表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い夢と白い夢Ⅴ ――暗躍の悪夢――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 †理由† ――クロント州――
13/103

第12話 ファンタジア陣営の制圧戦

※クラスタ視点です。

 【メートル平原 ファンタジア軍陣営】


 私はスピーシー中将が攻撃に移ると同時に、シューティ少将と共にファンタジア軍の陣営に侵入した。すでに陣営内はパニックに陥っていた。ファンタジア兵の多くが武装もせずに逃げ回っている。

 ファンタジア軍のキャルア中将が25万の大軍を率いて夜襲をしにいったのに、あべこべに臨時政府軍の夜襲を喰らうなんて、考えてもいなかったのだろう。

 私とシューティは混乱に陥るファンタジア陣営を駆け抜けていく。目指すは陣営の中心だ。


「クラスタ将軍、ファンタジアの4中将は捕まえられるでしょうか……?」

「……全員は難しいかもな」


 私とシューティは近くにあったファンタジア軍の軍用スピーダー・バイクを奪うと、それにまたがり、戦場のファンタジア陣営を駆け抜ける。

 しばらく軍用スピーダー・バイクで飛んでいると、ふと視界に豪華な装甲服を着たファンタジア軍の軍人が私の目に入る。


「クラスタ将軍、アレはファンタジア軍のバケット中将です!」

「逃げる気だな」


 私はスピーダー・バイクの向きを変え、バケットを追いかける。彼もスピーダー・バイクに乗っている。さっさとしないと、見失う可能性もある。

 だが、彼の周りにいたファンタジア兵3人が私たちに気が付く。3人の兵士は、スピーダー・バイクの向きを変え、私に向かって来る。


「クラスタだ!」

「邪魔するな!」


 私は剣を引き抜きながら、自身に物理シールドを張る。一方、ファンタジア兵は軍用スピーダー・バイクに取りつけられているマシンガンで攻撃してくる。それらの銃弾は私自身やスピーダー・バイクにも当たる。物理シールドを張っていても、無効化することは出来ない。


「チィ!」


 マシンガンで倒れない私を見たファンタジア兵は、私と同じように剣を引き抜く。彼も私と同じことをする気だろう。

 私はスピーダー・バイクの速度を上げ、剣を引き抜いたファンタジア兵の真横を一瞬で通り過ぎる。その途端、右肩に鋭い痛みが走る。通り過ぎたその瞬間に斬られたのだろう。

 だが、私を斬ったファンタジア兵は、スピーダー・バイクから落ち、地面に倒れ込む。首が飛んでいた。スピーダー・バイクは逃げ惑うファンタジア兵たちのど真ん中に突っ込んで爆発・炎上する。数人のファンタジア兵が吹き飛ぶ。


「クラスタ将軍、大丈夫ですか?」


 他のファンタジア兵を倒したシューティがスピーダー・バイクを近づけてくる。私は無言で頷きながら、バケットを追う。本当はすごく痛いが、ここで休んでいるヒマはない。しばらく飛んでいると、1人で逃げるバケットに追いつく。


「クッ、クソッ!」

「もう逃げられないぞ!」

「捕まってたまるか!」


 彼はシリオード・ブラスターを取り出し、私に向けて発砲する。薄いシールドに包まれた緑色をした蛍光色のエネルギー弾が飛んでくる。

 私はそれがスピーダー・バイクに当たる直前に、そこからバケットの乗るスピーダー・バイクに飛び乗る。エネルギー弾を喰らったスピーダー・バイクは爆発と共に、地面に転がり、テントに当たって木端微塵になる。


「う、うわっ!」


 私を乗せたバケットのスピーダー・バイクは何度も激しく揺れる。当然だろう。スピーダー・バイクは1人乗りだ。その上、かなり強引に飛び乗っている。バランスを崩すのは必然だ。

 半ば無理やり私はバケットに抱き着き、自分も一緒に彼を無理やり横に倒し、スピーダー・バイクから押し降ろす。私たちは何度も地面に叩きつけられ、勢いよく転がる。操縦手を失ったスピーダー・バイクは対空砲に当たって砕け散る。


「クッ……!」


 バケットは素早く立ち上がると、懐から新手のシリオード・ブラスターを取りだす。私は二本目の剣を引き抜き、バケットに走り寄る。

 発砲。黄緑色に光るエネルギー弾が飛んでくる。それは私の脇腹をかすり、すぐ後ろに着弾する。着弾と同時に爆発が起こる。私はその爆発を利用して、バケットを無理やり押し倒す。剣でシリオード・ブラスターを弾き飛ばし、彼の首に剣を付きつける。


「降伏しろ」

「…………!」


 そのとき、シューティと数人の臨時政府兵が私たちに走り寄ってくる。私は捕まえたバケットを彼らに引き渡す。

 しばらくすると、私の無線機に通信が入る。スピーシー中将からだ。彼はファンタジア陣営の中心に向かい、ファンタジア軍の中将たちを捕える任務を受けている。


[クラスタ将軍、ファンタジア軍のスネイム中将、トトール中将を捕えました。また、飛空艇も全機を制圧完了]

「よし、よくやった。司令部にあるシールド・ジェネレーターを操作し、ファンタジア陣営を覆うシールドを強化しろ。ファンタジア兵の逃走防止と、夜襲に行った部隊を入れるな」

[イエッサー!]


 スピーシーはそう言うと、通信を切る。入れ替わるようにして、ロッド中将から通信が入る。


[クラスタ将軍、ティラス中将と共にファンタジア軍陣営の北部・南部エリアを制圧。ファンタジア軍のランドゲート中将を降伏させ、他の将兵たちも降伏させました]

「そうか、よくやった。武装を解除させ、混乱を鎮めよ」

[イエッサー!]


 ロッドはそう返事すると通信を切る。これでここの制圧作戦は完了だな。私は捕えたバケットが無線機で全部隊の武装解除と臨時政府軍への降伏を命令している姿を見ながら思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