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『CROWN plus』  作者: 是音
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TURN7 《龍の怒り》から《神の歌》へ

〈オォォォォォ!〉


肩を焼かれて怒ったエンドオブワールドが八つの黒い球体《eternal 8》を援護に来たオズマ、シド、アザブルの超機動歩兵《神歌{シンカ}》へ飛ばす。


『クハハハハ!あれ見ろよアザブル!《eternal 8》なんて出してるぜ!?やっぱり前大戦でジークフェルドが操るには勿体ない兵器だったな!』

『感心している場合ではない!小さいとはいえあれは通常のエネルギー兵器とは似て否なるものだ。ちゃんとエネルギーシールドを張っていないと神歌の装甲でもやられるぞ!』



オズマとアザブルの機体は両腕を前に出して青色のエネルギーシールドを張って黒い球体からのレーザー攻撃を防いだ。

シドはその隙にランス、ハル、アルマを助け出して遠くで待機している《ARIS 2》へ運んだ。

神歌の腕の中でランスが尋ねる。

「シド君、プレゼントって一体?それにその機体は・・・」

『フフ、《虎駝》を上回る性能を持った機体《龍怒》。そしてそれを圧倒的に上回る戦闘力を持った〈機動歩兵シリーズ最終形態〉がこの《神歌{シンカ}》だよ。それを今から君達に渡す。』




ARIS2へ運ばれたランス達三人は格納庫で三機の神歌の前に立っていた。ブラックメタルカラーに塗装されたランス専用とレッドメタルカラーに塗装されたハル、アルマ用の機体だ。


「これが機動歩兵シリーズ最終形態・・・神歌。」


「改めて見ると・・・」

「綺麗・・・」


シドはARIS2の兵士と打ち合わせを済ませると神歌に乗ってランス達の前に立った。

『どうだい、良い機体だろ?君達は設定を済ませたら発進してくれ。じゃあ僕は先にオズマとアザブルの加勢に行くよ。』

「ああ、わかった。」


『官制室、CROWNの人達を頼んだ。』

『了解しましたシド様、お気を付けて。』


シドの神歌は轟音を発しながら格納庫のハッチから発進した。




オズマとアザブルは予想以上に苦戦していた。

エンドオブワールドは元々不安定な人工魔鬼だった為に、それを作り出した今は亡きミシェル達イリュージョン社科学班もその真の実力を知らずに戦場に送り出していた。だがアウスに破壊された筈が何故か復活し、束縛されていたものが解放された今、エンドオブワールドはその真の実力を見せつつあった。


〈グルル・・・〉


エンドオブワールドは胸の前で腕を組んだ。その前で〈eternal 8〉が一転に集合する。


『オイオイ、アザブル。オレはあれに見覚えがあるぜ。』

『・・・ああ。12年前テラ進攻作戦目前で奴の起動・戦闘実験の相手をした《超大型人工魔鬼成功作第一号》と《プロトタイプ龍怒》を消し去った技だな。』

『あれのおかげで進攻作戦が大幅に遅れたんだよな・・・』『確か名前は・・・』



『《death punish{死罰}》だよ!!・・・ARIS2も回避行動に移れ!やられるぞ!』


戻って来たシドがエンドオブワールドへレーザーで攻撃しようとした瞬間、エンドオブワールドの胸の前から《death punish》と呼ばれる極大の黒いレーザーが放たれた。その光の大きさはARIS2も軽く飲み込んでしまう程だ。シド、オズマ、アザブルの機体は飛び上がり胸から巨大な青色のレーザーを出して黒いレーザーにぶつけた。ぶつかり合った三本の青色の柱と一本の巨大な黒色の柱が拮抗し合う。


〈グォォォォォ!〉


『ク・ハハ・・何てエネルギーだよ・・・!』

『押されている・・・な!』

『ここで僕達がこいつを抑えないとCROWNの人達が・・・!』


その時、シド達三機の後方から三本の青色のレーザーが飛んできて黒いレーザーにぶつかった。ランス達だ。


『遅いよランス!』

『すまない、スラスターの調整に手間取った!ARIS2は大丈夫だ、Z・E隊基地へ向かった!』


六本の青い光は黒い光を押していく。そしてついにエンドオブワールドの腕が青い光に飲み込まれた。


〈ギャァァァァァ!!〉


エンドオブワールドの上半身は蒸発し、邪神は絶命した。六機の神歌はレーザーの照射を止め、地上に降りた。


『やったね隊長!』

『これでCROWNは・・・』


『まだだ!!!』


レーダーを見たシドが叫んだ。他の五人もレーダーを見て驚愕する。


レーダーには三体の《END OF WORLD》の反応があった。

一同はダラム基地上空のワープゲートを見た。


『なんで・・・奴の反応が複数あるんだよ・・・』

『エンドオブワールドから新資源の周波数が出ている?まさかこいつら・・・!』

シドが冷や汗を流した。





一方、謎の異世界でサイ、レイモンドと合流したジンとファムは自分達に突然襲い掛かってきた謎のエネルギー体について話し合っていた。


「つーことは、レイモンド達は青色の奴だけじゃなくて赤色の奴とも戦ったんだな!?」

「ああ。そいつは炎のエネルギーで攻撃してきていた。」


ジンは腕を組んで座っている。

「で、この世界は一体何だ?テラとしか思えないが・・・。」

白い地面を撫でながらジンが聞くとレイモンドは周囲の景色を眺めながら答えた。

「うむ、たしかに〈ここは〉テラにそっくりな場所だな。」

ジンとファムはレイモンドの言っている事が理解できていない。

さらにサイが続ける。

「オレ達が飛ばされてきた時、最初ここは《メアス》だと思ってたんだよ!」

「火山だらけだったからな。」

「しかもしばらく歩いたら火山地帯から出て今度は高々と天空に伸びた岩がいっぱいある場所に着いたんだぜ!お前ならわかるだろジン?」

異世界についてよく知らないファムはただそれを聞いて呆然としていたが、ジンは何かに気付いたのか眉毛をピクリと動かした。


「高々と天空に伸びた岩の地帯・・・異世界ヒラリスか!!じゃあこの世界は・・・。」


「そう、おそらくは〈テラ、トガス、メアス、ヒラリス、ヴァルガ〉の《五大異世界》が集合した《第六の異世界》。しかもそれらの地形がランダムに散りばめられている非常識な世界だ。」


それを聞いたジンは呆然とする。

「だ、だが・・・異世界は新資源が無ければ崩壊するはずだ!魔鬼だってあれがなければ生きて・・・まさか!!」


ジンははっとした。


「そのまさかだ。お前は先程魔鬼と戦闘したな。CROWNでも。さらに現に今オレ達は異世界にいる。それが何を意味するかわかるな?」


ファムはサッパリ意味がわからずにジンとレイモンドの会話を聞いていた。

ジンは溜め息を吐きながらレイモンドの言わんとしていることを理解した。


「ハァ・・・成る程、新資源は消滅していなかったというわけか。」

「そういうことだ。」


だがジンには新たな疑問が浮かんだ。


「じゃあワープゲートを開いてCROWNに魔鬼を送り込んだり、オレ達を転送したのは一体誰だ?」

「それはわからん。いずれ真相を暴くさ。それより今はザック達やスティング達を探すほうが先・・・」

「もう!!さっきから二人の話している内容がサッパリ掴めないんですけど!!!」


ついにファムが絶え切れずに叫んだ。


(あ、ちょっとザックに似てるかも)

サイはさりげなくファムとザックを重ね合わせた。


「あぁ、悪い悪い。ファムにも話しておかなければな、異世界大戦の事を。そして新資源の事も。」

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