第10話
■2015/08/15 誤字脱字の修正、及び表現の一部変更を行いました。
第10話
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▲▲▲危険生物▲▲▲
哺乳類や爬虫類といった細かい分類も存在するが、一般的にはその他の方法で分類されている。
『魔獣』は、人間以上の知性を持ち、積極的に人間を襲う、人間以外の生物を指す。
『危険生物』は、積極的に人間を襲う、人間以外の生物を指す。
『害獣』は、人間に害を為す、人間以外の生物を指す。
『動物』は、人間以外の生物を指す。
魔獣や危険生物の中には姿を一切見せない状態で、精神攻撃を行うモノや、エナジードレインを行うモノだけでなく、寄生するモノも存在する。
獣頭人身の生物には深淵の森で何匹かと遭遇したが、裸で槍を振り回していただけの個体が単なる危険生物で、鎧を着た上で槍術を使っていたのが魔獣という事か?
なお、『亜人』と呼ばれている獣頭人身の生物は人間に分類されないみたいである。
これらは、猿が猿人に進化したように、猪がオークに進化したみたいな生物なので、人間とのハーフなども自然発生しないらしい。
但し、亜人の卵子に人間の精子を無理矢理受精させるなどして百数十個の胚を生み出す事や、人間の半身に亜人の半身を無理矢理移植する事などといった実験に成功している、との研究論文が多数あった。
フランケンシュタイン医師が行った狂気の実験みたいな事が、ここでは公然と行われているらしい。
▲▲▲ドラゴン▲▲▲
現在、存在が確認されているドラゴンは6系統だが、この他にも明らかに古代竜よりも格上の存在が2種ほど目撃された例があるらしい。
外竜形類 亜竜目 ○○○
ヒュドラー、ワイバーン、サラマンダー、バジリスクなど数十の生物が存在し、大きさは様々である。
外竜類 中等竜科 下等竜
レベル260~510、体長約33フィート、ティラノサウルス程度の大きさ。
外竜類 中等竜科 中等竜
レベル520~770、体長約46フィート、ギガントサウルス程度の大きさ。
外竜類 中等竜科 上等竜
レベル800~、体長約56フィート、スピノサウルス程度の大きさ。
外竜亜類 高等竜科 高等竜
レベル1000~、全長約300フィート、ジャン・レ○出演のシネマ、GODZIL○Aくらいの大きさ。
外竜亜類 高等竜科 古代竜
レベル1300~、体長約56フィート、スピノサウルス程度の大きさ。
俺が深淵の森で出会った亜竜や下等竜もドラゴンと呼ばれているが、そもそも他の生物と全く別の系統樹であるらしい。
中等竜は、如何なる生物とでも交配が可能な異質な生物で、それによって生まれた生物が亜竜目に分類されている。
亜竜は体格や身体能力だけでなく特殊能力に至るまで全てにおいて中等竜に劣るものの、バジリスク同士やワイバーン同士でなら普通に繁殖能力がある。
但し、雌バジリスクと雄ワイバーンなどの亜竜同士であっても名称が異なると、野生だけでなく人工飼育下でも交雑は不可能だった。
一般的に交配種された動物は、両親よりも優れている雑種強勢と呼ばれる特徴が現れるが、病弱な仔が生まれ易いので幼い内に死亡する場合が多いし、短命でもある。
それに地球では、雄ライオンと雌トラの雑種動物であるライガーはネコ科最大の動物だったが、雌ライガーには生殖機能があるのに雄ライガーやライガーの仔には生殖機能が無いために繁殖しなかった。
それから考えても中等竜は確かに異質な生物といえる。
人類が戦闘可能なのは中等竜までらしく、上等竜以上のドラゴンに関する生息域や生態など詳しいことは何も分かっていない。
▲▲▲ハンターギルド▲▲▲
ハンターギルドとは、食肉や毛皮等の素材の入手及び、居住区や公路周辺の危険生物などの駆除といった仕事を、各ハンターに斡旋している派遣会社みたいなモノである
