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『CROWN plus』  作者: 是音
10/27

TURN10 内部機関

『クハハハハ!エンドオブワールドが三体なんて馬鹿げてるぜ!』


CROWNダラム基地では六機の神歌が三体のエンドオブワールドと戦闘していた。

三体それぞれが作り出した計24個の黒い球体《eternal 8》が飛び回っている。だが神歌のスラスターの機動力は凄まじく、黒い球体から放たれるレーザーはすべて回避されていた。エンドオブワールドの一体が《death punish》を出すために球体を集合させようとすると六機は一斉にその一体に集中放火して防いだ。


『シド君、まず一体に集中して破壊しよう。』

ランスがアルマとハルを引き連れて一体を牽制している。


『OK!アザブル、オズマ、神歌の内部機関を解放しよう!!』


『了解した!』

『クハーハハハ!命令すんじゃねぇよクソチビがぁ!』


シドの神歌は装甲を破棄した。下からは薄い装甲がむき出しになる。さらに胸部からは機械音が鳴りはじめた。

『これが僕の神歌の内部機関《瞬神・韋駄天》だぁ!』


シドの神歌の背中から六本の羽が飛び出した。さらに機体のあらゆる箇所からスラスターが飛び出す。



アザブルの神歌は内部の人工筋肉が大きくなり、装甲ごと巨大化した。

『内部機関《鬼神・鉄騎》・・・起動。』

巨大な鎧武者となったアザブルの神歌は背中から大刀を引き抜いた。



『そしてこれがオレの内部機関!《光神・覇轟》だ!ハハハハハハ!』

オズマの機体がエネルギーに包まれる。次の瞬間それは弾け、中から光輝く白銀の神歌が現れた。機体の周囲を電気が走っている。


『さ、行くよ!』

シドの神歌が消えた。そして次の瞬間


〈ギャァァァァ!〉

エンドオブワールドが悲鳴をあげた。仮面が粉砕され、両目が潰れている。激痛に耐えかねて後退しようとするが動けない。アザブルの神歌がエンドオブワールドの脚を片手で掴んでいた。

『クハハハハ!おいしいところはもらったぜ!』

オズマの神歌はエンドオブワールドの真上に飛び上がった。振り上げた手刀は光に包まれている。


『究極魔鬼の刺身だぜクハハハハ!』


神歌は手刀でエンドオブワールドを頭から真っ二つに切り裂いた。切断されたエンドオブワールドの巨体は左右に崩れ落ちた。



『次は君達の番だよランス!内部機関の起動方法はわかるね!?』

『ああ、まかせろ!行くぞハル、アルマ!』


ランス達三機は別のエンドオブワールドに突撃しながら変形する。ハルとアルマの機体は間接から炎が吹き出し、青い炎に包まれた。

『内部機関・・・』

『《炎神・極皇》!』

あまりの高熱に周囲の岩石が溶けだしていた。



そしてランスの機体は掌、口、胸、肩、腹部など、無数の箇所に穴が開いた。中から煙が吹き出す。

『内部機関《滅神・災羅》起動!!』


エンドオブワールド一体が三機に襲い掛かろうとした。しかしエンドオブワールドはただ前に倒れた。ハルとアルマによって脚が焼失していたのだ。

『アウスさんみたいでしょ?』

『隊長、トドメを!』


上半身のみになったエンドオブワールドはもがきながら、ゆっくりと近づいてくるランスの機体へ《eternal 8》を飛ばしたが、見えない力で黒い球体は弾かれた。


『メーヴェ君の能力を受け継いだ機体だ。傷を付けられては困る。・・・くらえ!《extreme pressure{極限圧力}》!!』


エンドオブワールドは凄まじい圧力を上からかけられて潰れた。


『いいねぇランス!』

『あと一体だ!』


しかし六人は異変に気付いた。最後のエンドオブワールドが腕を横に開いている。そして周囲の空間が歪みはじめ、胸の前に漆黒の球体が現れた。どんどん大きくなる。


『シ、シド!あれはまさか!!』


シドは青ざめた。


『う、うわ・・・!!みんな!!《doomsday》だ!!!早くアイツを破壊しないとCROWNが消滅するよ!!早くアイツを止めるんだ!』


全員が焦って一斉に最後のエンドオブワールドに突撃した。しかし突然無数の黒い球体と無数のエンドオブワールドの襲撃を受け、阻まれた。ワープゲートから次々と新たに現れたのだ。

一同は絶望した。


『む、無理だ・・・こんな数のエンドオブワールドを相手してたらドゥームズデイを発射されちゃうよ・・・。』


〈グオオォォォォォ!!!〉


『諦めるなシド君!くそぉぉぉぉ!』


ランスはレーザーを発射するが、数体のエンドオブワールドが多重のエネルギーシールドを張ってあっさりと防ぐ。

ハルとアルマは戦闘を回避しながらドゥームズデイを作り出しているエンドオブワールドのみを狙って攻撃した。しかし、前に出た別のエンドオブワールドが自らを犠牲にして攻撃を受けた。


『隊長!こいつらドゥームズデイを守ってるみたい!』

ハル、アルマは立ちふさがるエンドオブワールド達を懸命に攻撃している。しかし、一体だけでも強力なエンドオブワールドが無数に出てきたことで一同は絶望していた。


ドゥームズデイはさらに大きくなり、エンドオブワールドと同じくらいになった。それを見たシドが叫ぶ。

『時間がない!早くあの一体だけに集中するんだ!』


そう言ってはみたものの、もはや全員無限に作り出された黒い球体と無数に放たれる強力なレーザーを回避するので精一杯だった。


『クハハハハ・・・マジでやべぇ・・・。』

『もはやここまでか。』

オズマとアザブルもさすがに弱音を吐く。

ランスもシドも、ただただ巨大化するドゥームズデイを横目に見ることしかできなかった。シドは必死に打開策を練る。


(どうするどうする・・・この状況を打破する術は・・・!!)


そして


〈グルァァァ!!!!〉


ついに超巨大な最強のエネルギー攻撃《doomsday》が発射された。漆黒の球体は遥か上空に飛んでいく。

世界が終わるという絶望に一同の頭は真っ白になった。


『こちらシド。ARIS2聞こえるか?避難民は救出できたかい?』


〈ハッ、シド様!CROWN全市民救出後《ARIS》および《ARIS2》はCROWNの脱出を完了致しました!〉


『そうか、ご苦労さま。』


(・・・終わったね。市民を救出できたのは幸いだったな。でも、神歌をもってしてもこいつらを止められなかった。これでCROWNはもう・・・)


シドは静かに目を閉じた。




しかし


いつまで経ってもCROWNに異変はない。全員が不思議に感じてドゥームズデイが放たれた上空を見上げた。

『・・・え?』


アルマがおもわず声をもらす。全員の目線の先、遥か上空には大きなブラックホールが開いていた。ドゥームズデイはそれに飲み込まれたのだ。

ランスは呆気にとられていた。

『な、何が起こったんだ?あのブラックホールは・・・』

シドはブラックホールの開いた上空をよく見た。そしてブラックホールの隣に巨体が浮いていることに気付いた。明らかにエンドオブワールドよりも巨大な姿。

シドはその巨体に見覚えがあった。昔ミシェルの資料で見せてもらった姿。宇宙さえも消滅させると言われた姿。異世界大戦で自分の協力でザック、アウス、メーヴェがミシェルごと葬ったはずの姿。



『・・・魔神メサイア?』

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