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デッドエンドフェアリーテイル  作者: 京衛武百十
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コンスタンティア・エリントンの場合 その3

『ああ…気持ちいい…! 気持ちいいよお……!』


六歳の少年を殺害したその夜、コンスタンティアはいつものように実の父親の相手をさせられていた。


だがこの日は、いつも以上に彼女の反応が良く、父親は、


「お前もやっと良さが分かってきたか」


などと、汚物のような言葉を垂れ流して愉悦していた。どうやら自分が彼女に悦びを与えられているのだと誤解しているらしい。


しかしそれはもちろん、ただの思い上がりであり浅ましい勘違いに過ぎない、彼女はあくまで、自分が男の子を殺した余韻に浸り、結果としてそれが相乗効果を生むことになって昂っているだけに過ぎないからである。


自ら男の子の首を絞め、意識を失い、命が潰えていく感触を思い出す度に彼女は体の芯からとろけるような感覚に陥っていた。


そう。彼女は僅か十一歳ながら、命を嬲りものにし、奪い去ることそのものを悦びと認識してしまっているのだ。


実の父親に首を絞められ、自らも生死の境をさまよいながら性の悦びを与えられるというおぞましい行為そのものに酔いしれることに慣れてしまった彼女には、それはもう悦楽以外の何物でもなくなってしまっていたのである。


なにしろ、自分も首を絞められることで性的な昂りを得るということに慣れさせられてしまっているのだから、彼女にとってはむしろ気持ち良くて楽しいことであり、故に罪悪感など微塵も生じることもない。


それどころか、とてもとてもとてもとても気持ちいいことを教えてやったのだから、逆に感謝して欲しいとさえ思ってさえいたかもしれない。


しかも、警察は彼女の犯行を暴くことができず、十一歳の快楽殺人者の誕生をみすみす見逃すことになってしまった。


当時の捜査技術のレベルでは仕方のない一面もあったのかもしれないにしても、あまりに悔やまれる失態である。


こうして己の行為を咎められることのなかったコンスタンティアは、それを正当なものと認識してしまったのだ。


それでいて、彼女の父親は自分達のそれを、


「他人に教えたら妬まれて邪魔をされるから、自分達だけの秘密にしておこう」


と彼女に諭しており、彼女もまたそれを忠実に守っていた。なにしろ実際に気持ちいいのだから、他人に邪魔などされては敵わないとさえ思っていたのだ。


こういう点からも、父親の悪辣さが分かるというものだろう。


このようにして、まるで目に見えない邪悪な何者かに、狡猾などす黒い知恵を吹き込まれたかのようにして、一家のおぞましい<儀式>のような狂宴は、留まるところを知らず続けられ、着々と恐ろしい魔物の如き少女を育てていくことになったのであった。



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