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第5話 永遠に続く夜

「相変わらず、つまんない店だねーーーー!!」


店内に枯れた声が響いた

枯れ木みたいに小柄な老婆がそこに立っていた

Barが入っているこの雑居ビルの大家もといババアである


(いわゆる元地主ってやつっす……不労所得の人生楽ちんモード羨ましいこって)


いつものようにズカズカと店内に上がり込んできたババアに店長はテーブル席の椅子を差し出した

ババアは礼も言わず、当然のように座った


「少しは商売っ気だしな!」

「そんでアタシを食事にでも誘って恩返しするんだよ!」


(……その話来るたびするっす…ババア)

ガハハとババアは店長を見ながら笑いかけている

このババア苦手なんだ。俺の軽口が回らない


「……いつも、本当に、ありがとうございます」


(喋ったァ、喋ったァ………ババアには)


その時、店長と話していたババアがくるっと首をひねってこっちを見てきた


「ほらっ!!あんたも若いんだから湿気た顔してるんじゃないよ」

「アタシが若いころの男はね……」


始まる…長いんだ…一度始まると……

俺に構ってこないで欲しいっす!!!!

「ゴミ出し行って来マース」

俺は慌てて店内を飛び出した


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


バイトが出て行った店内にババアの深いため息が響いた


「いつまでも不貞腐れてる坊やの店に不貞腐れてる坊やが来たと思ったら」

「アンタ、宙ぶらりんな事してるんじゃないよ?」

「責任ある大人だろ。今でもさ」


「……………………」


「重ねてるだけなら手放してあげた方が、よっぽど優しいんだよ」

そしてニヤリと笑う

「若い子ならアタシの店で大歓迎さ!ガハハ」


「………」


「はぁ…まあ最近はアタシも腰が腰が痛くってね」

「少しは話さんか!まったく無口なのはいい事だけどね。昔の男は黙って働いて、黙って死んだんだよ。うちの夫はまぁ良い男で…顔もイケメンだったし、アンタは少し似てるけど。でも湿気ってるからねぇ…ガハハ…ゲホッゲホ。アンタが話さないから話過ぎて咳でたじゃないかい!!!」


「飲み物は?」


「アタシは暇じゃないんだよ!!!」


‐‐‐‐‐‐‐‐‐


(俺がいない間にババア満足しなかったっすね…)

飲み物も飲まず、1時間もババアは話し続けて、満足して帰っていった

ババアに余韻に浸る暇はないんだよっ!!!!

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