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とある狩人の追憶記  作者: 白眉万丈
第2章
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第21話

■2015/08/15 誤字脱字の修正、及び表現の一部変更を行いました。

第21話




 対策本部で討伐隊第2陣に対する事前説明があった。


討伐隊第2陣は、先日の第1陣と同じく16名、駐留軍から6名、ハンターギルドから10名が参加するが、指揮は駐留軍の何某が取る。


地表の研究施設は論文などの資料がメインだが、今回は関係ないので素通りする。


 地下の隔離施設は、地下数百フィートの場所に存在する先史文明の遺跡だが、元々研究施設らしきモノを多少の手直しをしただけでそのまま流用している。


地表の研究施設から地下の隔離施設まで続く縦穴があり、縦穴の内壁には螺旋階段が設けられている。


縦穴の直径は約90フィート、螺旋階段の幅は約9フィートしかないので、2列縦隊で進む。


螺旋階段を降りたところには、縦横約6フィートの扉が1つしかない。


扉の先には約30ヤードぐらいの長さの廊下があり、突き当りの扉を潜ると、内部は直径約6フィートの柱によって6つに仕切られた墓地の様な空間が広がっている。


1つの空間の大きさは、縦約360フィート、横約240フィート、高さ約33フィートくらいある。


扉の真ん前にある1つ目の空間だけは、高さ9フィートほどの壁で縦約90フィート、横約50フィートに区切られて、屋根のないブースの様になっており、このブースエリアは各研究者に専用の研究室として充てがわれていた。


残りの5つの空間は、石棺みたいな物が並んでいるせいで墓地に見えるが、主に実験に使われていて、偵察隊はここでワーウルフ第4形態を発見した。


 ワーウルフ第4形態は、全長約17フィート、全身に毛が生えており、尻尾のないオオトカゲのようなシルエットだが、4本の大きな脚とは別に小さな腕が2本生えていて、顔にはイソギンチャクみたいに刺が無数に生えており、口はアノマロカリスみたいな形をしていた様に見えたそうだ。


 現在、ワーウルフ第4形態の行動で確認されているのはたった1つ、体当たりだけである。


諸侯軍の遺体も偵察隊の遺体もブースエリアに散乱しているらしいので、扉を潜ったら散開してブースエリアを抜け、柱を盾にして交戦する。


そして、用済みとなった試作体や手に負えない実験体を処理する実験体破棄施設へワーウルフ第4形態を追い込む。


 天井を支えている柱は対衝撃性には非常に優れているが、切創では普通に傷付くので、柱を切断して施設自体を崩壊させたりしないように注意すること、などが告げられた。



 今はもう無いが突き当りの扉が在った場所で、討伐隊第2陣の先頭にいる2名が偵察を行っている。


普通ならここにポイントマンとして最も戦闘能力の高い人員が配置されるのだが、駐留軍6名が先陣を切るらしいので、最も戦闘能力の高い筈の俺達6名は最後尾に配置されている。


討伐隊第1陣が未だ生きていれば戦闘を行っている筈なのだが、何の音も聞こえてこない。


マティアスが他のハンター4名にも「相手の攻撃パターンが判明するまでは無理せずに逃げ回っても構わない。」と指示していた。


姿も形も見えない相手に痺れを切らした駐留軍6名は3方向に駆け出していったが、未だ6名がそれほどバラけていない状態で纏めて跳ね飛ばされ、一瞬後には血飛沫だけが舞っていた。


まるでシネマのファイナル・デスティネ○ションで女性が突然バスに跳ね飛ばされて目の前から消えるシーンを見ているかの様だった。


 再会したワーウルフは、以前俺が殺した時の約1.5倍くらいの大きさになっていた。


以前の姿は、毛も羽も鱗もなく全身が内臓みたいな剥き身で、目鼻耳や角や尾もなく、体長くらいの長さの舌を触角のようにゆっくり振りながら四足で歩く、ビデオゲームのレジデントエビ○に出てきたリッカ○みたいな外見をした生物だった。


しかし今の姿は、事前説明では尻尾のないオオトカゲのようなシルエットだと言われたが、影絵として見た場合にはビデオゲームのレジデントエビ○に出てきたG4のようなシルエットに近い。


