転生先はダメ王子の引き取り手の悪役令嬢でした
ふと目が覚めた。
「ここは…?」
厚手でゆったりとした赤いベロア素材の天蓋が目の前に現れた。
体を起こすと、今まで寝たことのないサイズのベッドに横たわっていたことに気付く。
「え…?」
戸惑っていると、驚いた顔をした、上質なロングのメイド服を着たメイドが目の前に現れた。
こりゃド○キで売ってるのとは見るからに質が違うなぁ〜
などと関心していると、バタバタとメイドは慌ただしくドアを飛び出して叫んだ。
「奥様!旦那様!ヴィンセント様!!お嬢様が目覚められました!!!」
すぐに複数人の足音が近寄ってくることがわかった。
「ヴェロニカ!!気がついたんだね!!よかった!!!心配したよ。落馬して頭を強く打ったようだったから、僕もう心臓が止まるかと思ったよ!!!」
と言いながら真っ先に、くせ毛のバターブロンドのイケメンが抱きついてきた。
「えっ?!ちょっ!!?!え?!誰っ?」
思わず素っ頓狂な声を出すと、先程のイケメンが至近距離で覗き込んできた。
はぇ〜、イケメン〜。瞳が薄茶ですこし紫がかってるのね…。
なんてぼんやり頭の片隅でイケメン観察レポートをしていたら
「ヴェロニカ、僕がわからないの?!弟のヴィンセントだよ?
まさか…記憶喪失…?!自分が誰かもわからないなんて言わないよね?!
僕はヴィンセント!君はヴェロニカ・グランクヴィスト!!!!」
そう言ってイケメンは勢いよく、繊細な技工が施された金色の手鏡を渡してきた。
鏡を見るとそこには
美しいバターブロンドの豊かな髪
透き通った、珍しいバイオレットの瞳
それらに負けないくらい華やかで麗しい彫刻のように整った美人
が映っていた。
え、だれこれ?
ヴェロニカ・グランクヴィスト…?
それ、なんだっけ?どこかで聞いた…。
そうだ、乙女ゲーム「プリンス イン ザ ガーデン」通称「プリニワ」の悪役令嬢だ!!!
あの悪役令嬢もたしかこんなかんじの見た目の設定だったはず。
三次元になるとこんな美人なのね。
え、じゃあ私、今プリニワのヴェロニカになっちゃってるってこと?
それじゃあ!!!まさか!!!
「ねえ!!!!婚約者!!!!私の婚約者は…ベネディクト?!?!
私ってば、ベネディクト・クリステル・ノルデグレーンと婚約しちゃってる?!?!」
ついイケメンの胸ぐらを掴んで食い気味に聞いてしまった。
「え、そ、そうだけど…。
っていうか姉さん、開口一番にあいつのことなの?」
少し不機嫌そうにイケメンが言う。
イケメン弟のことなんて今はどうでも良かった。
やっぱり…私は…プリニワの悪役令嬢に転生してる…!!!
パニックになった私はまた気を失った。
遠くで数人の声が聞こえる。
ホントに…どうしよう…私の婚約者が…あいつだなんて…。
できれば毎日少しづつ書いていきます。
小説を初めて書くので、下手くそさが目立つところもあるかと思いますが、どうぞお許しください。
読んでいただけるだけでも嬉しいです。
完結できるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします。