第15話
■2015/08/15 誤字脱字の修正、及び表現の一部変更を行いました。
第15話
◇
翌朝、ヘレナと一緒にハンターギルドへ向かうと、既に契約担当のヴィクトリアが入り口付近で待っていた。
ヘレナの姿に気づいたヴィクトリアは、昨日と同じく、走り寄ってヘレナに抱き着いた。
今朝ヘレナの家に寄ったら既に引き払われていて驚いた、というような事をヴィクトリアは早口でまくし立てた。
「一緒に住んでる。」
ヘレナが俺の顔を見ながらそう話すと、ヴィクトリアは俺に詰め寄って来て、更に早口で何か喚き出した。
早口過ぎて俺の翻訳能力では理解出来ないので、ヘレナの真似をして無表情で突っ立っていたら、ヴィクトリアは俺を睨みつけた後、またヘレナに顔を向けた。
その隙を付いて俺が逃げ出そうとしたところをヘレナに腰帯を捕まれて阻まれたのだが、ヘレナの顔は如何にも「面倒臭いから1人にするな」と言いたげである。
◇
結局2人して、ヴィクトリアに2階の応接室へ引っ張り込まれ、説教なんだか自慢なんだか良く分からない話を1時間近く聞かされたが、お陰で状況は分かった。
「ソード。ヘレナと一体いつから一緒に住んでるんですか?」
「何でヴィクトリアがそんなに怒ってるんだ?」
「怒ってなどいません。従姉妹として心配しているだけです。」
「従姉妹?」
「ヘレナのお父さんは私の母の兄です。それに親御さんが2人とも亡くなった後、ヘレナは私の母に引き取られて、成人するまで一緒に育ちました。」
「ヘレナが俺の家に住むようになったのは昨晩からだ。」
「ヘレナ。ソードに実力があるのは知っていますが、婚姻するには早すぎます。」
「ん?婚姻?」
「ソードは外国人。良く分かってない。」
俺の呟きを聞いたヴィクトリアが、「とぼける気か、この野郎」と言いたげな顔で睨んだ後、何か言おうとしたが、ヘレナからの援護射撃が先に届いた。
「外国人?」
「そう。だから詳しい説明が必要。」
「良く分かりませんが、解りました。いいですか?ソード。
先ず、この大陸での庶民の婚姻とは、子供を作る事を目的として同棲を始めてから、赤子の授乳期間が終わるまでを結婚と呼び、子供が乳離れして別離する事を離婚と呼びます。
生まれた子供は片方の親が育てますが、もう片方の親も養育費は負担します。
子供がある程度まで育ったら、次の相手を探します。
そのため、子供を養えない場合には絶対に結婚してはいけません。」
何度も再婚して養育費を払わされるところなんかは、アメリカの婚姻に良く似ている気がする。
確かこの世界にも戸籍は存在するが人頭税のためだけだし、苗字が存在しないのに親の名前を使用するファミリーネームが存在するのも、婚姻制度が関係するのかもしれない。
何にしても同棲という単語が地球のモノよりも広義すぎるので、婚姻関係の言葉を脳内翻訳する際に注意する必要がある。
「なあ、ヴィクトリア。何で離婚するんだ?2人で育てちゃダメなのか?」
「ダメではありませんが、相方に隠れて幼い子供に『術』を教えるのは無理がありますので、離婚するのが普通です。」
「術って何だ?」
「其処からですか!
