約束
(腹ヘった)
俺は今、夜空に輝く星を眺めながら歩いている。
理由?腹がヘったからな、この腹の虫を黙らせるためにコンビニへと向かっている。
…おっと!紹介が遅れたな。
俺の名前は池内慶夜(いけうち よし
や)18才、現在1人暮らしをしている。
なぜ1人暮らしをしているかというと、 俺には親がいない。 俺が14才の時、交通事故で死んじまっ た。まあ…今となってはどうでも良いがな。
金銭面では問題ない。父の兄、いわゆる俺の叔父さんに当たる人が毎月仕送りしてくれている。叔父さんは優しい、叔父さんは両親が死んだとき、俺に一緒に住もうと言ってくれた。
まあ、断ったんだがな。 だって叔父さんに迷惑はかけられないからな。
その時叔父さんは何を察したのか、、薄く微笑んでただ一言「…そうか」と言って俺の頭を撫でた。その後叔父さんは「けど、仕送りぐらいはさせてくれ」と言った。
そして今に当たる。 俺の話はこんくらいだ。
さて、そろそろ話を戻すか
それからしばらく歩き、俺はコンビニに着き、中へ入る。
(…何にしようか)
俺は適当におにぎりやジュースなどを買い、店を出る。
店を出た俺は元来た道を歩きながら上を見て
星が綺麗だ
と思った。
家の近くのカーブを曲がると、誰かとぶつかり俺はなぜか尻餅をつく。
尻をさすりながら顔をあげると、そこには少し怪しげな老人が立っていた。
慶夜「…誰?」
この場合、普通は謝らないといけないと思うのだが、なぜか俺は『だれ』と聞いてしまった。
老「導くもの」
慶夜「へ?」
そう言うと怪しげな老人は俺に背を向けて去っていった。
慶夜「訳わかんねぇ。つか、何で尻餅ついたんだ?走ってたわけでもねえのに」
俺は立ち上がり、自分家へと再び歩き出した。
次の日
ジリリリリ!
慶夜「…うるせえなぁ」
静かな朝に鳴り響く目覚ましの音で、俺は目を覚ます
慶夜「もうこんな時間か…って、もうこんな時間!」
神様は俺に恨みがあるらしい 現在時刻、8時15分
慶夜「遅刻だぁー!!」
俺はいつもなら7時には起きるのだがなぜか今日は起きれなかった。8時30分には学校の門をくぐらないといけない。そして我が家から学校までは歩きでだいたい40分程度はかかる‥つまり、時間がないのだ
慶夜「つかなんでこんな時間に目覚ましが鳴るんだ よーー!?」
俺は今朝なぜか調子の悪かった目覚まし時計に文句を言いながら、いつもなら歩いているであろう道を全力疾走している
慶夜「やばいなぁ、このままじゃ確実に間に合わねえ」
歩きで40分、つまりどんなに全力で走っても20、3
0分はかかってしまう。
慶夜「どうせ遅れるなら、もう歩こうかなぁ」
もう諦めて歩こうとしたその時
「ピリリリリ!」
携帯が鳴る。
慶夜「電話?…美咲!?」
中林美咲‥世間一般で言う『幼なじみ』てやつだ
慶夜「もしもし」
美咲「あ~慶君?今学校に向かってるでしょ?」
慶夜「あぁ?んなの当たり前じゃねえか。急いでるから切るぞ
美咲「あっ!ちょ!!」
やはり走ろうと思い、喋りながらだと疲れるので電話を切る。
夜「…たく、こんな急いでる時に電話なんかかけてくんなよな」
その後俺は、あの時電話を切った事に凄く後悔する事になる。
美咲「アハハハハッ!!」
今、俺の目の前でバカ笑いしている者がいる。 美咲だ。
慶夜「そこまで笑うことないだろ~」
美咲「ご、ごめん…ハアハア‥あ~苦しい」
突然の事で困惑する者もいるだろう。そんな君たちのために 説明しよう。
…まあ、簡単に言えば『学校が休みだった』ってなわけなんだが。
慶夜「だいたい、何で電話ん時に教えてくれなかったんだよ」
美咲「教えようとしたよ。でも、その前に電話切れちゃったから」
美咲が笑いすぎたために流れた涙を指で拭き取る。
慶夜「それでも、もう1度電話するとかあるだろ」
美咲「だからゴメンって言ってるじゃん」
美咲がしつこいな~とため息混じりに言う
美咲「だいたい慶が忘れてさえいなかったら、こんなことにはならなかったんだから、私のせいじゃありません」
全く持ってその通りなのでなにも言い返せない
美咲「それより、明日何の日か覚えてる?」
慶夜「学校だろ?」
美咲「そうじゃなくて~」
美咲が首を横に振り、詰め寄ってくる
美咲「明日は私の誕生日でしょ!」
美咲の顔がこれでもかってほど近い
慶夜「美咲、近い近い」
美咲の顔が「え?」という感じになり、次の瞬間ものすごい 勢いで後ろへ下がりながら顔を横にそらす
気のせいか、頬が若干赤らんでいるように見える
慶夜「そうか、明日は美咲の誕生日か」
美咲「まさか、忘れてたの?」
美咲が心配そうな顔でこちらを見てくる
慶夜「すっかり忘れてた…美咲?」
美咲が俯きながら
美咲「…慶にとって、どうせ私の誕生日なんて…」
涙目で泣きそうな声をだす。もう少しこの顔を見ていたい、 だが…
慶夜「拗ねるな、嘘だ嘘!俺が美咲の誕生日を忘れるわけないだろ~」
美咲の肩に腕を回しながら笑いかける
美咲「ホント?」
美咲が顔をこちらに向ける、若干目が潤んでいて、可愛いすぎる! だが、上目づかいじゃないのが惜しい!!
慶夜「ホントホント、美咲はそんな事心配してたのか?可愛いやつめ~」
そう言いながら美咲の頬を指でつつくと、美咲の顔がみるみ るうちに赤くなっていく (これだ、俺はこれを見るためだけに今日という日を生きているんだ)と、バカなことを考えていると
美咲「か‥かわいい…私、かわいい…」
慶夜「美咲?」
美咲「えへへ~‥かわいい」
美咲が少し壊れてしまった
慶夜「お~い、美咲さん?お~い」
美咲の肩を揺らしてみる
美咲「ハッ!な‥何?」
どうやら正常に直ったようだ
慶夜「明日、学校の帰りに2人でどっか行こうぜ!」
美咲は一瞬キョトンとした後、満面の笑みを浮かべて
美咲「うん!約束だよ!!」
慶夜「おう、約束だ!」
そう告げたのだった