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フレデリック視点。

年齢制限にはならない程度に留めた性描写と、若干エゲツなくなった残酷な描写があります。ご注意ください。

これって「ざまぁ」になるんですかね?

僅かな照明が灯るだけの薄暗い部屋。快感が弾けたことで強張った体が、ゆっくりと弛緩する様をフレデリックは見下ろしていた。

うっとりと蕩けた顔は赤く、涙で潤む紫色の瞳は、照明の光を映すことで艶やかに光っている。ぽっかりと開いている赤い唇は濡れていた。剥き出しのほっそりとした首筋、朱に染まる白い肩は汗ばんでいて、柔らかな膨らみのある胸は上下している。

彼は欲望に従い、貪るようにオーレリアの柔らかな体を堪能した。念願叶った高揚と凄まじい快感で、脳が焼き切れそうにもなった。それでも男を知らない無垢だった彼女を労って、優しく解きほぐそうと必死に努めたおかげで、オーレリアは恍惚と快感に耽ってくれた。

フレデリックはうっとりとした眼差しでオーレリアを見つめている。そうすれば、その扇情的な姿にまた欲が湧き上がってくるのを感じた。

本能から湧き立つ欲を抑え込もうと、彼は急いで身を離す。


「・・・ん」


快感の波が引いてそのまま目を閉じた彼女。額に張り付いた金色の前髪を、指で梳かすように無で上げると、その汗ばんでいる額に唇を落とした。

名残惜しい、今すぐにでもオーレリアを抱き締めたい。また繋がりたい。その気持ちを必死に抑え込む。


「フレデリックさま・・・」


「少し出掛けてくる。このまま眠っていて」


優しい声色で告げると、オーレリアが身を沈めるベッドから降りた。彼女の裸を隠すように上掛けをかければ、穏やかな寝息を耳にする。

寝入った愛しい人の唇にキスをすると、脱ぎ捨てた制服を拾い上げた。

先程まであった熱は引き、フレデリックの心は冷静さを取り戻す。タオルで簡単に汗を拭い、素早く制服を身に着ける。テーブルの上に横倒しで転がっていたガラスボトルを手に取ると、自室から出た。


「殿下」


階下に降りれば、ロイが姿勢良く佇んでいた。彼の姿を目に映しながら、玄関の扉のノブに手を掛ける。


「男子生徒達は?」


「婦女暴行未遂として憲兵に引き渡しました。今頃は留置所でしょう」


「元よりバーバラに従ってオーレリアを貶めていた連中だ。厳しい処断を受けるように手引きしよう」


「すぐにでも学園長に働きかけますか?」


「いや、今は・・・用事がある。すぐに帰ってくるからここの警備を頼んだ。ウージェニー嬢もオーレリアの心配をしているだろう。中に通してあげるんだ。オーレリアの目が覚めたときに彼女がいれば、安心するからね」


了承と頭を垂れたロイ。その姿を確認したフレデリックは、学寮を出ると校舎に向かう。

今は夕刻。大多数の生徒達は終業となっている。校舎から出て寮に帰る彼らとすれ違いながら、視線を送られながらも校舎に入った。


(・・・あの女は)


いた、と視線を合わせる。忌々しいと顔を歪めて学園長室から出てきたバーバラ。凄まじい剣幕に生徒達は道を譲り、恐れから歩き去っていく。「配下」達も近付けないのか、彼女は一人きりで廊下を歩いている。


「機嫌が悪そうだね」


「なにっ!?あっ、あぁ、王子様?」


相変わらずの「王子様」呼び。礼節に欠くと誰も注意をしないのだろう。否、諫言などバーバラが許さないから誰も言えない。

彼女の性根を良く知っている彼は、呆れから鼻を鳴らした。怪訝な顔を向けられるが、それはすぐに困惑と眉を寄せた、男に取り入ろうとする媚を売る表情に変わる。


「ごめんなさい、王子様。学園長から叱責を受けました。あなたに不快な思いをさせたみたいで、あたしは何てことをしたんだろうと反省してます」


(お前がまず謝る相手はオーレリアだ)


