プロローグ
数年ひたすら読み手に回り、最近やっとこさ顔を出すことができました。リハビリがてらといいますか、まずはこちらを完結することができるように頑張らせていただくつもりです。つたない文章ですが読んでいただけると幸いです。
「ひーちゃんのばかあぁあ!」
唖然とする親友陽をその場に私は涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔を乱暴に拭い、脱兎のごとく逃げ出した。
この時の私には後ろも振り返る余裕もない。ただ親友の側から逃げ出すという選択肢しかなかった。
ひーくんの私を呼び止める声がする。でも私は止まらない。
何故ならその時の私はただひたすら子供で、哀しくて悔しくて、そしてとても怒っていた。当分この怒りは収まりそうになかったから。
二人の間に秘密はないと思っていた。それはとても子供で、呆れるくらい甘ちゃんな私が一方的に押し付けていたエゴ。今ならこんな思考回路を持っていた過去の私をぶん殴ってやりたい。人間誰しもが秘密を持っていないわけではない。人に知られたくない事の一つや二つ当たり前にあるものだ。
当の本人である私にだって今現在、進行形で誰にも打ち明けられない秘密がある。
誰かに相談して楽になりたい反面、話すことで拒否される事が怖くて誰にも打ち明けられないでいる。
ひーちゃんも。いや、陽夏李くんもこんな気持ちだったのだろうか。その答えをいくら知りたくとも、その答えを与えてくれる人はいない。
そう陽夏李くんはもう側にはいないのだ。
だれが想像しただろうか。あんな怒りと暴言を吐いて別れてすぐ後に、私は両親の再婚により急遽引越しをすることになるなんて。
当時の私は引越しの事は愚か、再婚にの事も聞かされていなかったように覚えてる。そして引越しのための荷造りをしている間に日は過ぎ、あれよあれよという間に私は故郷を発った。
こんな私の8年後のお話。
現在私は誰にも打ち明けられない秘密を持っている。
それは、私に前世の記憶があること。
秘密を抱える事がこんなにも苦しい事だなんて身を持って知った。できるなら貴方に謝りたい。
ごめんなさい。