基本フォルムは尻尾のないオオトカゲに確かに近いが、ハリネズミみたいに全身が針毛に覆われているし、口はアノマロカリスみたいな形をしており、口の周りはイソギンチャクみたいに盛んに動く触手が沢山生えていて、前脚より後ろ脚の方が遥かに太く、4本の大きな脚とは別に小さな腕が2本生えている。


「散開!」


マティアスの指示でハンター達は、ワーウルフ第4形態の背後にある柱へと身を隠した。


数値では分かっていたが、天井が在るせいで、ここは想像していたのよりも広く感じる。


パルテノン神殿みたいな柱に区切られたサッカーコートくらいの面積の空間が6箇所広がっており、、目の前には、今は残骸でしか無いがバスケットコートぐらいの面積のブース跡が複数存在する。


ブース跡には、そこら中にバラバラになった遺体らしきモノも点在している。



 ガキの頃に見た、走り幅跳びをしている選手が着地地点に迷い込んだ計測係りに体当たりする、という光景を何となく思い出してしまったが、ハンターたちが陽動と攻撃を繰り返したお陰で、ワーウルフ第4形態の攻撃パターンが分かってきた。


螺旋階段へ続く廊下にハンターが退避した際には、コイツは扉の上の壁に激突して、一度も歩行した事がないなど、カエルやバッタみたいにジャンプして、イノシシみたいに突撃しかしない。


コイツが廊下を歩いて進めないお陰で、地表に被害が出ていないともいえる。


その代わりコイツの体当たりが直撃すると、吹き飛ばされるだけでなく手足が千切れ飛んで即死する。


前後左右どの方向へも突撃出来るみたいだが、コイツがジャンプした瞬間に腹の下を潜って、蹴られない位置まで辿り着ければ無傷で済む事は分かった。


そのタイミングを見極める事と連続で行う事さえ出来ればだが。


ゼロ距離攻撃用魔法は使ってないので分からないが、その他の俺達の攻撃ではコイツに掠り傷すら負わせられなかった。


 直径約50フィート、高さ3フィートほどの円形プールみたいな実験体破棄施設へワーウルフ第4形態を誘い込もうとしても、コイツは跳びまわるだけで歩けないし走れないので、その中へ巧く着地させることが出来ない。


そして到頭、ワーウルフ第4形態が実験体破棄施設の外側を体当たりで壊してしまった。


「撤退!」


丁度ヴィクトリアが鼻血を流したタイミングでもあったので、即座にマティアスから退却の指示が飛び、生き残りのハンター達は螺旋階段へ続く廊下に駆け込んだ。



 俺達は対策本部へ戻り、実験体破棄施設が破壊されたことなど、地下隔離施設で見てきた状況を説明した後、待機状態となった。


諸行軍300名、偵察隊8名、討伐隊第1陣16名、討伐隊第2陣16名を投入して、生き残っているのは偵察隊の2名と第2陣の8名だけである。


特に、討伐隊に参加していた兵士が駐留軍の隊長格ばかりだった事もあって、対策本部ではかなりの動揺が広がっていた。


翌朝、ジルヴェスター辺境伯が下した命令は、地下隔離施設ごとワーウルフ第4形態を圧壊する事だった。



<続く>

【人物紹介】

ソード……主人公。本名は、惣田真悟。ステータス上の名前が、シングル・ソード。


ケイ……主人公の嫁。本名は、惣田恵子。


ヘレナ……傭兵ギルドの教育担当。ヴィクトリアの従姉妹。ソードと同棲中。


ヴィクトリア……ハンターギルドの契約担当。ヘレナの従姉妹。


マティアス……ハンターギルド、ジルヴェスター辺境伯領支部のマスター。ヴィクトリアの父方の祖父。


オリンピオ……傭兵ギルド、エスパダニャのマスター。ヘレナの母方の祖父。


ヴェネッサ……ヴィクトリアの母親。ヘレナの叔母。



【地名紹介】

ジルヴェスター辺境伯領……主人公が住む街。アドルファ王国の最南東。


ミクローシュ辺境伯領……アドルファ王国の最北東。


アドルファ王国……ジルヴェスター辺境伯領が所属する国。碧翠大陸の中央辺りに存在する。


碧翠大陸……アドルファ王国が存在している大陸。

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