ハンターギルドは碧翠皇国の自警団が発祥であり、仕事については対人戦の結果では一切評価出来ないし、対人戦関連の仕事は一切斡旋出来ない事になっている。
ハンターギルドは、一つの巨大組織ではあるが基本的に地元密着型の独立採算制であり、各支部は其々の国からの資金援助を受けて、食料の安定供給のために繁忙期の買い叩きと閑散期の買い支えを行って、価格の調整をしているので半官半民の組織ともいえる。
ハンターギルドの各支部は、利害対立が殆どないので、現地だけでは対処不可能になった場合には、国の垣根を気軽に越えて他国の支部に応援を求める。
業務内容の標準化を行う事を目的として、ギルド職員は各国のギルド支部を異動しながら昇級していく事になっているので、これも他国の支部へ応援を要請しやすい下地となっている。
ハンターの大半は10歳頃から見習いを始めて、15歳で正式にハンターになり、45歳頃に引退するが、現役の兵士が引退後の資金稼ぎの為や、動植物学者がフィールドワークの為に、20歳を過ぎてからハンターを始める事もある。
この街で最も好まれている食肉は、北西の森林地帯に生息する体長2フィート程のネズミや鳥などの小型動物なので、森林地帯は魔獣と滅多に出会さない事もあって、絶好の狩場になっている。
俺が彷徨っていたジャングルは、『深淵の森』と呼ばれている魔獣の巣窟であり、此の街を造り始めた時には100マイル以上離れていたのが、周囲の草原を焼き払ったら深淵の森が一気に領域を広げたため、街の周囲に危険生物が蔓延ってしまい、外郭の建設が中断となっている。
深淵の森の外縁部は、食用になる動植物や衣服の素材も多種多様に存在するので、魔獣を駆除できる実力があれば、恵みの宝庫らしい。
▲▲▲傭兵ギルド▲▲▲
傭兵ギルドは、犯罪者などの賞金クビの討伐や捕獲、借金の回収代行、護衛、戦争や紛争時の外人部隊派遣などといった仕事を請け負っている民間軍事会社みたいな組織である。
傭兵ギルドは碧翠皇国の軍人崩れのマフィアが発祥で、仕事については対人戦の結果でしか一切評価出来ないし、対人戦関連の仕事しか出来ない事になっている。
販売行為は商業ギルドのみに許可されているので、傭兵ギルドが麻薬や武器や奴隷の如何なる物であろうと販売したら、国から犯罪組織認定されて賞金首となるなど、各種ギルドの中で最も制約が多い。
ヤクザやマフィアなどが合法化のために立ち上げた様な傭兵ギルドも存在するし、各傭兵ギルドは同業他社みたいなモノなので、利害関係で対立している事が多い。
▲▲▲レベル▲▲▲
レベルとは、強さを表すモノではなく、パワー・スピード・スタミナと云った身体能力の限界を数値で表した体力測定みたいなモノでしかなく、知能や戦闘技術などは数値に一切影響しない。
自分よりもレベルが高くて、同種族ではない生物を殺す事でレベルはあがる。
危険生物は基本的に知能が低いので、戦闘技術を持つ人間なら、同レベルの危険生物に負ける事はない。
要するに、格闘ゲームの同キャラ対戦で、一方的にブチのめす技術を持っている玄人が人間で、為す術もなく叩きのめされる初心者が危険生物、という感じか。
但し、ボディビルダーに幼児が殴りかかっても痛痒を感じさせる事など出来ないのと同様に、レベルに差異がありすぎると戦闘にならないらしい。
レベルに知能が関係ないのは、俺が深淵の森の中を彷徨っていた時に遭遇した、鎧を着て武器を振るっていた亜人と、裸で殴りかかって来た亜人が同じレベルだったので、そんな気はしていた。
但し、危険生物や魔獣の中には『ユニーク』と呼ばれる、高度な戦闘技術を持つ突然変異体も存在する。
変異体は同種族と瞳の色が異なる等の身体的特徴が必ずあるが、亜竜などのドラゴン系の生物については元来、個体ごとに色や形状が少しずつ異なるので、専門家でもなければ区別が出来ない。