内心にある憎悪は出さない。

バーバラが油断するように、優しい微笑みを浮かべた表情を作る。


「そうだね、君はやり過ぎた。公爵令嬢という身分の前に、一女子生徒に過ぎないオーレリアを不当に貶めたんだ。反省しないとね・・・先刻も伝えたけど、公爵家と王家から君の家に抗議をする。厳しい罰を受けるけど、しっかり反省をすれば減罪されるよ」


「本当ですか!」


バーバラが飛び付いてきた。豊かな胸の谷間を見せるようにシャツを開けている彼女は、フレデリックの胸にその柔らかさを押し付ける。


(吐き気がする)


嫌悪感から引き離したかったが、彼は耐えた。目的を達成するためには、警戒されるわけにはいかない。

笑みを浮かべたままバーバラを見下ろす。熱を帯びた眼差しが向けられているが、その内心は把握できていた。

カルネアス王国の王子を手玉に取れる。そんな卑しい期待で胸が膨らませている、と。


「・・・困るよ、僕には婚約者がいるんだから」


「あっ、そうでした!」


彼女は身を離したが、フレデリックはその手を取って、耳元に顔を寄せた。


「個人的に僕と仲良くなりたいのなら、人目に付かないところへ行こうよ」


甘い声で囁けば、流石のバーバラも頬を赤らめる。好意を向けられていると勘違いしているようで、重なっている手の甲を親指で撫でてきた。

彼が歩き出せば、彼女は横に陣取って並び歩く。


(単純で助かった)


憎悪に塗れた思惑を感じ取ることができない浅はかな女。

内心で蔑みながら、フレデリックは人目に付かない校舎の裏庭へと誘導する。途中、すれ違う生徒も教師もいなかった。彼らを見かけた者達はいるかもしれないが、気にする必要はなかった。


上手く事が進めば、本日中にバーバラを殺すことができるのだから。


裏庭は、観賞用の花壇と花を付ける低木が植えられている程度で、校舎沿いにベンチが数台置いてある。

フレデリックは腰を下ろさずに、低木の奥にある場所を見た。それが不満だったのか、バーバラの手が頬に触れ、彼女へと顔を向けるように動かされる。

見える顔は変わらず熱を帯びていて、抱き着かれたことで柔らかな感触を得る。その全てが不快だが、彼は顔には出さない。


「王子様は婚約者を大切にしていると思ってましたけど、あたしを誘うなんてやっぱり義務だったと言うことですか?」


「・・・義務?」


分からない振りをして首を傾げれば、バーバラは耳障りな高い笑い声を上げた。


「相手は公爵令嬢ですもの。家同士が取り決めたことだから、簡単に関係を切れないんでしょ?王様からルヴァン家に取り入れと言われているとか、繋がり強化のための婚約したとか、そういったことの義務感で、オーレリアなんかに優しくしているということです。違います?」


