……豪雪地帯で雪解け時に出てくる凍死体を再現したもの。対象を凍らせる。威力は個人の力量に比例し、接触している対象に発動する。
『炭化』……サラマンダーの炭化攻撃を再現したもの。対象の内部を高温で加熱し、炭化する。威力は個人の力量に比例し、接触している対象に発動する。
『石化』……バジリスクの石化攻撃を再現したもの。対象のタンパク質を結晶化する。威力は個人の力量に比例し、接触している対象に発動する。
『衝撃』……水中爆発を再現したもの。指定位置に衝撃波を発生させる。距離や範囲や威力は個人の力量に比例し、任意の場所で発動するが、距離に比例して発動時間が遅くなる。
『泥沼』……底なし沼を再現したもの。対象は地面や床に限らず、指定位置周辺を融解する。距離や範囲や威力は個人の力量に比例し、任意の場所で発動するが、距離に比例して発動時間が遅くなる。
『氷湖』……物体が湖の氷に閉じ込められている光景を再現したもの。対象を凍らせる訳ではなく、指定位置周辺の動きを止める。距離や範囲や威力は個人の力量に比例し、任意の場所で発動するが、距離に比例して発動時間が遅くなる。
『探査』……亜人の視力や視覚を再現したもの。実際に視力を強化している訳ではなく、周囲へ魔素を放って反響する魔素を知覚し、視覚と共感覚を引き起こしているだけなので、可視光線以外の映像を視ることも出来る。
『強化』……亜人の頑丈さとパワーやスピードを再現したもの。実際に筋力や筋肉を強化している訳ではない。
『光球』……太陽の明るさだけを再現したもの。光だけで熱はなく、手元を離れると10秒程で霧散する。
『収納』……麻袋などに物体を放り込むという光景を再現したもの。自由に出し入れできる収納空間。容量や時間の流れは個人の力量に比例し、一度構築すれば状態の維持に魔力は消費しないが、出し入れ時には質量に応じた魔力を消費する。生きているモノも入れられるが、消失する事がある。
【特殊魔法紹介】
『轟音』……カノン砲での砲撃の発射音を再現したもの。威力は個人の力量に比例し、火の玉を投擲後に対象との接触で無音発動するが、手元を離れると10秒程で霧散する。傭兵は使うがハンターは使わない。
『隠形』……ワイバーンの迷彩を再現したもの。認識阻害で、数秒ほど直視しなければ認識出来ない。維持に魔力を消費。カメリアが得意とする。
『滑走』……氷の表面を滑る光景を再現したもの。実際に摩擦を無くしている訳ではない。カメリアが得意とする。
【秘伝魔法紹介】
『倉庫』……倉庫に居る光景を再現したもの。容量は個人の力量に比例し、一度構築すれば状態の維持に魔力は消費しないが、出入り時には質量に応じた魔力を消費する。床が存在する正方体の空間で、人間が居住可能。
『転移』……転移門の機能を再現したもの。自身だけでなく接触している任意の物体にも作用し、距離や容量は完全に個人の力量に比例する。
『爆破』……建物解体用の時限爆弾を再現したもの。モンロー効果により穿孔を穿つ事や爆切が可能。 威力は個人の力量に比例し、任意の方向や時間で発動出来るが、手元を離れると10秒程で霧散する。
『電撃』……静電気の放電を再現したものだが、秘伝により実質的には雷撃。距離や威力は個人の力量に比例するが、距離に比例して照準精度が下がる。発動までにタイムラグがある。
『溶接』……ガス溶接を再現したものだが、秘伝により実質的には気体レーザー。距離や威力は個人の力量に比例するが、数ヤードも離れると威力が急激に減衰する。発動までにタイムラグがある。
『投影』……蜃気楼を再現したものだが、秘伝と裏ワザにより実質的には荷電粒子砲。距離や威力は個人の力量に比例するが、数ヤードほどしか直進しない。発動までにタイムラグがある。
『浮遊』……羽根が空中を舞う様子を再現したもの。高所から落ちた時に落下速度を抑える。減速出来る質量や速度は個人の力量に比例し、接触が無くなると10秒程で霧散する。
『落下』……物体が落下する様子を再現したもの。対象は垂直落下に限らず任意の方向へ落下する。距離や質量や速度は個人の力量に比例し、任意の場所で発動するが、距離に比例して発動時間が遅くなる。
『楽器』……様々な種類の楽器の音を再現するもので、人間楽器では出せないような周波数や振動数で音色を変化させる。秘伝と裏ワザにより実質的には超音波振動攻撃が可能。裏技は接触している対象にしか発動出来ない。
『製粉』……製粉機が小麦を粉砕する様子を再現したもの。『凍結』を応用した極低温で物質を脆くしてから『衝撃』を応用した高速振動で壊して粉砕する。粉砕出来る質量は個人の力量に比例し、接触している対象に発動する。
『気化』……水の蒸発を再現したもの。対象は液体に限らず、指定位置周辺の物質を昇華する。
距離や範囲や威力は個人の力量に比例し、任意の場所で発動するが、距離に比例して発動時間が遅くなる。
『天秤』……天秤にかける重しを再現したもの。目的物と同体積の空間に基準物の重さを与える事で、天秤にかける重しを擬似的に作り出す。秘伝と裏ワザにより実質的には重力攻撃が可能。威力は個人の力量に比例し、接触している対象に発動する。
『潜水』……イルカやシャチの潜水を再現したもの。高圧に耐えられるが、実際に肉体を強化している訳ではない。
『飛翔』……グリフォンの飛翔を再現したもの。実際には空中に浮遊している訳ではなく、『落下』の魔法と似た様なモノで目標座標に向かって自身が落下しているだけである。
【その他】
シグブリット辺境伯領……主人公が転居してきた街。アンブロシウス王国の最南端に存在する。
アンブロシウス王国……アドルファ王国の北東に800マイルほど離れた所に在る隣国。
ジルヴェスター辺境伯領……主人公が最初に辿り着いた街。アドルファ王国の最南東に存在する。
ミクローシュ辺境伯領……アドルファ王国の最北東に存在する。
アドルファ王国……ジルヴェスター辺境伯領が所属する国。碧翠大陸の中央辺りに存在する。
碧翠大陸……アンブロシウス王国やアドルファ王国が存在している大陸。
エスパダニャ……護衛と訓練および賞金クビ稼ぎが専門の傭兵ギルド。
カメリア……賞金クビ稼ぎが専門の傭兵ギルド。




