死霊使い
追いかけた人物がもうすぐ先にいるが、まさかこんな子供だとは……
疑いながらも対象を確保を行う為に土魔法を行い、対象の前に壁を出現させる。
子供は驚いたのか尻もちをついた……それを見て一気に接近する。
「動くなよ……」
「邪魔すんな!」
「しない訳にはいかないだろ。
お前が死霊使いで間違いないか?って聞いても答えないか……」
その場から走り出そうとしてするのを見て、もう一度土魔法で壁を創り出す。
「どけよ!俺は行かなきゃいけないんだ」
「俺はお前に用があるから、行かせる訳にはいかないんだよ。
どうしても行くのなら、俺を倒して行けば良いんじゃないか?」
「子供だからって舐めんな……ぶっ殺してやる」
10歳そこらの子供が大人に向かってなんて言葉使いを……全く精神衛生上良くない世界だ事で。
男の子から魔法の発動を感じる……土魔法を使って大きな土の巨人を創り出すと、違う魔法をまた発動させて巨人の中に入れた。
すると巨人が動き出し、こっちに向かって来る。
「どうだ!ビビったろ。
舐めた罰だ……コイツで殺してやるよ」
土魔法で創った巨人なんて、問題なく倒せると思うがな……一応様子見ながら戦うか。
巨人がゆっくりと走り出す……すると一気にスピードが上がる。
巨体に見合わない動きでこっちに接近し、俺に向かって蹴りを放ってくる。
横方向に避けると、拳を振り下ろしてくる……回避する為に後方に跳び退くと、背中に壁が出現……そこへ反対の拳でかち上げる様に狙ってくる。
壁で後方への逃げ場を防がれたが、左右への移動は可能……しかし、同じ様に壁を創られてしまう可能性がある為、巨人の後方へと抜ける様に跳び上がる。
「ちょこまかすんなよ!さっさとやられてしまえよ」
「口が悪いな……それに避けれる様な攻撃してるのはお前だろ」
「うるさい!!」
キレたのか……巨人の動きが更に早くなる。
巨人に拳での連打を行うが、避けるのは造作もない……動き自体が素人なのだ。
フェイントなどは一切なく、ただ俺に向かって攻撃を繰り出すだけ、よっぽどタニアの攻撃の方が怖かったよ……
そろそろ巨人を使った戦闘はこれ以上何も出てきそうになかったので、今度はこちらから仕掛ける。
連打を掻い潜り、懐に潜り込む。
この前造ってもらったパイルバンカーの出番だ……巨人の胸部に杭を突き刺し、爆破魔法で一気に打ち出す。
試し打ちした時の様な加減はせずに、通常の魔力を込めて放った。
けたたましい爆破音と共にパイルバンカーが撃ち放たれた……巨人の胸に刺さっていた杭が再度巨人に牙を剥く……
刺さっていた杭を中心に巨人の体を破裂させると、破片が勢いよく吹っ飛んでいった。
初のパイルバンカーの攻撃は成功……だか、腕に残る衝撃がパンパない、痺れが腕に残っている。
まだ全力で撃った訳ではないのに、この威力か……かなりの有効打ではあるけど、使う際には気をつけないといけないな……
「なんなんだ……俺の巨人に何をしたんだよ!」
「見ての通り木っ端微塵にしてやっただけだが」
自慢の巨人だったのか、歯を食いしばって悔しがっている。
これ以上抵抗してこなければ、このまま確保するか……
「じゃあ、観念して捕まりな」
「誰がお前なんかに捕まるか!
まだまだ巨人は創れるんだ……見てろよ」
再び土魔法で巨人を創り出す……今度は2体創っているが、そんな物が完成するまで待ってやる義理はない。
即座に爆破魔法で攻撃し、巨人の形だけの物を破壊する……結局のところ、作成後にやった何らかの魔法を使わないと操作出来ないようだしな。
「何回だって創ってやる……」
「創る前に、俺がお前を攻撃しないって思うのか?」
一瞬で距離を詰め、対象の目の前に立つ。
発動させようとしていた腕を握ろうとした瞬間に殺気を感じて距離をとる。
すると、俺が立っていた場所に攻撃が行われる……
「勘のいいやつだな……」
「何をした?」
「教えると思うの?