「・・・さあ、どうだろうね」


表情が引き攣りそうになるが、耐える。今、怒りのままにバーバラを害せば確実に逃げられる。制裁を加えるために、決して逃がしてはいけない。

フレデリックは彼女の顔に手を向けて、指の背で頬を撫でた。擽ったいと笑われるが、彼の腰に腕を回して、更に体を密着させてくる。


「ねえ、王子様。あたしが欲しい?」


「君こそ、僕に愛してほしい?」


「愛?ええ!素敵で魅力的な王子様だもの!あたし、あなたのことが好きだわ!入学式で見かけたときから恋をしていたの!」


「そう・・・」


スラックスのポケットに手を入れる。中に忍ばせていたガラスボトルの栓を抜き、ボトルを掴んで取り出した。

バーバラの頬に触れていた手は、その頬を包むように添えたことで頭の位置を固定する。


「王子様・・・」


うっとりとした目を閉ざす彼女。キスを待ち望んでいると肉厚な唇を尖らせている。

笑いを堪えた彼は、グラスボトルの中身「愛の妙薬」を口に含むと。


「ん?・・・それ!イルルラルバの、あんんっ」


声を出したことで口を開いたバーバラに、口移しで飲ませた。


「ん・・・んん・・・はぁっ」


性欲を刺激されて高まった彼女は、フレデリックが手を離したことで地面に落ちた。座り込んで身をくねらせながら悶えている。


「ん、なん・・・はぁ、王子様が、あいの、みょ、やくを・・・んん」


「バーバラ」


冷たい声で名前を呼ぶ。バーバラは潤んだ目と赤い顔で見上げてきたが、彼が感じるのは嫌悪感と憎しみだけだった。

時が戻る前、彼女によってフレデリックも乱された。中央学園で生徒間の交流から開かれた茶会で、「愛の妙薬」を盛られたのが絶望の始まり。

バーバラさえいなければ、オーレリアは苦しみの中で処刑されずに済んだ。


「はぁ、おうじさまぁ」


「お前は僕を愛している」


「あたしは、おうじさまをあいしてる」


「その愛情を示してもらおう・・・あちらに焼却炉があるだろう?」


裏庭の奥には学園内で出た廃棄物の焼却炉があった。授業の終業後に作業員が火を灯し、その日の分の廃棄物を投下する。

彼は焼却炉を指で指し示し、うっとりとするバーバラに命じる。


「僕を愛しているのなら、あの焼却炉に身を投げろ。可燃剤もしっかりかけて、頭から入るんだ」


「そ、そんな、あんな所にはいったらもえちゃう。ぜったいに死んじゃう」


「バーバラ、僕を愛しているなら可燃剤をかけて焼却炉に入れ」


再び命じれば、彼女の体は跳ね上がり、よろけながらも立ち上がった。その目は焼却炉だけを見つめていて、のろのろとではあるが、真っ直ぐに進んでいく。

遠ざかることで小さくなっていくバーバラの姿を見ながら、フレデリックはベンチに腰を下ろした。肘掛けに肘を付いて顔を支えると、口元を笑みで歪める。


「君、ここは危険だ」


「おい!その油は」


バーバラが可燃剤である油をかぶり、作業員達の制止を振り切って、炉の口に頭を突っ込んだ。瞬間、燃え上がる音が強くなり、オレンジ色の炎が膨れるのが見える。


「うぁあぁぁっ!!」


「何してるんだ!!引き出せぇ!!」


作業員達は手足をばたつかせて暴れるバーバラの体、オレンジ色の炎に包まれた体を果敢にも引っ張り出す。急いで水を浴びせている姿も見えた。

フレデリックはその光景をおかしそうに、おかしくて笑ってしまう。


「ははっ!はははっ!・・・ああ、すぐに助け出されてしまったか。しょうがない、処刑でない限り火のある場所は少ないからね・・・バーバラ、君は『真っ黒な棒切れ』にはならなかったかな?そうだとしても、自慢の美貌とやらは黒焦げだろうね。ふ、ははっ、はははははっ!」


火炙りとなったオーレリアを笑った仕返し。神器を用いて彼を操ったことへの復讐。巻き込まれまいと「焼身自殺」の場に近付くことはできないが、憎たらしいバーバラを処罰できたことに愉悦を感じる。

それが独り言として言い放ち、息を吐いて気持ちを切り替えた彼は、ベンチから腰を上げて立ち去った。焼却炉に人々が集い、騒ぐ様子からバーバラの死亡確認はできない。それだけは悔いに思って、無関係と装うために一度も振り返らず学寮への帰路に着く。



