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黒い夢と白い夢Ⅴ ――暗躍の悪夢――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 †監獄† ――連合軍・シュードラ支部――
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第38話 シュードラ支部・第4層:拷問エリア

 【シュードラ支部 第4層(拷問エリア)】


 階下に進んでいた大型リフトが止まり、分厚い鋼の扉が開いていく(ここだけなんで鋼の扉が……?)。今回はずいぶん、下に降りた。

 扉が開くと、一気に熱風と眩しい光が入ってくる。うわっ、なんだ、ここっ……? さっきまでの涼しくやや薄暗い感じの一般エリアとは真逆のエリアだ。


「こんなところにリリスが……?」


 私はリフトから一歩、第4層エリアに足を踏み出す。足裏に伝わる感触は、とても熱い砂。……砂? よく見ると、地面一帯は、サラサラの砂で覆われていた。まるで、このエリアは砂漠に残された廃墟みたいだ。

 さっきまでと違い、異様に静かなエリア。室内というのに、風が廃墟のような監獄を吹き抜けていく。ここからはサンドクスという砂と熱のパーフェクターが管理するエリアだ。


「これはサンドクスの仕業か? 異様な熱気だな」

「ひとまず、リリスを探してみよう……」


 この様子じゃ、リリスが生きているかどうか、かなり怪しい。ヒーアスやアーシアの言った通り、ここはもはや普通の監獄じゃない。入れられることが拷問。見せしめのエリア……

 私たちは近くの牢獄を覗いてみる。3人のやせ細った青年がいた。……だが、3人とも、床に寝そべり、ぐったりとしている。脱水症状を起こしていないか?


「…………」


 誰も何も言わない。これじゃ生きているかどうか…… そのとき、近くから足音が聞こえてくる。これは機械の足音じゃない。私たちは急いで狭い路地に身を隠す。


「……クノー少将はどちらに?」

「さぁな」

「それと、パトラー=オイジュスがこのシュードラ支部にいるって本当か?」

「知らんな。また、ただのウワサだろう。よくある」


 黄色い装甲服を着た3人の兵士は、私たちに気が付かずに、大通りを歩いていく。あの声、女性のものだ。フィルド・クローン兵と同じ声だ。ここのエリアの警備はクローン兵らしい。あの変わった装甲服は、耐熱仕様なのだろう。

 それにしても、私が捕まったことを知らないのは、一体どういうことだろう? 追手が来ないのもおかしな話だ。


 クローン兵が去ると、私たちは路地から出て、再び砂の上を歩いていく。すると、またクローン兵が現れる。私たちは再び路地に潜む。


「そらっ、さっさと歩け!」


 今度は10人ほどの被収監者を引き連れているようだ。真っ赤に光る鞭――火炎ホイップを持ったクローン兵たちが3人。ときどき、やせ細った被収監者に向かって火炎ホイップを振ってる。

 被収監者たちは大通りの真ん中を歩かされ、どこかへと連れて行かれる。連行される彼らは終始無言で、俯いていた。


「これから採掘作業なのかな……」

「たぶんな」


 私は大通りのど真ん中に出て行こうとする。だが、途中まで歩いていったとき、不意に足裏に熱いものが触れる。私は反射的に足を戻す。


「これは……?」


 私が踏んだ場所には、なにもなかった。――砂も。


「石が剥き出しになっている部分は、まるで鉄板だな」


 砂があるのは、道の両側だけだ。真ん中には砂がほとんどない。掃き清められているんだろうか? 砂のないそこは、強烈な熱を持っていた。


「さっきの人たち、裸足でここを……」

「反逆者を収監する第4層、か」


 ヒーアスが言った言葉が蘇る。――“第3層から下の層には、ほとんどに連れて行かれない”。ここに入れられるのは、よっぽどのことをしない限りないんだろう。そして、よっぽどのことをしてしまった人たちはその報いを……

 私たちは砂の部分を歩きながら、静まりかえった砂漠エリアを探索する。どの牢獄を見ても、水を与えられていないのか、干からびたような人ばかり。中には白骨化している人もいた。


「見た感じ、男性が多いかな……」


 それでも、女性や子どももたくさんいる。みんな、黙り込み、ほとんど動かない。無気力そうな顔でうずくまっている。こんな拷問まがいのエリアに入れられたら、それも仕方ないだろう。

 やがて、私たちはある牢獄の前にまで辿り着く。その牢獄には、1人の女性が入っていた。このエリアの牢獄は、どれも3人から5人で入っているものばかりだった。でも、この牢獄だけ、なぜか1人だ。