戦ってる相手に、手の内を教える程甘くはないよーだ」
攻撃自体見えなかった……何が起こったのかも把握出来ていない。
接近する事自体が危険になってしまったが、接近しないと確保も出来ない。
さて、どうしたものかな……
「何もしてこないなら行かせてもらうよ」
「行かせないって言ってるだろっ」
風魔法を発動させて衝撃波を飛ばす……広範囲で攻撃したから回避は出来ないだろう。
衝撃波が対象に当たる直前に消し飛ばされる……やっぱり、何が起こったのかは判らない。
視覚で確認出来ない攻撃をしているのか?だけど、攻撃範囲は広くはなさそうだ……せいぜい2m程と考えていいか。
続けて、水魔法を勢いよく撃ち放つ……1つだと判らないが、複数撃てば何か解るかもしてない。
5つ程の魔法弾が飛んでいく、子供は余裕ぶって回避すらする様子がない……
そろそろ先程衝撃波が消された場所に差し掛かる……すると、魔法弾が上下左右に1つづつ跳ね除けられる。
一気に消えなかったな……もしかするとこれって……
『ブラッド、何か解るか?』
『俺にも見えないんだなこれが……魔力の反応も無ければ視覚でも判らない、お手上げだな……』
『確証は無いんだけど、そこに何かがいて攻撃を弾いていると思うんだ……それが1体か2体かは判らないけど。
そこで、ショウと同時に前後から攻撃して様子を見ようと思うんだ』
『じゃあ、後ろから攻撃すれば良いの〜?』
『頼む……俺が気を引いておくから、後ろから攻撃してくれ』
ショウを出したまんまにしていて良かった……後は余裕こいてるあいつの能力の招待を見極めて、あの顔を歪ませてやる。
こっちに意識を向けさせるように、水魔法弾を再び撃ち出す。
今度は連続で何発も撃ち続ける……これで前方だけに意識を置いた筈だ。
ショウが背後へと移動が完了、そして背後から魔法を使い石を投げた……
「ずっと同じ攻撃しても当たんなイッ……」
石が対象の後頭部にクリーンヒットする……って事は
『どうやら1体だけみたいだな、どの程度の動きまで付いてこれるかは判らないが、気づけない攻撃は防げないらしい』
少年はその場で頭を抱えて悶絶している。
多少のネタも解ったところで追撃を開始する……
少年を中心に回りながら風魔法で衝撃波を撃ち続けていく、全て攻撃を弾かれるが、どんどん弾かれるまでの距離が少年に近くなっていく。
何度も撃ってから攻撃を防げなくなるまで続けても良いが、それよりも早く確実に倒せる方向を選ぶ。
『ショウ、そろそろ落としても良いぞ』
『りょーかい、じゃあ落とすねー』
少年の上空に石を浮かせてショウを待機させている。
高度もあり、当たれば死ぬかもしれない程の大きさの石を落とさせた。
衝撃波を弾くのもギリギリの距離だ……これで終いだな。
「ちくしょう……お前なんなんだよ!」
「さぁな……ただ、今はお前を倒す人物であるのは間違いないかな」
落ちてきた石が再び少年の頭に激突……すると、消えていた何かが招待を現す。
トカゲの様な魔獣の幽霊だった……姿や魔力を消せる能力を持った魔獣だったのだろう、それを使役して攻撃を弾いていたと言う訳か……
少年が生きていた場合に厄介だから、ここで一緒に倒させてもらう。
ショーテルの魔法剣で攻撃を繰り出し、一気に切断……少年もその場に倒れ、戦闘を終了した。
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