表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おきまり  作者: 新戸kan
3/4

 今日は演習というものを見学する。ニュースでなら聞いたことある言葉だけど、実際に目にするなんて一般人には中々無い機会だと思う。私も現代人だったようで、テレビも漫画もない、ショッピングもどきも飽きた。私は違う娯楽に飢えていた。

 話を変えて、いや戻してか、兵士が必要な理由が良く分からない。まものは普通の人でも倒せるし、他に国があるなんてことも習ってない。考えても仕方のないことなので、自警か警察くらいなものと思っておこう。

 城の裏手側にて、集まったのは選りすぐり、呼び方を変えれば女王親衛隊と、おにいちゃんは言っていた。全員が女性で構成されており、そう聞かされた時は、思いっきり目を細めておにいちゃんを見てやった。言い訳がましく、女性の方が魔力が強いからと言っていたけど本当だろうか。ここまで言えばわかるでしょうが、兵士含め創設を提案したのはおにいちゃんだそうです。

 メンバーとは私は既に顔見知り。こういう人達がいると、歴史の授業最初期に習うような生活様式であっても、王女であると認識できる。そうです、私も護衛対象なのです。けど魔力だけでいうなら私の方が強い。


「あ、またやってる」


 いつもの二人が言い争っている。赤い髪とピンクの髪、クキョウさんとレンマさんだ。あの二人は本当にウマが合わないというやつのようで、会う度に同じ事をやってる。まあ、私も弟とはそれなりの回数ケンカしたからとやかくは言わない。今も昔も変わらずお転婆。ちなみに、レンマさんが私の先生だ。


 親衛隊は最近発見された新素材を武器に使用し、それぞれの適性と相性にあったもの、剣とか斧とかを託されたという話。私がそれを聞いて眉を顰めたのは、そもそもその適正と相性って何ってこと。それっぽい言葉にしたかったようなことは聞いたけど。とにかく、希望した人の中から戦闘に優れた者が選ばれ、その中でも特に優れたメンバーが、変わった呼び方をされていた。親衛隊ではなくて、なんだっけ、数字とその素材の名前がついていたような。この二人もその内に入っている。


 演習というよりも個人の大会のようなものが始まった。なんだか懐かしい。武器はそれぞれの得意の武器を木で模したもの。流石に金属で殴り合うわけにはいかない。本気で殴り合えば木でも危険ではと思うかもしれないが、私達には魔力がある。この厚い壁を突破しない限り、体が傷つくことはない。なので勝敗は相手の武器を折ることで決まる。


 見ていると体がうずうずする。見ているだけじゃつまらない。やっぱりこういうのは自分で戦ってこそだと思うんだよね。でも今の私に勝てるのは一人しかいないから。それはそれで面白くない。

 クキョウさんとレンマさんの戦いは引き分けに終わる。これで十戦十分け、いつも同時に武器が折れるそうだ。そしてぎゃあぎゃあと場外戦が始まるまでがワンセット。止めるのが他の名を持つ人たちで、先生と仲良しだって話の彼女の泣き声も聞き慣れたもの。それにしてもここまでくると実は二人も仲が良いのではないだろうか。



 見学が終わった後、私も自分の剣を作ってもらうことにした。それほどの興奮の余韻があった。

 新素材は黒い金属、まこうと呼ばれるもので、手にした人の魔力を参照して、その力とするのだとか。名付け親は第一発見者のおにいちゃんです。導かれるように、星が落下した地点に向かうと見つかったのだとか。私もコ・ネコに乗って自分で取りに行った。一人で行ってお母さんに怒られるまでがワンセット。

 私の魔力ならきっと素晴らしい剣になるに違いない、完成を待つ数日間、修学旅行前のように鼻息で布団を温め、そう期待していたのだが。


「え、え?なんで?」


 力を込める感じで魔力を送ると、剣が砂のようにボロボロと崩れて消えてしまった。お姉ちゃんとおにいちゃんはやっぱりって顔をしていた。どうも、私とお姉ちゃんの魔力にはまこうが耐えられないらしい。同じ様に言われて嬉しくはあるが、残念な気持ちもある。せっかく形もそれらしくしてもらったのに、これでは木の棒から卒業できない。怒られ損なのもいただけない。

 授業の一環として、武術のようなものも教わっていた。護身用、これがあるから、益々兵士の存在意義が怪しくなる。おにいちゃんの容疑も固まってくる。内容の方は先生からは棒術というものを、おにいちゃんからは剣術を教えてもらっている。青い目を白く変えたりもするが、なんだかんだ言いながら、私は剣術を教わる日が楽しみだった。


 異世界の剣術には興味があったが、習い始めると首を傾げることがしばしば。まけんと呼ばれるクキョウさんが扱うのは両刃のもの、けどおにいちゃんが教えてくれるのは片刃の、それも刀のそれではないだろうか。でもこれも聞くに聞けなかった。

 どうも、私の才は武器を持って戦うよりも、魔力をその力に変える、魔法の方が得意とするらしく、武術は護身、嗜み程度のものとされた。それでも、おにいちゃんの授業は待ち遠しかったし、手は抜かなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