術とは、研鑽して編み出した武技や魔法などを血族だけに継承させている秘術の事です。血族ではない者が伝え方を知ったり盗んだりすると、血族が総出で抹殺するのが通例です。」
図書館で調べたときに、『術』を伝えた親の名前をファミリーネームにすると書かれていたが、要するに流派の秘伝みたいなモノか。
隠語みたいなモノなのか同音異義語なのかは分からんが紛らわしいので、この場合の『術』を今後は『秘伝』と翻訳した方が良さそうだな。
「分かった。ありがとう。じゃあ、離婚するのが普通って事は離婚しない人もいるのか?」
「はい。幾つかのケースがあります。
1つ目のケースですが、同じ相手との間に複数の子供を設けて、其々が育てたい場合などです。しかし、病気などが流行ったら子供が一斉に亡くなる可能性が高くなります。
2つ目のケースですが、一夫多妻を維持できるくらいに裕福なので、王族や貴族を真似している場合です。
3つ目のケースですが、高ランクのハンターや傭兵などの相方である場合です。
何れにしても変わり者扱いされる事に違いはありません。」
「ヴィクトリア。高ランクのハンターや傭兵などが相方と結婚するのが珍しいのは何故なんだ?」
「結婚自体は珍しいモノではありません。離婚しないのが珍しいのです。
女性は最低でも妊娠中には戦線を離れますのでレベルアップ出来ませんが、その期間にも男性はレベルアップ出来ます。
数千年以上に渡って蓄積されてきた情報から、男女間のレベル差が大きくなるほど妊娠率が劇的に下がる事が分かっています。
特に、レベルが50以上離れていたら妊娠した記録は全く無く、レベルが20以上離れているだけでも稀にしか妊娠しません。
現在ではレベル差が20までしか婚姻が推奨されていないので、差が広がっても離婚しない方たちは変わり者扱いされるという訳です。」
「なるほどな。ありがとう。」
「逆にこのレベル差を利用して、娼婦や男娼は営業を行っているそうですよ。」
「何が言いたいんだ?」
「遊びの相手なら他にもいると言う事です。」
俺はヴィクトリアから何で毛嫌いされてるんだ?それとも過保護なだけか?
「ヴィクトリア。今度は大丈夫!」
「ヘレナ!」
「ヘレナ。今度って何だ?」
「ヴィクトリアは結婚に失敗した。」
「貴方もでしょ。ヘレナ!」
「何を言ってるんだ?君たちは?」
「幼馴染と同棲したけど子供が出来なかった。」
「それは、ヘレナの事か?それともヴィクトリアの事か?」
「私とヘレナは、成人したときには既にレベル30だったのですが、16歳のときにそれぞれレベル12とレベル13の幼馴染と同棲を始めました。
案の定、1年経っても子供が出来なかった経験があります。
私たちが成長するに従って、周囲の男性とのレベル差はどんどん広がり、今では父親と同年代以上のベテランしかレベルの近いものがいない状況になっています。」
「ヴィクトリアたちのレベルを尋ねても良いか?」
「私はレベル66、ヘレナはレベル74です。
現在は差をつけられていますが、ヘレナが亜竜を狩る前くらいまでは2人とも同じレベルでした。
因みに、この街の一般的なハンターや傭兵はレベル32以下です。
ハンターギルドのマスターや傭兵ギルドのマスターが、レベル80ほどです。」
「俺のレベルは、ヘレナと釣り合っていると思うが、何が問題なんだ?」
「この街に流れ着いたばかりで、ソードには未だこの街での基盤がありません。」
「ヴィクトリア。基盤って具体的には何だ?」
「単刀直入に言えば、資産です。子供の養育費は持ち合わせているのですか?」
「何だそんな事か。これくらいで足りるか?」
ヘレナに魔法を教わってから俺は、誘拐犯どもから奪った金貨を『収納』の魔法で格納して持ち歩いている。
その一部でしかないが、大金貨が千枚くらい入っている袋を2つ取り出して、机の上にそっと置き、袋の口を開いて中身をヴィクトリアに見せた。
「な!?」
大金貨1枚で約1万ドルなので、ざっと2千万ドルになる。
そして大金貨1枚が丁度1オンスなので、実に125ポンドもの重い荷物を載せられた応接用の小さな机が撓んでいる。
「分かりました。ソード。貴方のことを認めます。
