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16.今の私には遠い世界の話

「そう、母からマナーを教わったのね」

 ヘレア夫人は私達が普通にマナーを知っているので疑問に思ったらしい。

「ふふふ、とても厳しかったでしょ?」

 私達は激しく首を上下させる。するとその反応があまりに面白かったのかヘレア夫人はケタケタと上機嫌で笑っている。

「なら安心ね、公爵様がもうすぐいらっしゃるわ、3人とも失礼のないようにね」


 公爵様? つまりバーンヘイズ卿がここに来るの? 平民の私達と会うなんて驚きだ。当然エルダだけと会うものと思っていた。


 バーンヘイズ卿か、前世の記憶では夫のアルバレスと仲は悪くなかったと思う。結婚式に招待してくれるくらいだから私も印象は悪くない。

「えっと、立って待つのよね」

 エルダが復唱するように呟く。

「うん、私達は最後に許可がおりてから座るの」

 サーニャも一生懸命思い出そうとしている。それを見てヘレア夫人はクスクスと笑っている、どうやら嫌悪感は抱かれていないようだ。

「旦那様がお見えになりました」

 執事さんがドアを開けると背の高い紳士が中に入ってくる。


「お父様!!」

 え!?


 カルリに手を繋がれたままだった私は引きずられるように公爵の前に一緒に立たされてしまう。


 俗に言う絶体絶命の大ピンチだ!!


「ん? 何だこの娘は?」

 近くで目が合ってしまう。

「私のお友達のウェルマ!!」

 私の人生は今日で終わりかもしれない。

「…」

 凝視される。この場合、私が生き延びる手段はあるのだろうか?

「は、は、はじめまして、公爵様。カルリ様に良くしていただいているウェットランド出身のウェルマ・ライアンと申します」

 本当は即座に撤退したい。だけどそれが出来なさそうなので丁寧に挨拶して深々頭を下げるしかない。


「話していたカルリのお気に入りの子供ですよ」


 ヘレア夫人が近づいて来て説明してくれた。生きて帰れる可能性が出てきた。

「ほら、ああやって手を離さないの」

 私とカルリの手元を見る。

「ふむ」

 そして今度は私を真っ直ぐ見据える。以前会った時は少し若さが見えたのに、今は威厳さえ感じるほど貫禄が出てきた。

「カルリは何でこの子が良いのだ?」

 優しくバーンヘイズ卿がカルリに尋ねる、するとカルリは不思議そうな顔をする。


「うーーん」


 子供なんだからしっかりとした理由はないだろう。

「何か見えたの! それでウェルマは離しちゃダメなの」

 何か見えた? もしかして私の正体とか? と言ってもベネルネスの事を知っているのかな?


「…ふむ」


 私を見る目が怖い、だが興味を持ったのは一瞬だけですぐに視線を外されてしまった。


「それで、例の真紅の色が出たという娘は?」

「あの子よ、赤頭の中くらいの子よ」


 私達は大中小で区別されるようだ。

「はじめまして公爵様、エルダ・ライアンと申します」

 指名されてエルダが慌てて挨拶をする。どうやらバーンヘイズ卿としては濃い色が出た子供の方に興味があるようだ。まあ、それが普通の反応だと思う。

「私に君の色を見せてもらえるかな? おい、用意しろ」

 バーンヘイズ卿に命令され、慌ただしく家の使用人達は動き出す。

 まさか自前で選別の水晶を用意するとは思わなかった。周囲に促されてエルダは水晶玉に触れる、すると透明の水晶玉が真っ赤に染まり始める。


「…凄いな、8公の血族並みの濃さだ。おい、身元は調べてあるのだな?」

「はい、こちらに」


 数枚の紙を受け取るとすぐに目を通す。


「嘘偽りないな? 本当に家系に色を持つ者がいないのだな?」

「はい、父方にも母方にも魔力を持つ者はいないもようです」


 その疑う気持ちはよく分かる。エルダは下級騎士の生まれで、家族親族に色のついた魔力を持った人はいない。普通に考えれば有り得ない事なのだ。

「インヘリットで間違いないか、これで4人目だな」

 バーンヘイズ卿が呟く。どうやらエルダ以外にも似たように血筋に関係なく色の濃い魔力を持つ人間が現れたようだ。

「何なのでしょう? 突然そのような子供が何人も現れるなどおかしいですね?」

 ヘレア夫人が首を傾げている。


「分からない、だがこのまま放置する訳にはいかない、しかも生まれたのが平民や下級騎士、商家などの子供達だ。もしかしたら利用されて反体制派が囲うと厄介な事になりかねん」


 確かに結構な大問題だと思う、この国は血統主義的な階級体制だ。それに対して反感を持つ者が、力を持つ子供達を利用する可能性があるかもしれない。ただそれは体制維持をしたい貴族からしたら由々しき問題だ。


「能力で言えば純血統の方が上だろう、カルリも期待できるし、グランマーレ殿の嫡男なんか素晴らしい才能を持っているらしい。比べてはいけないが史上最年少で魔力がA判定されたらしい。確か新聞にもその記事が載っていたはず」

 不安を拭うようにバーンヘイズ卿が笑う。ちょっと待てよ、グランマーレの嫡男?


 グランマーレの嫡男?


 もしかしてアレクシスの事か!?


 私が死んで4年経った、確かあの時アレクシスは8歳だったから今は12歳だ。


 魔力の判定がAランク?確か夫のアルバレスがA判定だったはず、ちなみに私はBから上に上がれなかった。魔力クラス判定は色の濃さ、魔力量、魔法知識の基本的なもの以外に、Aランク以上になると人間性と血筋まで判定に加味されるはず。

 アレクシスはたった4年で私を追い越していったの?

 やばい、今の私には遥か遠い世界の話なんだけど、素直に嬉しい。



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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の状況がよくわからない。 転生にしては幼稚がすぎるし、前世の経験を自身の経験とみなして礼儀作法はできる割に現年齢相応な行動ばかり。 何もわからない子どもの精神性なのか二児の母の精神…
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