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黒い夢と白い夢Ⅴ ――暗躍の悪夢――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 †監獄† ――連合軍・シュードラ支部――
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第48話 アポカリプスの西と東

 【シュードラ支部 上層フロア 会議室】


 私たちがシュードラ支部に来てから1週間が経った。

 私たちは臨時政府軍の飛空艇を呼び寄せ、シュードラ支部に捕えられていた人々をコスーム大陸に帰していた。また、シュードラ支部に軍勢を配置し、バトル・ラインの攻撃と侵略に備えていた。


「――次はアポカリプス西部と東部を攻撃する予定だ」


 クラスタは立体映像に向かって言う。

 この会議室には4つの青色の立体映像があった。フェスター議長、スロイディア将軍、クディラス将軍、ジェルクス将軍だ。一方、会議室にいるのは私とクラスタ、アバランチの3人だった。


[しかし、シュードラ支部を制圧してから、まだ1週間しか経ってないですが……]


 臨時政府首都ポートシティにいるフェスター議長が言う。


「すでにシュードラ支部が陥落したことはアポカリムに伝わり、ホフェットの耳にも入っている。ホフェットは近い内に、アポカリプス西部の“ダーサ支部”に溜め込んでいる軍用兵器を首都アポカリムに移動させる予定だ」


 アポカリプス大陸北側の西部に、ダーサ支部という支部があるらしい。支部とはいっても、ここよりも何十倍も大きい巨大な採掘・兵器製造施設らしい。

 問題はダーサ支部に保管されている軍用兵器だ。あの支部には、バトル=アルファやバトル=スカイといった戦闘型ロボットが、総計で1220万体以上も溜め込まれている。これだけでもアポカリムに移動させ、稼動させてしまえば、バトル・ラインを倒せなくなる(臨時政府の人手不足は深刻だ)。

 このシュードラ支部で採掘された鉱山物資も、全てそのダーサ支部に運ばれていた。そこで鉱石を基に、軍用兵器を造っているらしい。


「ロボット兵器だけでもあの数だ。他にも――」


 クラスタは紙に書かれた情報を読み上げていく。私もその紙を手に取り、目で追っていく。憂鬱になりそうな情報だ。


『◆連合軍・ダーサ支部に保管される軍用物資数

 軍用兵器:1220万体以上

 浮遊戦車:10万台以上

 銃火器等:アサルトライフル、マシンガン、銃弾、砲弾を中心に、上記1220万体の軍用兵器が持つだけはある。

 コア・シップ:90隻

 軍艦:125隻

 上陸艦:175隻』


 よくもこれだけ溜め込めたものだ。3年ぐらいかけて四六時中作り続けたらしい。それをアポカリムに運搬し、私たちとの決戦に備えようとしている。

 実際には、私たちとの決戦に備えるだけじゃなく、連合政府から離脱したとき用でもあるらしい。この大軍を使って、連合政府の逆襲に備える作戦だという。


「これだけの軍用兵器を保管するダーサ支部だ。制圧を直ちに行わねば、バトル・ラインには手が出せなくなる」

[しかし、誰を派遣しましょうか?]


 フェスターの言うことはもっともだ。ここへ来たときもそうだったケド、とにかく臨時政府は人手不足だ。

 しかも、バトル・ラインとの戦争ということで、最近はますます、特殊軍の軍人を辞めちゃう人が多いらしい(復興・防衛・治安維持の警備軍は充分すぎるほどなんだけど……)。


「ダーサ支部に行くのは、私と――」


 ――私か?


「クディラス将軍、ジェルクス将軍、ホーガム将軍で行こうかと思っている」


 あれっ? 私じゃないのかっ!?


[クラスタ筆頭将軍含め、将軍4人で、ですか!?]

「今度はシュードラ支部のようにはいかない。ダーサ支部の警備はかなり厳重だ。ここは実力の高い将軍を連れて行きたい」

[……わ、分かりました。幸いなことに治安も落ち着き、連合軍も攻める余裕は全くありません。クディラス将軍、ジェルクス将軍、ホーガム将軍、これよりシュードラ支部に向かってください]

[了解]

[分かりました]

[直ちに向かいましょう]


 ……私はお留守番かな?


「アバランチ中将はシュードラ支部の処理と防衛を頼む。ここはバトル・ライン討伐作戦の拠点だ。これも重要な任務だ」

「おお、任せておけ」


 私は変な汗をかきながらクラスタの指示を待つ(私、シュードラ支部作戦のとき、何か変なことしちゃったかな……?)。


「パトラーはスロイディア将軍と一緒にアポカリプス北部の東に向かってくれ」

「東?」

「あのクノーの故郷、サクラダ王国だ。そこもバトル・ラインの支配地。そこを解放して欲しい」

「サクラダ王国……! 了解っ!」


 私は元気よく返事する。意外な大任だ。西にクラスタが向かい、東に私が向かう。……そうか、バトル・ラインの東西を制圧し、ホフェットを追い詰める作戦だ。すぐにでもアポカリムにやって来るだろうと考えているホフェットからすれば、全く予想しない動きだろう。


「それでは、今日の会議はここまでとしよう」


 クラスタはイスから立ち上がる。他の立体映像も消えていく。私とアバランチも立ち上り、部屋から出ていく。


「そういえば、アポカリプス上空を通るときって、パスコードが必要なんじゃなかったっけ?」

「ああ、分かっている」


 アポカリプス大陸上空には、空中警備隊が飛び回っている。移動する検問みたいなものだ。彼らに遭遇したら、パスコードを送らなきゃならない。送れなかったり、間違えたりすると、そのまま撃ち落される。民間人の脱走や敵軍の侵入を防ぐためのものらしい。


「パスコードはこれから手に入れる」

「えっ? どうやって?」

「…………」


 クラスタは無言で去っていく。このパスコードは連合の最上級機密情報でもある。簡単に知ることはできない。なにか、知るための秘策でもあるんだろうか……?

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