表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/139

先輩、カレーにしましょう!

「じゃあ、夕ご飯を作りましょうか。今日はカレーにしましょう。」


え?なんでカレーかって?教えやすいから。


「おー!」

「材料は出しておきましたので、僕が書いておいたレシピ通りにしてください。」

「りょーかい!」


そう言うと、先輩は包丁を持って……


「先輩?持ち方おかしいですよ?家庭科の授業でしなかったんですか?」

「え?わたし、包丁さわらせてもらえなかったから……」


ああ……なるほど。

その判断は懸命だと思いますよ。触らせなかった皆さん。



「では、持ち方から教えましょうか。こうです。」

「こう?」

「はい、そうです。では切っていきましょう。手は猫の手にして……そうです。」

「おおーこうか!!それっぽい!!」


先輩はそう言うと、包丁で野菜を切ろうとするが、切り方が悪く、うまく切れていない。


「なんでうまく切れないの?」

「切り方の問題ですね。」

「むう……あ、良いことを思いついた!後ろから夜空君が両手を掴んで一緒に切ってくれればいいよ!」

「へ?」

「はい決定!じゃ、お願いね!」


なんか勝手に決まってしまったが、それ、恋人みたいじゃないですか?

これを天然でやってるところが恐ろしい。


「はいはい。分かりましたよ。」


僕は先輩の後ろに移動すると、後ろから先輩の右手に僕の右手を、左手に左手をそれぞれ掴む。

一見すると、僕が後ろから抱き着いているように見えると思う。


「じゃあ先輩、切りますよ……」


そう言って僕は先輩の手を掴んでいる手に少し力を入れて、動かそうとするが、驚くほどに力が入っていない。


「先輩、もう少し力入れてください。これだと、切れません。」


返事がないただの屍のようだ……


「先輩?せんぱーい?先輩!」


どれだけ呼んでも返事がない。先輩はよくこんな感じで反応がなくなるが、これだけ呼んでも返事がないのも珍しいなぁ……


「先輩!せ!ん!ぱ!い!なんで返事がないんだろ………先輩!!秋川先輩!!千雪(・・)先輩!!」

「ひゃい!?」

「あ、やっと戻ってきましたね。」

「い、いま、な、なま……」

「なま?何のことですか?今日はカレーですから火を通しますよ?」

「そ、そうじゃなくて……ま、いいや。」

「? そうですか。先輩、今から切りますから、もう少し力を入れてください。」

「りょーかい。」


先輩の細い腕に力が入るのを感じる。

何か…こう…先輩のこういうところ、けなげな感じがしてかわいいんだよな。


そんなことを考えつつ、先輩の手を動かして、野菜を切っていく。

なにこれ。すっごいやりずらい。

先輩の手を切らないように気にしながら、野菜を切る。

さらに、先輩のいい香りがしてくるし、先輩あったかいし、集中できる要素がない。


これ、カレー出来上がるまで僕の精神力持つのかなぁ?


こんにちは、海ノ10です。


誤字、脱字やお気づきのところがありましたら、教えていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これも読んで!
「絵が好きな君と絵を描かない僕」
面白いよ!(たぶん)

作者ツイッター
更新情報とかくだらないことを呟きます
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