2 ダイエットスタート
( 'ω' و(و"♪
「ワンツー、ワンツー」
「あの………ベスター様。何をなさってるのですか?」
一昔前に流行ったビ○ーズブー○キャンプをうろ覚えでやっていると部屋に入ってきた執事のマイケルがめちゃくちゃ、ひいた目でそう聞いてきた。
「痩せるための運動だ」
「それでしたら走った方がいいのでは……?」
「もちろんするが、この巨体では怪我でのリバウンドのリスクが高い。だから室内でも気軽に出来る運動は効果的なんだ」
「はぁ……」
納得しかねるマイケルだったが、ふと俺の言葉に疑問に思ったのか聞いてきた。
「あの、ベスター様。今痩せると仰いましたか?」
「そうだ。長生きしようと思ってな。何か問題があるか?」
「いえいえ!ですが、どういった心境の変化かと思いまして」
「まあ、気まぐれだ」
そう答えて俺はうろ覚えビリー○ブート○ャンプを続ける。結構体を使って汗が出てくるが………ねっとりした油っぽい汗なのですぐに気持ち悪くなる。
ダイエットってちゃんとしたことなかったけど………いざ始めるとなかなか難しいものだ。動かない体にムチを打って、でも怪我しない範囲で運動をする。軽いウォーキングや剣術の稽古などの運動も併用していく。
「あの……本当にこんなに少なくてよろしいのですか?」
いつもの肉増し増しではなく、野菜多めの肉は少しにして量も少なくするとそう聞いてくる侍女。
「ああ。バランスよく食べないとね」
「はぁ……あ、お夜食はよろしいのですか?」
「ああ。いらない」
仕事のお供(というか、女遊びという名の仕事)の時に食べてた夜食もキャンセルして女遊びも止める。今まで迷惑かけて連れてこさせていた町娘にもきちんとお詫びをして娼館にも行かないようにする。
ある意味女遊びも汗をかけるかもだけど……こんなデブに体を捧げさせるのは申し訳ないしね。
その分今まで放置していた領地での仕事を優先して片付けていく。並行して劣悪だった領民からの印象の回復にも務める。言ってて悲しくなるが権力を傘にきた行いをしてる下衆野郎だったからねぇ………
昼夜問わずに倒れない程度に働く。やる事は山積み、ダイエットのせいでそこそこの空腹感もある上に疲労で眠いけど、頑張らないと………そんな時にそれは届くのだった。
「招待状?」
「はい。国王陛下からの招待状です」
ぐっ、ダイエットでキツいのによりによって今夜会の招待状が届くとは………本当にツラいお。
「あまり乗り気じゃなさそうですね」
「まあね。この体では馬鹿にされそうだしね」
「そんなことないと思いますよ。少なくともここ最近で見違えるようですし」
「だといいが……ああ、衣装は使いまわせる範囲で使いまわしてくれ」
そうして乗り気じゃない夜会の準備をしながらダイエットを続けるのだった。