頭脳戦隊リケイジャー、必殺技「量子力学」で悪の怪人を倒せ!
第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞応募作品です。テーマは「量子力学」。
ある小学校に怪人と配下の戦闘員が現れた!
奴らは授業中の子供と教師を襲う。
「わああ、ママー!」
「助けてぇ!」
逃げ惑う子供を戦闘員が捕らえ、怪人がビビビ! と目から怪しいビームを照射する。子供達は教科書を投げ捨てタコ踊りを始めた。
「ふはははは! 子供達よ、勉強せずにアホになれ! 皆でアホなら怖くない!」
「ィエーッ!」
「やめるんだ!」
「何ッ?」
「ィエーッ?」
怪人と戦闘員が校庭を見るとヒーロー達が駆けつけていた。
彼らは、頭脳戦隊リケイジャー!
「戦闘員よ、アイツらを倒せ!」
「ィエーッ!」
襲いかかる戦闘員をヒーロー達は薙ぎ倒す。
レッドはシャーペンガンで敵を撃つ!
ブルーは三角定規手裏剣で敵を切り刻む!
イエローはコンパスヌンチャクで敵を殴り、刺す!
ピンクはスーパーイレイザーで敵を華麗に消し去る!
ブラックは「キヒヒ」と小さく笑いながら黒いノートに何かを書き込む。すると敵がひとりでに苦しみだす……そう。死のノートだ!
見る間に戦闘員は全滅。残るは怪人のみだが非常に手強い。
リケイジャーの武器は悉く打ち返され、はね除けられた。
「ふはははは! 弱い弱いぃ! 勉強ばかりしているから弱いのだぁ!」
「くっ……」
「レッド、必殺技よ!」
「よし! 皆で力を併せて、必殺 量子力学 だ!」
ヒーロー達は怪人を囲み呪文を唱える。
「量子は波と粒の両方の状態を併せ持つ」
「うっ?」
「それを証明したのが二重スリット実験よ」
「ぐっ、頭が……」
頭を抱え、苦しみだす怪人。
「キヒヒ、シュレディンガーの猫……」
「量子テレポーテーションとは」
「やめろ! やめ……」
「双子の量子が遠く離れていても、片方が観測されるともう片方にも影響し変化する!」
「うわああー!」
カッ!
怪人を白い光が包み眩しく輝く。悪の親玉に怪人にされていた男は浄化され元の姿に戻った。
「まぁ、受験に苦しむ浪人生だったのね」
「うう、すみません」
「大丈夫。これから僕らと共に学ぼう!」
「はい!」
こうしてまた1人の男が救われた。
いけいけ僕らのリケイジャー!
世界に平和を齎す日まで!
「……っていう企画なんですが」
来季の戦隊モノ企画を出した部下に対し、上司は眉間に皺を寄せた。
「コレ子供にウケる?」
「えっ、新しくないですか?」
「子供にウケる?」
「え、でも」
「子供にウ・ケ・る?」
「……すみません考え直します!」
部下が去る姿を見送り、上司は息をついた。
「危ねぇ……文系の俺には難しすぎて一切わかんなかった……」
お読み頂き、ありがとうございました!
↓のランキングタグスペース(広告の更に下)に「5分前後でサクッと読めるやつシリーズ」のリンクバナーを置いています。もしよろしければそちらもよろしくお願い致します。