最初はヘレナが婿探しのために他の街へ行ってしまったのではないかと心配したくらいですから、ソードと一緒にいる事が分かっている方が安心出来ます。ヘレナの事をお任せします。」
実害が有った訳でもないので、ヴィクトリアと和解できたのは良いのだが、俺は何でヘレナとの仲を認めて貰おうとしたのかが良く分からん。
やはり俺は、ヘレナにケイの面影を見ているのだろうか。
◇
漸く気の晴れたヴィクトリアに連れられて、俺とヘレナは深淵の森へと向かった。
俺の装備だが、鎖帷子で補強されている焦茶色のトーガの上から、織田信長公の使っていた南蛮鎧の兜と胸当に良く似た防具を着けて、サブウエポンにサーベルを佩刀し、メインウェポンのポール・アックスを担いでいる。
ヴィクトリアはサブウエポンがカットラスと弓矢で、メインウェポンが片鎌槍、勿論伊達メガネは着用していない。
ヘレナはサブウエポンがカットラスと小盾で、メインウェポンが両鎌槍に替わっただけで、服や鎧は2人共俺と似たような格好である。
メインウェポンはバトル・アックスやハルバート系統の者が多いが、大体これがこの街の標準的なハンターの姿で、18世紀頃の地球で一般的な武器だったレイピアやロング・スピアーは、兵士や対人戦をメインとする傭兵しか使わない。
危険生物は首を切断するか、脳ミソか心臓を潰すかしないと死なないので、ハンターが細い槍や細い剣を使うのはリスクが高過ぎる。
俺がアサルトライフルやショットガンを使っても無事だったのは、周囲から忌避されているドラゴン系統と戦っていたからであって、通常の場合だと危険生物は臭いや音に惹かれて集まってくるので、中折式単身散弾銃や手榴弾もハンターが使うことはない。
その代わりに魔法でも似た様な攻撃が出来る、しかも無音で。
◇
ヴィクトリアは饒舌なので、深淵の森に着くまで色々とウンチクを語ってくれた。
「なあ、ヴィクトリア。森の奥の方の木だけど、その手前に比べて倍以上大きいのは何故なんだ?」
「それはですね。
深淵の森の端から約100ヤード奥までは定期的に伐採しているので、樹木の高さは大きくとも50フィート未満しかありません。
そこから約100マイル奥までは街を作った頃に増殖した場所なので、樹木は高さ約80フィート程度まで伸びています。
そして、約100マイル奥より向こうは大昔から存在する場所なので、樹木は高さ450フィート以上になっています。」
俺の記憶だと、地球で世界一高い木は約378フィートで、記録上だと468フィートくらいだった筈だから同じくらい大きいという事か。
「なるほど。じゃあ、深淵の森って何処まで広がっているか知っているか?」
「今では倍以上に広がっているので正確な面積は分かりませんが、碧翠皇国がかつて調べた深淵の森の広さは約14万6千8百平方マイルだったとの記録が残っています。」
碧翠皇国が滅んだのは確か2千年以上昔の筈だが、その当時の段階で日本とほぼ同じ面積だった事になる。
「ありがとう。ところで、この森はどれくらいのハンターが狩り場にしてるんだ?」
「ランク3以下のハンターは北西の森林地帯を狩り場にしていますが、深淵の森の1マイルほど奥までの浅い領域は、ランク4ハンターが狩り場にしています。
それよりも奥の領域はランク5ハンター以上しか入れませんが、ランク5ハンターが必ずしも此処を狩り場にしているとは限りません。
そもそもハンターギルドの統計資料によりますと、レベル65~128のランク5ハンターは人口約百万人に1人くらいしか存在しません。
つまり、本来なら碧翠大陸全土で200人ほど、総人口2百万人のアドルファ王国だと2人しか居ない計算です。
実際には、深淵の森を囲んでいる8つの都市に碧翠大陸のランク5ハンターの大半が集中していますので、ジルヴェスター辺境伯領にも現在23人在籍しています。
残念な事に、一般の都市なら滅多に見掛ける事のないランク5ハンターが活躍する場面を間近で見ることが出来るばかりに、ランク3ハンターやランク2ハンターが触発されて無謀な行いをするせいで、死亡率が一般の都市の3倍にまで高くなっています。
ジルヴェスター辺境伯領には、他の街から毎月約900人のハンターがやって来て、他の街へ毎月約60人が出て行きますし、毎年約5千人の新生児が誕生しまれますが、この十年間人口は約10万人のままなんです。」
