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とあるわが家の王女さま!  作者: 華凜
3章:姫ちゃん、失踪する!
22/31

第22話 姫ちゃん、戻ってくる!

第3話に挿絵を表示しました。

あくまでイメージです。

 「うおおおお!!!」


魔王がその命を懸けてフェラーリと激突しようとした、その瞬間、


ベチーンッ!!!!!



へ?


突然、魔王とフェラーリの頭上から新聞紙が降ってきたのだ。


横を見ると、アリのバリケードは何者かの巨大スリッパによって破壊されており、魔王と台所の帝王は新聞紙の下敷きに。


ふと上を見上げると、真っ先に僕の視界に飛び込んできたのは、水玉模様のパンツだった。


「んもう! この家にも“黒い悪魔”が潜んでいらしただなんて。 後でこーすけを叱らなくてはいけませんわね!」


姫ちゃん!?


なんと魔王とフェラーリを叩きのめしたのは、行方不明になっていたはずの姫ちゃんだった!


彼女なら「きゃあ! 虫よ!!」などと言って叫びそうなのに、迷うことなく新聞叩きとは、手慣れたものである。


姫ちゃん、強し。


まあ彼女が見つかったことは大変喜ばしいことだが、姫ちゃんは新聞紙の裏を見ようとはせず、そのままゴミ袋にポイ。

魔王がフェラーリと仲良く焼却処分場行の特急列車に乗せられた。


王女さまがキュッキュッと袋を縛っていると、『赤とんぼ』の歌が流れて来て、


「あぁ、お待ちになってぇ! 愛しのゴミ収集車様ぁ~」


などと言って、姫ちゃんはゴミを出しに行ってしまったのだ。



って、ヤバい!

早く魔王を助けないと!!


ぽん、ヒュルルルル……


姫ちゃんの後を追おうとした時、丁度30分経って体が元に戻った。


急いで玄関に駆け出し、魔王を一刻でも早く救出しようとするも―――


ガチャッ


「あ」

「え?」


ドアを開けた時、僕と姫ちゃんの目が合った。

ふと彼女の手元に視線を落とすも、ゴミ袋は無い。


「こ、こーすけ! またまたわたくしを放置プレイしましたわね!!」

「してないよ!! むしろ探してたんだよ!!」


姫ちゃんを探してフェラーリに追いかけられる羽目になったのである。

人が折角心配してやったんだから、礼の一つくらい言ってほしいくらいだ。


「ずっとどこにいたの!?」

「どこって、わたくしはずっとリビングにいましたわよ?」

「嘘だ! いなかったじゃん!」

「いましたわ! ピンク色のラムネを一つ食べたら体が小っちゃくなってしまい、ずっとテーブルの上でこーすけの助けを待っていたのですわ!!」

「テーブル!?」


そうか!

ウチのテーブルは新聞やら雑誌やらが散乱してて、姫ちゃんが小さくなっていたことも相まって、気付けなかったんだ!


「じゃああのピンク色のカプセルの残りは?」

「いつも頑張るわたくしへのご褒美に、と、冷蔵庫にしまってありますの」


その後、僕は姫ちゃんの経験した一部始終を聞き、自らの経験と照らし合わせてみた。


まとめてみると以下のようになる。


1、姫ちゃんは瓶の中の薬をラムネと勘違いし、中身をゴッソリ抜き取って冷蔵庫にインした。


2、彼女はそのまま瓶を台所に忘れてしまい、朝食を食べようとテーブルに来た時、ラムネを一粒食べ、小さくなった。


3、姫ちゃんがテーブルにいるとも知らず、僕らは薬が置かれていた場所、つまりは台所で服用したと早合点し、台所のどこかに彼女がいると信じ切ってしまっていた。


ちょうど姫ちゃんと僕らが服用した時間が、どうも入れ違いになったらしい。


なんだ、そういうことだったのか。

よかったよかった。



……ん?


なんか大切なことを忘れてるような。


「あ、魔王!!」

「きゃっ」


突然叫んでしまい、姫ちゃんはビクッと肩を震わせる。

でもそんなことお構いなしに彼女の肩を両手でつかみ、


「姫ちゃん!! さっきのゴミ袋どうしたの!?」

「ご、ゴミ袋なら、作業服を纏ったダンディーな御方が運ばれていきましたわ」


「…………。」


ごめんよ、魔王。

君のことは一生忘れないからね。



――☆――☆――




 後日、近所のホームセンターでゴ○ジェットスプレーが消えるという噂を耳にした。


なんでも、黒馬に跨った鎧のチビが『在庫のすべてをよこせ』と言って買い占めていくという話だ。




―――それからというもの、魔王はしばらく僕の家に遊びに来なかった。




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