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とあるわが家の王女さま!  作者: 華凜
3章:姫ちゃん、失踪する!
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第16部 魔王、ミニマムサイズになる!

 ぴんぽーん、ぴんぴんぽーぴんぴんぽーん。



うーむ。

このメンドクサイ音は間違いなく奴だな。


「はーい」


わざとらしい「ひひーん」という鳴き声を聞き、すぐに相手が魔王と判明。

こんな朝早くから人の家を訪れるとは、彼も中々非常識なやつだ。


ガチャ。


「朝から何を騒いでおるのか」


玄関先に現れた魔王が、開口一番に発した言葉がそれだった。

相変わらず130センチほどしかない身長で僕の顔を不思議そうに見上げる。


「我が愛馬とゴミ捨てに参った帰り、おぬしの奇妙な叫び声を聞いてな」

「えっとね、姫ちゃんがまた事件を起こしちゃったんだよね……」

「事件?」


僕は魔王に事件の一部始終を話した。

朝起きたら姫ちゃんが僕のケータイを本棚の裏に投げ入れたことを、包み隠さず。


すると彼は僕の説明に何度か頷いた後、マントのポケットから小瓶を取り出し、


「ついにこれの出番が来たようだな」

「なにそれ」


小瓶の中に入っていたのは、ピンク色のカプセル。

一見、風邪薬とか鼻炎薬に見えないこともないが、小瓶の表面にドクロマークがある時点でお引き取り願いたい代物だ。


「ふははは。 聞いて驚くが良い。 これは我が闇の帝国が開発した薬、名付けて『小っちゃくなるゾウ君』だ!」


異世界の人間はネーミングセンスに欠けるらしい。

まあ、そんなつまらないことを指摘して魔王が怒っても困るので、あえてスルー。


「それ飲んだら小っちゃくなれるの?」


魔王は自信を以って頷く。


「うむ。 100分の1の大きさになることができる。 一粒で10分の効き目だが、飲み過ぎには注意だ」

「の、飲みすぎたらどうなるの!?」

「酔っぱらう」

「酒か!」


命に危険が及ぶのかと思いきや、単に酔っぱらうだけで済むらしい。

なんだよ、脅かしやがって。


「何はともあれ、おぬしにはこの薬が必要であろう」

「うん、まあ。 とにかく入って」


こうして、魔王が再上陸。

再び家の中でガッシャガッシャと鎧を引きずりながらリビングへ。


「姫ちゃん?」


リビングには彼女の姿はなかった。

まだ細くて長い物を探しているらしく、二階の方でガサゴソと音がしている。


「ところでさ、この薬ってもらっていいの?」

「うむ。 おぬしには一飯の恩がある。 今回ばかりは無料で授けよう」


やった!と喜ぶのも束の間。


「本当にこの薬で小さくなれる? 突然発作が起こったりしない?」

「効果と安全面では保証しよう。 なにせ我はこれを愛用しておるからな」

「愛用?」

「うむ。 自動販売機とやらの下に落ちている硬貨を集めたり、三丁目にある『超ゴクラク温泉』の女風呂を覗く際に使用しておる」


魔王のくせにやることがコスい。


普通の魔王なら、落ちている金を集めずとも領民から搾取し、女は奪い取ってハーレムを作っているイメージが……。


「ってことは、これがあれば僕も学校の女子更衣室を覗けるわけ?」

「うむ。 おぬしも一度使用してみるがよい」

「うおおお!! サンキュ、魔王!!」

「ふはは。 平和の為に作られた物を悪用するとは、おぬしも中々のワルよのう」

「いえいえ~、魔王さまほどでは」


「「ふははははははっ」」



――閑話休題――



 悪徳代官ごっこをやっていてもスマホは取れないので、思い切って一粒飲んでみることに。


すると、


ヒュルルルル……


わずか数秒で体がみるみる縮み、ついには僕が魔王を見上げるほどになった。

ちなみに僕の身長は約170センチだから、今は1.7センチというミニマムサイズだ。


「どうだ、感度は良好か?」


上から降ってくる巨人(まおう)の声がビリビリ響く。

一応返事はしたものの、何せ声も今までの100分の1。 魔王には聞こえないらしく、僕は両手で丸を作ってから、わずかな隙間に入った。


(うへえ、ホコリだらけだ)


魔王がライトで照らす先を突き進む。

フローリングの床には普段掃除しない場所とあってか、ホコリが山積。足元はゴミの海で、泥沼に入っている気分なんだよね。これが。


わずか1メートルほどの距離を2分かかって到着。

なんとかスマホの墜落現場に辿り着いたものの、到着してから気付いたことがある。


僕、非力マッスルだったんだっけ……。


よく考えていただきたい。

僕のスマホは何のアクセサリーも付いていないシンプルなものだが、筋肉量も100分の1なのをすっかり忘れていた。


そう、押しても引いてもビクともしないのである。


「我も助太刀致そうぞ」


と、見るに見かねた魔王がライトを床に置き、ミニマム化してやって来る。

「せーのっ」の掛け声で押し、やっとスマホが動き出す。


一旦通常の大きさに戻り、再度ミニマム化して押せば取り出せそうな勢いだ。

これで問題も解決か、と思いきや、


ドタドタドタっ、ダダダダ。


ん? 何の音だ?


「細くて長いモノをお持ちしましたわ―――って、こーすけ?」


いかん、姫ちゃんだ!!

事情を話すのをすっかり忘れてた!!


「こーすけ!?」


突っ張り棒を両手で抱えたまま、オロオロする姫ちゃん。


「僕はここだよ!!」


と、エールを送るも、王女さまがわずか5センチの隙間に気付くはずもなく、僕らの側からは彼女のスカートの中身が見えるだけ。


「時に康介よ」


魔王が、姫ちゃんのパンツを見ながら腕組みをして言う。


「はい、なんでしょう」

「おぬしは尻派か? あるいは胸派か? はたまたコアな腰のクビレ派か?」

「何でイキナリ会話を18禁にしようとしてるの!? 姫ちゃんに気付かれたマジで殺されるよ!?」

「我は尻だな」

「無視しないで!!」


鼻血をダラダラ垂らしながら魔王がご感想をお述べになる。

今はとにかく姫ちゃんに気付いてもらうことが最優先事項だが、あえて言っておこう。



胸派であると。



「姫ちゃん! ここだよ!! 気付いて!!」

「あら、何かしら」


ヤバい!!

姫ちゃんが本棚の横に置いた薬に気付いてしまった!!


「ラムネ……かしら?」


どうやったらカプセルがラムネに見えるんじゃい!!!


叫んでも聞こえそうにないので、アホ王女に我がテレパシーを送る。


「んもう! またわたくしを放置プレイにする気ですのね! 許せませんわ!」


これは没収ですわ、などと抜かして姫ちゃんは台所に消えてしまった。

そう、薬を持って。



ハーメルン様でも同様の小説を掲載しております。

微妙に仕様が異なるのですが、内容は一緒です。

小説家になろう様の方が最新話を先に更新する予定です。


↓ハーメルン様のページ

http://novel.syosetu.org/16024/

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