聞きたかったのはレベルじゃなくて人数だったんだが、まあ良い。
ヴィクトリアの話しだとスタンピードがなくてもこの街だけで毎年約1万5千人が死亡している計算になるが、この世界の人類はよく滅亡しないなと感心する。
「死傷率がそんなに高いとは、ハンターも大変な仕事だな。」
「王国でもハンターの死傷率を憂慮しており、生体兵器の投入を計画しています。
この街の研究所では数年前に、人間の半身に亜人の半身を無理矢理移植したり、亜人の卵子に人間の精子を無理矢理受精させて、既にキメラを生み出す事には成功しています。」
「人間の半身?」
「はい、死刑囚が使われています。」
「なるほど。あっ、続けて。」
「私も、見世物小屋に売り飛ばされた大人しいキメラ、というのを見た事があります。
他のキメラたちも研究所で実験体として飼われていると公表されています、が実は違います。
本来ならランク4以上のハンターにしか伝えないのですが、ソードならランク5に昇格するのは確実なので、言っても良いでしょう。
残りのキメラたちは、研究所の人間を皆殺しにして全て脱走してしまいました。
この脱走したキメラたちの中で特に問題なのが、人間と獣頭人身の生物に変身出来る2種類の『獣人』と呼ばれる種類のキメラの存在です。」
「なあ、ヴィクトリア。何で変身する必要があるんだ?」
「城壁都市に自力で出入りする為です。」
「なるほど。あっ、続けて。」
「他のキメラは1種類1匹ずつしか存在しない実験体なので、放っておいても一代限りで死にます。
しかし、『ワーウルフ』と『ワータイガー』だけは量産型の試作体として雄雌2匹ずつ計8匹作り出されていたそうです。
しかもこれらには軍事訓練を施したので人間並みの知識と技術を有しており、更に純血同士での繁殖が可能であるのに、制御装置を埋め込む前に脱走されたみたいです。」
「なるほど。」
「更に。
無理矢理融合させるために投与した薬剤のせいで、キメラたちの中には生命の危機に瀕すると変異して生き延びるモノが稀にいる、と見世物小屋に伝えられていますが、実はこれも違います。
過去に何度か深淵の森へ逃げ込んだキメラとハンターが遭遇した事があるんですが、即死しなかったキメラは必ず突然変異し、周囲の魔素を急激に取り込んで強靭な生命力を持つ化け物になった、と報告されています。」
ビデオゲームのレジデントエビ○に出てきたタイラン○シリーズみたいに、特殊な手段を用いないと止めを刺せないタイプだったりしたら厄介だな。
「そのハンターは、そんな化け物からどうやって逃げたんだ?」
「簡易転移門を使って脱出したそうです。」
「簡易転移門?」
「遺跡の転移門を解析して複製しようとしたものの完全には成功しなかったんですが、転移先を変更する機能を省くなどして携行可能なほどの大きさに小型化する事には成功しました。それが簡易転移門です。
大金貨100枚ほど必要ですが、個人でも購入する事が出来ます。」
「まさか、使い捨てじゃないよな?」
「違います。
ああ、そういえば。
簡易転移門は、基本的には2個の転移門の間のみでの移動なんですが、回路を書き換えて3個の転移門の間での移動を可能にするとどうなるかが実験されました。
結果は何れの転移門から出発しようが、他の2つの転移門に同時に到着します、それも2つに分解されて。
そして、2つの転移門から同時に出発したら、2つに分解されたモノが2箇所に、1つに融合されたモノが1箇所に到着します。
この街の研究所は、この原理を使って亜人への人間の移植も行いましたが、どのような融合をするのかは分からないため、約99%が失敗し、このタイプは10匹ほどしか成功していなそうです。」
「それって、千人くらいの人間が実験に使われたって事だよな。死刑囚ってそんなにいるのか?」
「スタンピードから逃亡した貴族や兵士は、全員死刑囚となります。
とは言っても、殺された事は滅多になく、治癒魔法の治験体とか研究所での実験体などとして貸出されて、生涯を終えます。」
この世界の人間は子孫を残すことを優先する割に人体実験に寛容である、そこが俺にはイマイチ理解できない。
◇
昨日見つけておいたグリフォンの巣へ向かって、『探査』の魔法を使いながら深淵の森へ分け入った。