「……あの、もしかして、リリス大佐、ですか?」


 牢獄の奥でうずくまる女性に、私は恐る恐る声をかける。ピクリとその女性が反応する。ゆっくりと身体を起こし、フラフラと鉄格子に近づいてくる。


「あんたは、誰だ……?」


 鉄格子の側に座り込んだその女性は、消えそうな声で言う。


「私は国際政府のパトラー=オイジュス。あなたが――」

「パトラー? ああ、お前が…… リリス、私だ……」


 彼女はぐったりと鉄格子に寄り掛かる。


「あの、助けに――」

「そう……」


 リリスは小さな乾いた声で言葉を発する。今にも死んでしまいそうだ。


「……近くに、日光浴場、ある。見ていくといい……」


 口端を吊り上げて、ニタリと笑うリリス。彼女はそれだけ言うと、無言で再び奥に戻り、また寝転がってしまう。


「クラスタ……」

「……今はどうすることも出来ない。ひとまず、先に進もう」


 私たちはその牢獄から離れる。クラスタの言う通りだ。今は助けられない。私たちもここに長くいると、やがて倒れてしまうだろう。

 リリスの牢獄を離れ、少し歩くと、広い壁がある場所に出た。そこには、クローン兵3人と裸にされた男女が背を壁に、はりつけられている。


「あの横にリフトがあるな」

「…………」


 クラスタは磔場のすぐ横にあるリフトを指差す。私はそれどころじゃなかった。アレは何をしているんだ……?


「なぁ、今日の“日光浴”はこれまでだとよ」

「フン、運のいいヤツらだ」


 装甲服を着たクローン兵たちは手足の鎖を外し、2人を石の壁から下ろす。その背中は赤く染まっていた。――火傷だ。

 クローン兵たちは、2人に投げ捨てられていた灰色のワンピースを着せ、左足首に足輪を付けさせる。それが終わると、彼らを担いでどこかへと去って行く。


「アレがリリスの言っていた日光浴場なのか……」

「行くぞ」


 クラスタはリフトまで走って行く。よく見ると、リフト周辺には砂がなく、石床が剥き出しになっていた。……だからと言って、行かないワケにはいかない。私も全速力で走り、リフトに飛び乗る。


「……よし」


 リフトが動き出す。あんなとこ、走り抜けるだけで大変だ。それと同等の熱さを誇る壁に、裸で磔る。第4層はまさに拷問エリアだな……

 <<シュードラ支部 構成図>>


◆第1層(一般エリア)

 ・施設特徴:普通のエリア

 ・収監対象:普通の女性や子ども

 ・収監人数:約9万人

 ・施設管理:クノー

 ・管理部隊:一般部隊/精鋭部隊

 ・主な人物:――――

 ・そのほか:シュードラ島の鉱山資源を掘らされている。一日の労働時間は10時間ほど。落盤事故などで死亡する人も……


◆第2層(一般エリア)

 ・施設特徴:普通のエリア

 ・収監対象:やや身体能力の高い女性や子ども/第1層で反抗的だった者

 ・収監人数:約6万人

 ・施設管理:クノー

 ・管理部隊:一般部隊/精鋭部隊

 ・主な人物:ヒーアス軍曹

 ・そのほか:収監されている人々の扱いや労働内容は、第1層の人々と変わらない。


◆第3層(一般エリア)

 ・施設特徴:普通のエリア

 ・収監対象:身体能力が高い女性や子ども/第2層で反抗的だった者

 ・収監人数:約3万人

 ・施設管理:クノー

 ・管理部隊:一般部隊/精鋭部隊

 ・主な人物:アーシア大尉

 ・そのほか:収監されている人々の扱いや労働内容は、第1~2層の人々と変わらない/パトラーたちが入れられる予定だったエリア。


◆第4層(拷問エリア)[現在位置]

 ・施設特徴:灼熱のエリア

 ・収監対象:反逆者/第3層でかなり反抗的だった者

 ・収監人数:約1千人

 ・施設管理:サンドクス

 ・管理部隊:巡視部隊

 ・主な人物:リリス大佐

 ・そのほか:見せしめの意味合いもあるエリア/水もほとんど与えられない上に、定期的に“日光浴”を受けさせられる。


◆第5層(??エリア)

 ・施設特徴:???

 ・収監対象:???

 ・収監人数:???

 ・施設管理:コマンダー・デザート

 ・管理部隊:特殊部隊

 ・主な人物:???

 ・そのほか:???


◆第6層(??エリア)

 ・施設特徴:???

 ・収監対象:重度の反逆者(幹部を殺そうとした等)/第4層で反抗的だった者

 ・収監人数:???

 ・施設管理:アバランチ

 ・管理部隊:特務部隊

 ・主な人物:ソイド准将

 ・そのほか:???


◆第7層(??エリア)

 ・施設特徴:???

 ・収監対象:???

 ・収監人数:???

 ・施設管理:???

 ・管理部隊:???

 ・主な人物:???

 ・そのほか:???

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