第28部 魔王、被弾する!
お気軽にご意見等およせください。(゜´ω`゜)゜。
くそっ、こうなったら、ちゃっちゃと姫ちゃんの水着を探して岸に戻―――
現れたサメの背びれにピンク色の“何か”が引っ掛かっているな。
――うん、まあ気にしないでおこう。
一番嫌な現実から目を背けます。
「こーすけ! Go!」
「ちょっ、ホオジロザメに向かって泳げっていうの!? 僕に死ねって言う気!?」
「刺し違えてでもわたくしの水着を護りなさい」
「水着ごときに命は無駄にしたくないよ!!」
守るものが姫ちゃんの水着だけに、布一枚に命を一つ無駄にするのではたまったもんじゃないからね。
魔王を派遣しようにも、今ビーチではフィアさんが死刑執行中だし、かといって2メートル先のサメの尾びれまで泳いでいく自信が無いし。
都合よく水着だけカモン!!
サメが一杯来ました。
「いやあああああ!!!!!」
「あっ! 勝手に逃げ出したら許しませんわよ!」
「ええー!!?」
普通、サメに追いかけられて逃げない者はいない。
しかしこの王女さまからすると、僕<水着なので、どうしても人命が軽んじられる。
生きて帰ったら、絶対このアホ王女に人道的非難を加えてやるっ。
「くそっ!! ぬぉおおおおお!!」
自らサメの方に方向転換し、小学校の水泳大会で優勝した経験を生かしながら素早く水着をキャッチ!
サメが混乱している間に姫ちゃんを連れて岸に戻らねば!!!
「姫ちゃん!! 水着見つけたから逃げるよ!!」
「んっ」
平べったいお胸を差し出す姫ちゃん。
「何?」
「ちゃんと水着を付けて」
「今!? 岸に上がってからでもいいよね!?」
「よくありませんわ! こーすけはわたくしに『上半身裸で醜態をさらせ』とおっしゃる気?」
「無意識に下着を脱ぐ癖がある時点で、醜態さらしまくってるからな!?」
サメの渦巻く海中で押し問答していても埒が明かない。
僕は3秒で彼女に水着を付けると、サメの間を縫い、浮き輪でプカプカ浮かぶバカ王女を連れて岸へGo!
しかしサメの方も姫ちゃんほどアホではない。
獲物が逃げたと知ったら、群れになって追いかけてくる。
「やばい、追いつかれる!!」
「こーすけ、左手がお留守ですわよ?」
「姫ちゃんの浮き輪を持ってるんだよ!!」
右手だけでの水掻きは中々ハードだ。
折角右手はクロール、左手は浮き輪を持ってやっているのに、この王女さまには『ありがたみ』というのが毛頭ないらしい。
あんたをこんなに育て上げた親の顔が見てみたいよ。
――☆――☆――
(も、もうだめ)
僕は姫ちゃんを浅瀬まで連れてくると、力尽きて倒れ伏した。
サメは浅瀬まで来ると帰って行ったものの、もう姫ちゃんと一緒に泳ぐ余力はない。
「大丈夫? 康介君?」
ふと顔を上げると、爆乳のフィアさんが僕の顔を覗き込んでいるのがわかった。
「な、なんとか……。 魔王はどこにいますか?」
「ああ、夫ならそこでお昼寝中」
なんだと!?人が命を懸けてこのバカ王女を岸まで連れ戻したというのに!!
今日という今日は許さん!
恩知らずの魔王をこらしめてやろう、と横を見ると、テレビでは放送できないようなグロテスクな彼が横たわっていた。
魔王の周囲にクレーターができていることから、フィアさんのバズーカ砲をまともに喰らったことがわかる。
彼は自らの意志で寝たのではない。
他人の意志によって“眠らされた”のだ。
「なあ康介君」
「はい?」
「もうそろそろええ時間やし、お昼にせえへん?」
「いいですね。 そこの海の家に行きましょう」
「こーすけ! わたくし、カレーが食べたいわ!」
「海の家には定番だね。 ほら、魔王もそんなところで埋まってないで、早くおいで」
埋没する魔王に一声かけてやる。
背中にはカラスが数羽乗っていて、もはや死体状態だ。
「魔王?」
返事が無い。
ただの屍のようだ。
「海の家で働いてる女性見に行かないの?」
ムクッ、シュタッ
「よし、行こうか」
魔王が復活しました。
こうして仲良く4人でお昼をとることに。
浮き輪を抱える姫ちゃんはともかく、爆撃を喰らって黒焦げ&アフロ状態の魔王は周囲の視線を釘付けにする。
彼の生命力はゴ○○リより強い。
『いらっしゃいませ! ご注文は何にしますか?』
元気よく現れた若いアルバイト店員の女性。
僕は姫ちゃんと同じくカレーを頼もうとしたのだが、魔王は素早く店員の手を取ると、
「では、我はおぬしの笑顔を注文しようか(キリッ)」
「逃げて魔王!! フィアさんがライフルとバズーカを取りに行った隙に!!」
「今度我と共に茶でも行かぬか? 食事でもいい」
「魔王、そろそろ死の覚悟した方がいいと思うよ? 300メートル先から対地ミサイルが飛んできそうだから」
「よければ、おぬしのアドレ――」
魔王、被弾。
「姫ちゃん、大丈夫?」
「え、ええ」
瓦礫の中からなんとか這い上がる。
顔にススが付いたが、真っ黒焦げを極めた魔王に比べれば何の比でも無い。
「えっと、カレー4人前おねがいします」
建物の裏に緊急避難していた店員さんに合図を送る。
彼女は「ふ、ふぁい」と怯えた返事を返すと厨房に退散した。