すっかり日が落ちた帰宅をウージェニーに迎えられた。彼女はの顔は曇っている。


「フレデリック殿下、申し訳ございませんでした。オーレリアを守れず、あたしの婚約者ナイジェルも役に立てませんでした。謹んでお詫びいたします」


頭を垂れて謝罪をするウージェニーに、フレデリックは首を横に振って答えた。


「仕方ないよ、あちらが一枚上手だったんだ。オーレリアも無事だし、君の責を問うつもりはない。ただ、君を欺いてオーレリアから遠ざけた奴らにはきちんと制裁したかな?」


「無論です、教師の名を使った偽証罪も含めて私的に罰を与えました。暫くは寮から出られないと思います」


「徹底的に叩きのめしたんだね。ご苦労様・・・諸悪の根源も二度とオーレリアを害することは出来ないから、これで彼女の心労はなくなるだろう」


「バーバラは休学処分と聞きましたが、フレデリック殿下の言付けから成されたのですか?」


「さあ、どうだろうね」


そう言葉を返すと、オーレリアが眠っている彼の自室に向かった。階段を上がるフレデリックに、ウージェニーは声を上げる。


「お待ち下さい。オーレリアは目覚めているのですが、体調が思わしくないそうです。あたしが声をかけても、部屋から顔を出せないほど不調だと言っています」


「・・・分かった、僕が様子を伺うよ。君は一旦寮に帰って、いや、ナイジェルにオーレリアの無事を伝えてほしい。彼も安心するだろうし、どうせなら夕食を共にしたらどうかな?」


「いえ、オーレリアが帰ってきたら心細く思うはずですから」


「今日は戻せない。意味は、分かるかな?」


「え・・・あ」


何かを察して顔を赤くしたウージェニーに笑いかけて、彼は階段を上った。自室ではあるが、帰宅を知らせるために扉をノックする。


「・・・ウージェニー?」


「違うよ、僕だ。入るね」


か細くも愛らしい声に口元を緩めて、遠慮なく扉を開いた。素早く入室すると、後ろ手に鍵を掛ける。


「ぁ・・・フレデリックさま・・・」


灯りのない暗い中でオーレリアの声がする。フレデリックは家具の配置を覚えていることで、淀みなく歩き進む。

彼女がいるはずのベッドに向かって歩きながら、まずは制服の上着を脱いだ。次いでネクタイを緩めて外す。


「だ、駄目。今はこちらに来ないで」


「体調不良と聞いたよ・・・まだ体が疼いている?」


「っ・・・」


オーレリアが息を呑む気配を感じる。彼女はベッドサイドテーブルのライトを付けたようで、手を伸ばしている姿が現れる。

赤らめた顔、潤む瞳。上掛けのせいで全身は見えないが、首から胸元までは晒している。その白い肌には、フレデリックが付けた赤い跡が散らばっている。

興奮を抑えられるわけがなかった。彼は上着とネクタイをソファに放り投げ、シャツのボタンを外しながらオーレリアに近付く。


「フレデリック様、こ、来ないで」


「どうして?僕のことが嫌いになった?」


「ち、違うわ!その、体がおかしくて・・・フレデリック様を見ると、その・・・」


上掛けの中がもぞもぞと動いている。火照りを逃がそうと、足を擦り合わせているのだとフレデリックには分かった。


「少し量が多かったからな・・・」


スラックスのポケットにある「愛の妙薬」は、もはやガラスボトルの底から数センチほどしか残っていない。別のガラスボトルもあるが残り一本となっていた。


(もうすぐ無くなってしまうけど)


オーレリアの体は手に入れた。正気に戻っても、貞淑な彼女だからこそ逃げることは選べない。


口元が歪みそうになるのを耐え、彼はシャツを脱いでカーペットに落とす。上掛けの上からオーレリアに覆い被さった。


「オーレリア」


「んっ」


名前を呼んで、目を合わせて、頬に触れれば、甘い声を上げた彼女にうっとりと見上げられる。


「君の不調を治せるのは僕だけだよ」


フレデリックは、オーレリアの唇に齧り付くようなキスをした。

快楽に飲み込まれている彼女の腕が首に回されたことで、その体をしっかりと抱き締める。愛しい人を再び貪るために。

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