TURN6 復活の邪神〜真の実力〜
〈オォォォォォォ!〉
ついにダラム基地上空のワープゲートから《END OF WORLD》が巨大な姿を現した。
だがテラで戦闘した時の天使のように純白で神々しかった姿とは大きく異なっていた。黒く濁った仮面と全身を覆う甲冑には所々にヒビが入り、欠けた仮面の下には変形した奇怪な顔を覗かせている。巨体を自由に持ち上げていた翼も破れ、腐っていた。制御リングにもヒビが入り、不安定な状態だった。
『た、隊長!全身が出てきました!』
『やっぱり戦うんですかぁ!?』
『今シド君に応援を要請した!コイツを食い止めなければ前大戦で何とか発射を防いだ《doomsday》を撃たれてしまう。CROWNが消滅してしまえばザック君やファム達が帰ってこられなくなる。全ては我々にかかっているんだよ。いくぞ!』
ランスの乗る黒い龍怒は周囲の魔鬼を焼き払うと腐敗したエンドオブワールドへ突撃した。ハルとアルマも後に続く。
『アウスさんもメーヴェさんもいないのに・・・。』
『今回は龍怒があるとはいえ、私達で倒せるのかなぁ・・・?』
ランス達はスラスターでエンドオブワールドに接近する。ワープゲートから落ちてダラム基地の前に立ったエンドオブワールドはランス達に気付き口にエネルギーを収束する。
『虎駝隊を葬った攻撃か。ハル、アルマ、避けろよ!』
コクピットの中のランスは憎悪に満ち溢れていた。
(最悪の邪神め。今度こそ俺が虎駝隊の仇をとってやる!)
エンドオブワールドの口から巨大なレーザーが放たれた。三機は予測していながらもギリギリで躱す。レーザーは回避したアルマを追い掛ける。
『くっ、スラスター全開・・・!』
アルマの赤い龍怒は高速で横に移動して逃げる。それを見たハルは機体の口、両肩、胸部分の四つのレンズからレーザーを放った。エンドオブワールドはレーザーの照射を止め、大きなエネルギーシールドを張って四本の光線を防いだ。
すかさずランスとアルマもそれぞれ四本のレーザーをエネルギーシールドめがけて放つ。
〈オォォォォォォ!〉
十二本のレーザーを受けとめたエンドオブワールドは後ろ足を一歩下げて踏み止まった。エネルギーシールドは予想以上に強固だった。機体の熱上昇を抑えるために三機はレーザーを止める。
『なんて高出力なエネルギーシールドなの!?』
『龍怒のレーザーを受けとめたなんて!』
『アウス君、改めて君を尊敬するよ・・・。』
〈グアァァァ・・・〉
エンドオブワールドは自分の周囲に八つの大きな黒い球を浮かべ、次の瞬間それらは無数の細い黒色のレーザーを拡散した。黒の針は三機の装甲に突き刺さる。
『な、《eternal 8》だと!?本当にEND OF WORLDそのものじゃないか!』
『なんですかあの八つの球体は!?』
『前大戦では見せなかったからな。あれは超小型の〈doomsday〉だ。あの球体からは様々なバリエーションの攻撃が来る。どれもエネルギー量は規格外だ、直撃だけは避けろよ!』
『はい!でもこんなに強かっただなんて・・・。』
『前大戦では操作していたジークフェルドの使い方が下手だったということだな。』
黒い球体達はエンドオブワールドの周囲を飛び回りレーザーを放ってくる。
黒い光の一本がハルの機体の脚部に直撃した。瞬時に機体の脚部は融解し、ハルの機体は火花を散らしながら地面に倒れた。追い打ちをかけるように黒い球体がレーザーを放つ。ハルは倒れた状態でスラスターを全開にして避けた。だが脚部を無くした龍怒ではバランスがとれずに転がってしまう。さらにレーザーがハルを襲う。
(やられる!)
だがレーザーは前に立ったランスの機体によって防がれた。黒い龍怒の左腕が完全に融解し、右腕も損傷している。
『隊長!』
『フ、シド君にシールド機能を外してくれなんて言わなきゃよかったな。こっちへ移れハル!』
ランスは赤い龍怒から降りたハルを右腕で掴むとまだ動ける自分の機体の中へ入れた。
『うわぁぁぁぁ!!』
「隊長、アルマが!」
「わかっている。」
アルマの機体は一斉攻撃を受けてバラバラになっていた。とどめに三つの球体がアルマへレーザーを放った。ランスは急いで助けに行く。スラスターはオーバーヒート寸前だ。
『間に合えぇぇ!』
間一髪ランスの機体がスライディングで倒れたアルマの機体を蹴り飛ばした。だがランスの機体は三本のレーザーを脚部に受けてしまった。もはや動ける機体はない。八つの球体とエンドオブワールドはエネルギーを収束する。
「隊長、死にたくないよ。でも隊長が一緒なら私怖くない!」
「希望を持て。大丈夫だハル、俺がついてる。」
『隊長、どこにいるの!?』
『安心しろアルマ、ちゃんと近くにいるぞ。』
ランスはハルの手を握り、モニターに映るアルマの顔を撫でた。
(ここまでなのか?やはり究極の魔鬼の前には無力だったのか。みんな、すまない・・・!)
ランスが諦めかけたその時、突然エンドオブワールドが収束を止めて別の方向を向く。エネルギーシールドを張り、黒い球体も八つで円を作って二重のシールドを張った。
次の瞬間、超超遠距離から青色の巨大なレーザーがエンドオブワールドを襲った。
〈ギ・・・ガァァァ!〉
二重のシールドは砕け、青色の巨大なレーザーは避けたエンドオブワールドの肩を焼いた。
そして凄まじい速さで見慣れないブルーメタルカラーの機体が三機、倒れているランス達の目の前に現れた。遠くでは轟音をあげながら巨大な戦艦が近づいてくる。
驚くランス達に通信が入った。
『三人共危なかったね〜、さぁプレゼントを持ってきたよ!!』