EPILOGUE
新都市《OZMA》荒野地帯
《CROWN》の後継として創られたこの試作型都市では今まさに驚異の戦いが繰り広げられようとしていた。
対峙するザックとスティング。
それを見守る第二次異世界大戦の面々。
「勝ったら認めてもらうぜお兄さん」
スティングが不敵な笑みを見せる。
「誰がお兄さんだぁぁぁ!お前とファム、いつからそんな関係だったんだよ!」
スティングとファムは顔を合わせて微笑む。
それが逆にザックを怒らせた。
「だぁぁぁぁぁ!認めねぇぞ!」
スティングはやれやれと溜息を吐く。
「お前どこの頑固親父だよ。そもそもユノとイイ感じのお前が人の事言えるのか?んん?」
「う……うるせぇ!」
観客として二人を見ていた顔を真っ赤にしたユノをレイモンドとライア夫婦が小突く。
同じく神歌の肩に乗って観客化したシドとアザブルがいる。
《やれやれだね》
《オズマが見たら何と言うかな?》
《[クハハハハ!どっちも死にやがれ!!]じゃない?》
《物真似上手いな、シド……》
一際騒がしいのはジン、アンカー、サイである。
サイは三体の塊儡《牙陰》、《陽斬》、《邪混沌》に楽器を持たせてドンチャン騒ぎし、それにはしゃぐ大人気ない三人がいた。
「そういやぁさ、アンカー」
「なんだよ」
「ランスとハル、アルマは?」
その質問にはサイが答える。
「あぁ、ランスはハルとアルマと一緒にまた遠い島に住んでるよ」
ジンは首を傾げる。
「なぁサイ、あの三人って結局どういう関係なんだ?」
「それはなジン……M・A社最大の謎なんだ」
ザックは影刀を発動し、スティングは人工新資源を起動させた。
「ザックよぉ」
「あん?」
「この戦いは……まぁいいか。野暮は抜きだ」
「わけわかんねぇヤツだな」
「じゃあ行くぜ《お兄さん》」
二人が走りだす。平和が戻っても彼等にだけは平穏はない。だが彼等は少しも苦ではない。
スティングは思い出していた。
スパムで会ったアウスが最後に耳元で囁いた言葉を。
―――
『私の代わりに、お前がザックと決着をつけてくれ』
(わかった。アウス)
『それからな………』
(?)
『皆に《大好きだ》と。そう伝えてくれ』
――――
それは、アウスの本音。
親友であった自分だけに託された、親友の本音。
この戦いが終わったら皆で酒を飲み交わし、伝えてやる。
皆もお前達の事が《大好き》だぜ。アウス、メーヴェ、オズマ。
―――――
「いくぞスティングーーー!!《ディアボロス》!!!」
「なんの!《インフィニティ・エクスカリヴァー》!!!」
オレ達は、ずっと一緒だ。
『CROWN plus』 END
『CROWN plus』をご愛読頂き、本当に有難うございました!『CROWN』の続編として書き始めた今作。前作から読んで下された皆様には本当に、本当に感謝しております。私のアイデアを全て詰め込んだこの作品、最後はザックとスティングの戦いで幕を閉じようと思っておりました。それがアウスの願いでしたから。本当に有難うございました!!