先輩、何言ってるんですか?
―――プルルルル
聞きなれない電話の音が静かな部屋に響く。
「ん?」
僕、深星夜空はベッドから体を起こすと、現在の時間を確認する。
夜の十時。
うん、もうよい子は寝る時間だ。こんな時間に電話をかけてくるやつは誰だろう。
僕はそんなことを思いながら、枕元のスマホの画面を見る。
秋川先輩
「え?」
画面に現れたその文字に、思わず変な声が漏れる。
秋川先輩。下の名前は千雪。
可愛らしい大きい目に、それを最大限に生かした顔のパーツ。少し茶色っぽいショートヘアー。百五十センチないくらいの身長。
学校の中でも相当上位に食い込む可愛らしい見た目であるが、先輩が有名なのはそこがメインではない。
学校一の変人。
それが先輩が学校内でも有名な理由である。
僕は四月に高校に入って以来、何故か気に入られ、今では先生から直々に「任せた」と無茶ぶりをされている。
と、話題がそれた。
とりあえず電話に出よう。
「もしもし。」
『もしもし、夜空君?今家?』
「はい、着替えもせずぼんやりしていた所です。」
『じゃあ丁度よかった。』
丁度いい?
『あの』先輩がこんな時間にわざわざ電話してきて、丁度よかったって言ってくる……
いや、悪い予感しかしないんだけど…
『暫く夜空君の家に泊めて?』
「……へ?」
僕の素っ頓狂な声が静かな声に響いた。
お読みいただきありがとうございます。こんにちは、海ノ10です。
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