深淵の森に入ってからは当然無言だったが、噂をすれば影がさすという諺通り、数マイルほど進んだ所で、先頭を歩いていた俺はワータイガーに襲い掛かられた。
ワータイガーは身長約6フィート、特撮の風雲ライオン○みたいに虎縞模様の毛皮の上から兜や鎧を着込んでいるが、胸甲を押し上げて谷間が見えるのは大きな乳房である可能性が高い。
「こんにちは、が抜けてるぜ、ド阿呆。」
『探査』の魔法はヘレナの方が圧倒的に優れているが、気配を隠している奴を見つけるのだけは俺の方が優れている。
俺はこいつが潜んでいる場所から30ヤード以内に近づいた段階で気配に気づいていたので、ワータイガーの攻撃を余裕で払い除け、ポール・アックスを叩き込もうとしたのだが、意外なことに故郷での稽古以来の技の応酬となった。
ワータイガーはハルバートというより方天画戟に近い武器を振るっているが、俺の打ち込んだ刃を棟で受けるか、鎬で受けて逸らしているので、少なくともワータイガーの腕前は、刃に刃を打ち合わせるような素人ではなかった。
しかし、いくらポール・アックスに不慣れとはいえ伝統武術を修得した俺が、独力で磨いただけの技を振るうワータイガーなどに負けるはずもない。
ワータイガーは方天画戟を握っていた左腕を前腕の半ばで切断された。
石突で足を払われて倒れたワータイガーは、左腕の傷口を右手で抑えながら、碧翠大陸の公用語で怒鳴った。
「殺せ!」
シネマのプラネット・オブ・○・エイプスで、猿から英語で話し掛けられた宇宙飛行士の気分が分かった気がするが、会話くらいは今どきの日本ならダッチワイ○みたいな接客ロボットでも出来る。
それに、命乞いをするマフィアを散々殺してきた俺が、今更ワータイガーが喋ったくらいで心を動かされる筈もない。
「これって食えるのか?」
「食べれない。」
俺がワータイガーを指差しながらした問いかけに、ヘレナが即答した。
俺が視線だけを向けるとヴィクトリアはヘレナの言葉を補足してくれた。
「キメラを作り出す際には、亜人だけでなく人間も使われています。
そして、人間が人間の肉を食べることは禁忌です。
つまり、キメラを食べると禁忌を侵すことになりますので、食べられません。」
「ありがとう。」
ヴィクトリアに礼を言いながら、俺はポール・アックスの石突でワータイガーの顎先を打ち払って気絶させた。
下手にトドメを刺そうとすると危険だし、食うことも出来ない、となれば放置するのが普通だが、失血が切っ掛けで突然変異されても面倒なので、近くの木に巻き付いている蔓を切り取り、ワータイガーの左肘当たりで止血し、ついでに手足も縛り上げておいた。
俺1人なら絶対に、こいつがタイラン○シリーズみたいに第二形態へ変化する姿を見るために止めを刺そうとしていただろうが、ヘレナたちがいるので俺のワガママに付き合わせる訳にはいかない。
方天画戟を拾って『収納』の魔法で格納した後、俺達は再びグリフォンの巣へ向かって歩き始めた。
<続く>
【人物紹介】
ソード……主人公。本名は、惣田真悟。ステータス上の名前が、シングル・ソード。昇格試験中。
ケイ……主人公の嫁。本名は、惣田恵子。
ヘレナ……傭兵ギルドの教育担当。ヴィクトリアの従姉妹。主人公と同棲中。試験監督官として同行。
ヴィクトリア……ハンターギルドの契約担当。ヘレナの従姉妹。試験監督官として同行。
【魔法紹介】
『探査』……亜人の視力や視覚を再現したもの。実際に視力を強化している訳ではなく、周囲へ魔素を放って反響する魔素を知覚し、視覚と共感覚を引き起こしているだけなので、可視光線以外の映像を視ることも出来る。
『収納』……麻袋などに物体を放り込むという光景を再現したもの。自由に出し入れできる収納空間。容量や時間の流れは個人の力量に比例し、一度構築すれば状態の維持に魔力は消費しないが、出し入れ時には質量に応じた魔力を消費する。生きているモノも入れられるが、消失する事がある。
【地名紹介】
ジルヴェスター辺境伯領……主人公が住む街。アドルファ王国の最南東。
アドルファ王国……ジルヴェスター辺境伯領が所属する国。碧翠大陸の中央辺りに存在する。
碧翠大陸……アドルファ王国が存在している大陸。




