第5話
カイヨ・チェンロー中央統合軍集団総参謀長は困っていた。
部下のツランヌスがやられたという一報を受けたからだけではない。
部下の報告によると、槍のようなもので一突きされたツランヌスの胸にポッカリと空いた丸い穴からは大きな陰茎が生えていたという。
「聞いていた話と違うではないかっ!だってそれではまるであいつはアカシェトスの…」
その瞬間、大阪都上空を覆う分厚い雲の切れ間から稲光がチェンロー邸目掛けて一直線に落ちた。
稲光はカイヨ・チェンロー中央統合軍集団総参謀長を貫いた。
「うぐぁっ……触らぬアカシェトスに…祟り…なし…」
丸焦げになり息絶えたカイヨ・チェンロー中央統合軍集団総参謀長の元に部下が集まってくる。
集まった部下達はそこで驚くべきものを目にした。
カイヨ・チェンロー中央統合軍集団総参謀長の頭上からから蕾のようなものが生え始めている。
しわしわのその蕾からやがて棒のようなものが現れた。
「アッ…アカシェトス…」
口々に部下達はそう呟いた。そう、その姿を見て誰もがそう言わずにはいられないのだ。
アカシェトスは欲望の神である。皆が教科書でよく目にするその姿は、痩せこけた裸の男の頭から1メートルはあるであろう陰茎が生えている姿である。
右手に神槍グングニル、左手に神盾ダラマンジャイホイが描かれているその姿はまさに欲望の神そのものである。
同時刻、シャンブルタ宮殿への道中、アニスは怯えていた。
「もしかしたら…私はとんでもない男を連れてきてしまったのかもしれない…これじゃ…世界がただではすまないかもしれない…」
カーパー・デ・アフトクラトラス。彼の手に握られている神槍グングニルは幾多の血を吸い大きく脈打っていた。
いつの間にか彼の手はグングニルと一体化しており、頭上から2メートルはあろうかという陰茎が生えてきていた彼を皆は遠くから指を咥えてみているしかないのだ。
「おい!アニス!リデル!何故動きを止めるのだ!早く続けろ!」
カーパーは激怒した。
いや、正確にはカーパーの頭上から生える陰茎が激怒した。既に巨大陰茎は意思を持ち、言葉を操るようになっていた。
アニスとリデル団長は再びセックスを続けた。
人の性行為を見ることによって神槍グングニルは、より切れ味が鋭くなるのであった。
カーパーに向かうところ敵はなく、シャンブルタ宮殿はもうすぐそこだった。アニスとリデル団長はもう彼の言いなりになるしかないのである。
一方その頃シャンブルタ宮殿では、タムリエル三世が神盾ダラマンジャイホイを大事そうに磨いていた。
「はよぅここまできてみぃ…」
最終決戦の火蓋がまもなく切られようとしていた。
ビラビラで日除け(1094文字)