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とあるわが家の王女さま!  作者: 華凜
4章:姫ちゃん、海に行く!
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第27部 姫ちゃん、大ピンチ!


 姫ちゃんのエスコートという名目で彼女を監視することになったが、浮き輪を持っているのに溺れる心配はないと思うんだけど……。


たまに泳ぎたくなって姫ちゃんから離れようとすると、「わたくしをまた放置プレイする気かしら!」とか言って怒るので、泳ぐに泳げない状況。

仕方なく背泳ぎの要領で海に浮かびながら、優雅に海上日向ぼっこだ。


たまにはこういうのんびりした事も―――ん?


姫ちゃんがこっそり近づいてくる。


「えいっ」

「ぐふぉあ!!」


海上に浮かんでいると、姫ちゃんがイキナリ僕の腹に空手チョップ。

おかげで僕はV字になって海に沈んだ。


ブクブク、サバァッ


「姫ちゃん!! なんで人の不意を突いて攻撃するわけ!?」

「やーいやーいっ」


追いつけるものなら追いついてみなさい、と言わんばかりに舌を出して逃げ出す王女さま。


くそう!

あの小娘がッ!!


捕まえようと姫ちゃんを追いかけるも、バタ足が邪魔で捕まえるに捕まえられない。

彼女の蹴る力は怪獣並みだから不用意に近づくとヤバい。


(かくなる上は!)


「あら? ……こーすけが消えましたわ」


僕の姿が見えなくなり、キョロキョロし始める姫ちゃん。

相手が油断して脚を止めた隙に、僕が水中から王女さまを捕縛――


――いかん!

姫ちゃん、ブラをしておりません!


「おい姫ちゃん!!」

「きゃあ!!」

「なんで水着してないのさ!! 鼻血の出血多量で僕を殺す気なの!?」

「い、いつもの癖でつい脱いでしまいましたわ」

「その癖おかしいからね!?」


ったく。

他の人に見られたらえらいこっちゃだ。下半身でなくて助かったと思わねばならない。

下なら目も当てられないが、姫ちゃんの胸ならまだ目は当てられる。


「きっとどこかで落としたのですわね。 探して頂戴」

「『きっと』じゃなくて明らかに故意だろ」


もう本当に世話の焼ける王女さまだ。

気付いた時には僕らはかなり沖の方に出ていて、幸いにも一目は無いからこの惨状を見られることも無い。


行方不明になった姫ちゃんの水着も気になるところだが、ビーチで不定期に上がる火柱も注目に値する。

魔王の生命が危ぶまれる痛ましい光景である。


(えっと、姫ちゃんの水着は……)


上でぷかぷか浮かぶバカ王女の下で、僕は潜水して水着を捜索する。

ゴーグルを付けているとはいえ濁っている海中ではやはり見通しが利かない。


仕方なく再度浮上することにする。


「ぷはぁ」

「ねえ、こーすけ」

「……今度は何? 下半身の水着も無くしたとか言わないでね?」


眼福ですから。


「ち、違いますわ。 でも下に……」

「下に水着があったの?」

「わたくしの下に魔王さまが沈んでますの」

「マジかッ!!?」


ワカメと一緒に沈む魔王を発見。


急いで救助だ!!


「どうしたの魔王!! しっかりして!!」


ぐったりする魔王を必死に起こす。

人工呼吸が必要とされるほど青白い顔をしているが、僕のファーストキスが野郎だなんて御免だ。


しばらく揺さぶっていると、魔王はフッと目を覚ました。


「……美女から…人工呼吸されたら……元気になれる」

「フィアさん呼んでこようか?」

「じ、冗談だ康介! 我はピンピンしておるぞ! はははははっ!」


現金な奴め。

今度調子に乗ったこと発言したら恐妻さんに告発してやる。


「ところで、何で海の中に沈んでたわけ?」

「うむ。 実は水着ギャルをナンパしておると嫁に殺されかけてな。 逃げて来て力尽きたのだ」

「120%魔王に落ち度アリじゃん」


魔王はグッジョブのポーズを決めると、再び意識を失った。


フィアさんの凶暴な性格は誰よりもよく理解しているだろうに。

まったくコイツは本当に命知らずなやつだ。


(……姫ちゃんの水着も探さなきゃいけないのに、余計なもの拾っちゃったなあ)


と僕が頭を悩ませていると、姫ちゃんが僕の肩をつんつんと突いてきた。


「ねえ、こーすけ」

「はい」

「お魚が泳いでますわ」

「そりゃ海だからね」

「カモメさんが飛んでますわ」

「そりゃ海だからね」

「海藻が流れてますわ!」

「そりゃ海だからね」

「……サメが……集まって来ましたわ!」

「そりゃ海だか――ってぎゃあああああ!!!!!」


しかも巨大ホオジロザメの群れ。


「ちょっ、魔王!! 起きて魔王!!!!」


必死に魔王を叩き起こす。

早くしないと姫ちゃんと一緒に喰われちゃう!!


ザバァ……


数メートル先の海上に出現した三角形の背びれを見て戦慄が走る。


しかし魔王は起きる気配が無い。


くぅ、こうなったら最終手段だ!


「魔王! ビーチでナイスバディなお姉さんが手招きしてるよ! あのサイズは間違いなくG級だよ!!」


シュタッ


「行って、見て、触ってくる」

「堂々たる痴漢はよせ――って僕を置いて逃げるな!!!」


魔王は秒速20メートルのスピードでビーチに戻ってしまった。


くそう、計算外の事態だ。

サメに魔王の肉を提供した方が安全に逃げられたかもしれなかったなあ。


だが今は悔やむことより逃げることが先。


「姫ちゃん!! 逃げるよ!!」

「ご覧になって。 このサメさんたち可愛いわ」

「何でサメに触って笑ってるのさ!! あんたマーメイドじゃないでしょ!? 逃げろ!! エスケイプ姫ちゃん!!」

「あなたのお名前はなあに? 太郎? 次郎?」

「無視しないで!!」


近寄ってきたサメと普通に会話し始める姫ちゃん。

この女にはサメ=怖いという概念が存在しないらしい。これだから箱入りは。


「と、とにかく僕は逃げるからね!!」

「逃げるなんて許しませんわよッ!」

「何でさ!! サメに囲まれたんだよ!?」

「まだわたくしの水着を見つけてないからに決まってますわ!」

「水着>僕の命!?」

「わたくしの水着を探し出していただかないことには、岸にも上がれませんわ」


おっしゃる通りですが、今回ばかりは勘弁してくれませんかね。


「とにかく! 水着を見つけるまでお探しなさい! わたくしを放置プレイして勝手に帰ったらお仕置きですわ!」

「お、お仕置きって何するの?」

「そうですわね。 ヒントは、スカイツリーが砂丘になる――ということかしら」

「探させていただきますっ!!」


股間のスカイツリーが古墳と言わず砂丘にされてしまうのは、いささか……いや、甚だ遺憾だ。


しかし困ったな。

姫ちゃんの水着を探しているとサメに喰われる危険性大だし、かといって逃げ出したら姫ちゃんの死の鉄槌が下るし。


逃げたくても逃げられない二律背反の事態。

デッド オア アライブならぬ、デッド オア デッド!!


誰かこの状況をどうにかしてください!!


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