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第3話

同時刻 帝都 シャンブルタ宮殿 皇帝の間




「つまらん」

世界終身皇帝タムリエル3世は2時間ぶりに言葉を発した。


彼が口を開けば誰かの人生が終わる…それがここ200年のこの惑星での常識であった。



今回哀れな犠牲者となるであろうは…皇帝本人はそう思ってすらないだろうが…醜い二人のエルフと彼らをここに連れてきた カータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣であった。




2時間前、北九州で勃発したエルフ達の反乱対応のため、50人の大臣と1000人以上の高官たちが皇帝の眼前で巨大な机を囲みながら激論を交わしていた。タムリエル3世は部下だけの秘密会議を絶対に許さなかったので問題が発生するたびにこうして皇帝の間は人口過密に陥っていた。


「反乱者どもが、やけに手際がいいな。やはり西ヨーロッパ中央魔術共同都市同盟が裏で糸を…」

ハザック・ラオ・シャイアン第3国家情報局総合分析官が調査結果を報告しようとした時だった。


「ニシヨーロッパチュウオウマジュツキョウドウトシドウメイ……ウォォォ!ユルサン、ユルサンゾォォォ!」

$€\1○々々☆(人類の言語では表すことができない)オーク族副族長兼国家親衛軍東欧防衛隊隊長が突如として雄叫びを上げ、ハザック・ラオ・シャイアン第3国家情報局総合分析官を殴りつけた。5メートルの巨体から繰り出される暴力になす術もなく、ハザック・ラオ・シャイアン第3国家情報局総合分析官は45年の生涯を終え肉塊へと化した。この日は奇しくも彼の妻の誕生日であった。



「ふん、蛮族め。ヴェルダン回廊の悲劇をまた思い出したか。50年も前のことをよくもまぁ…」

飛び散った血を拭き取りながらカイヨ・チェンロー中央統合軍集団総参謀長が呟いた。ヴェルダン回廊の悲劇、オーク族なら誰もが知っているあのおぞましい事件だ。


「き、貴様、皇帝陛下の御前であるぞ!」

今回の会議の議長であるカータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣が狼狽しながら声を上げる。もちろん $€\1○々々☆(人類の言語では表すことができない)オーク族副族長兼国家親衛軍東欧防衛隊隊長とは50メートル以上距離をとっている。


「毎度毎度貴様のせいで何人の高官が犠牲になっていると思っている!陛下、これは明らかにマッチェワルシャワ条約違反です!今日という今日は蛮族…オークどもに罰を…」

カータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣が皇帝の聖断を仰ごうとしたその時、


「めっちゃ太ってるエルフとガリガリのダークエルフの子供ってどんな感じなるんや?」

絶対的支配者、世界終身皇帝タムリエル3世のふとした問いにより会議は一瞬で中断された。



カータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣はすぐに各方面に連絡をとった。こうした場合、その会議の議長が直ちに対応することが大臣達の慣例であった。



奴隷貿易で成り上がった彼のコネクションにより30分ほどで、スリーサイズの合計が300を超える雌のエルフとその半分ほどしかない雄のダークエルフが収容所から連行されてきた。


1000人以上の観衆が見守る中、彼らは性行を強制された。


しかし…


ペタン…ペタン…

ダークエルフが全身から汗を流しながら後ろから腰を打ち付ける。年寄りの餅つきよりもスローペスだ。


「ふぅーひぃーふぅーー!」

一方雌のエルフは四つん這いの姿勢を保つだけで必死であった。






なんだ、これは。






「振れーーー!腰を振れーーーー!!」

カータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣は血眼になって魂の叫びを上げるが、ペースは落ちる一方であった。



そして開始から90分を過ぎた頃、二人の実験体はその場に倒れた。



「つまらん」

そして世界終身皇帝タムリエル3世は2時間ぶりに言葉を発した。



「終わったな。まぁ諦めろ。」

高橋法務強制強行執行大臣が放心状態のカータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣の肩に手を置いた。


「ウウウ、オマエ、ガンバッタ、エライ」

つまらん催物を見てるうちに冷静になった$€\1○々々☆(人類の言語では表すことができない)オーク族副族長兼国家親衛軍東欧防衛隊隊長は珍しく人間種に賞賛の言葉を投げかけた。



数分後、死刑執行人たちがカータブ・トールトン西部地域経済開発・安全担当大臣の首に巨大な斧を振り下ろそうとしたその瞬間、皇帝の間中央扉が勢いよく開かれ1人の人間種男性が駆け込んできた!



「陛下!緊急事態です!」

ベン・タリスマスソール亜人種処置担当第5公設秘書が2人のエルフや処刑寸前の大臣に目もくれず皇帝の前へ跪いた。


「淡路島エルフ極秘収容処分所所長ヨイーダ・フォン・デッポルゾンから連絡が!奴が…陛下がお探しだったあの男が…」

報告を最後まで聞くことなくタムリエル3世は立ち上がった。


「ついに…見つけたんか…」


その一言を聞いた全ての臣下が次々と大歓声を上げた!

「「タムリエル!タムリエル!タムリエル!」」


その歓声はシャンブルタ宮殿に収まることはなく、帝都島根中へと響き渡った。



(皇帝陛下…あんたの思い通りにはいかんさ…)

歓声の中、カイヨ・チェンロー中央統合軍集団総参謀長はひっそりと帝都を離れた。



激動の時代が、再び訪れる…



傘付き三輪車(2102文字)

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