▲▲▲ランク▲▲▲
軍人及びハンターの実力と死傷率の関係や一般市民への被害状況など、先史文明の頃から数千年以上に渡って蓄積されてきた膨大な情報を基に、魔獣や危険生物への対応能力を算定したモノで、碧翠皇国によって作られたランク制度が大陸法にも流用されたので、ハンターギルドや傭兵ギルドだけでなく、各国の軍隊でも同じ基準が使用されている。
ランクとは、戦闘技術を数値したモノでしかないので、所属ギルドの職員2名以上の立会いの基で制限時間内に、自身は打撲を含む一切の負傷なしで対象レベルの危険生物もしくは魔獣を狩る事が出来たら、素行が悪くても昇格する。
但し、ランクが高くても素行が悪いと信頼度が低いと判断されてしまい、仕事に制限がかかる事になる。
ランクごとの標準的な身体能力が記載されているので、クリーン&ジャークとスクワットの最大挙上重量、および短距離走と長距離走のタイム、そして握力などから地球人とこの世界の人間を比較してみた。
すると、レベル9~16のランク2でも地球のプロアスリート並みの数値である。
レベル17~32のランク3だとオリンピックメダリスト級で、レベル33~64のランク4なんて先進国の精鋭部隊の隊員みたいな超人的数値を叩きだしている。
レベル65~128のランク5に至っては、地球の人類が出す事など有り得ない様な数値が並んでいた。
外見は地球人と同じホモサピエンスに見えるが、この世界の人間は別の種類の人類なのかもしれない。
現在はランク7ハンターまでしか存在していないらしいが、平均すると約2百年に1人くらいのペースでランク8ハンターが現れるし、先史文明時代を含めた人類史上には5人のランク9ハンターが存在していたそうである。
但し、ランク8以上のハンターが表舞台で活躍する期間は短く、その後は全員が消息不明となっている。
▲▲▲魔法▲▲▲
大気中に存在する『魔素』を感じる事さえ出来れば、誰にでも魔法は使えるみたいである。
身体を操る事を体力と呼び、体力を用いて行う技を格闘技と呼ぶ、それと同じで、魔素を操る事を魔力と呼び、魔力を用いて行う技を魔法と呼ぶ、と書かれていた。
最初は誰でも、赤ん坊が身体を殆ど動かせないのと同様に魔素を殆ど操れない。
並列起動出来る魔法は一般的には4個らしいが、左右の手を別々に操って論文と絵画を同時に描く事が出来る様な者は増やせるみたいで、16個の魔法を並列起動出来る者も存在するらしい。
但し、1つずつの威力は4分の1程度にまで落ちるそうなので、4個以上に増やしても戦闘ではあまり役には立たない。
余程の才能がなければ、我流の格闘技に技のバリエーションなど無いのと同じで、我流の魔法では大した事は出来ないみたいである。
また、上達する魔法の種類と、好きな魔法の種類は基本的に一致しない。
俺の周りも、小太刀術が上手なのに接近戦が好きじゃない奴や、銃剣術が下手なのに近接戦が好きな奴などばかりだったので、当たり前の事ではある。
特に、適正と嗜好の一致が重要なのが治癒魔法で、身体の構造を知らない箇所には作用しないため、死刑囚や重犯罪奴隷を解剖しては魔法で治癒するという事を繰り返して体得する。
氷の存在を知らない者が魔法で水を凝固させると、氷ではなく固まった水になるだけで冷たくはならないなど、自然現象を再現している訳ではなく、見た目だけ真似出来るという不思議な所に何とも心を動かされる。
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取り敢えず、行動するのに必要な最低限の知識は入手できた。
ハンターギルドと傭兵ギルドに登録して日銭を稼ぎながら、未知の生物を探したり、遺跡探しでもしながら、序に帰還する方法も調べるとしよう。
<続く>




