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異変

最初におかしいと思っていたのは昨日の事だ……あれだけ転がっていた魔獣達の死体が見当たらなかった。

フューリーが弔わせたのかと思っていたので、気に止めなかったが、今しがた気配を感じてフューリーと見合わせた時に違うと気付いた……


「フューリー……」


「えぇ……間違いないかしら」


「2人ともどうしたの?」


ライラはまだ気付いていないようで、俺らの会話に疑問を抱いていた。


「多分だけど、敵だ。

数もそこそこいるみたいだ」


魔力探知を行ってみるが、微弱なものしか見つけられない……

魔力量も大したものでもないが、その微弱な魔力が大量にいるとなれば話しは別だ。

数え切れない量が反応している……しかも、広範囲に広がっているからタチが悪い。


「こっちから先に仕掛けた方が良さそうだな。

このままじゃ囲まれる」


「そうね……でも、2人をどうするの?」


バズとダグの事だ……戦闘が出来るメンバーは3人、非戦闘員が2人。

相手の数の多さだと、護衛で精いっぱいになってしまう。

城まではまだ距離がある……早くても3時間程は掛かってしまう。

救援を呼ぶのにも無理があるし、何か手立ては……


「俺が囮になるからその隙に行ってくれ」


「そんな事したら、ジンが危険に晒されるじゃない!」


「なんとかなるって、現に今までなんとかしてきたんだから。

それに、行動が遅くてバズとダグに被害があったらどうするんだ?

客人に怪我はさせられないだろ」


「そんな危ねぇ事になってんのか?

俺なら一応戦えるが、ダグはからっきしだからなぁ……」


「大丈夫だ……だけど、何かあったら手伝ってもらえると有難い。

と、言う訳で急いで城へと向かってくれ、後はなんとかするからさ」


「私も残る……」


「ダメだ!ライラに何かあって後悔したくない……だから頼む」


「ライラ行くわよ。

ジンの言う通りにしましょう……頼んだわよ」


ライラの後ろからフューリーが肩に手を掛けて話し掛ける。

ライラは悔しそうに俯いた後、フューリーの手を握った。


「絶対戻って来てよ!」


「絶対戻って来る。

城で美味いもんでも用意して待っていてくれ」


4人は急いで移動を開始する……その時、ゆっくりと近付いていた魔力が動き出す。

俺は急ぎ移動する……場所は森の中だ。

相手を見つけるまでに、そう時間は掛からなかった……


「魔獣の霊か?」


実態はなく、奥の背景が透けて見えている……リレイの時と同じ死霊使いがいるって事か?


『ブラッド、操っているやつの場所は解るか?』


『魔力が繋がっている方向を追えばなんとかなるかもしれん』


『すまないが頼めるか?』


『やってみるが、時間は掛かるぞ』


『構わない。

何かを倒す度に襲撃されたんじゃたまったもんじゃないからな』


『解った……その間は融合出来ないから気をつけろよ』


見つけた魔獣の霊達に向かって接近……ショーテルに魔力を通し、斬りつける。

敵自体が大した事はない為、一撃当たると飛散していく……


狭い場所での戦闘が続く……ショーテルで攻撃を続けていくが木が邪魔になる為、腕輪の効力を余計に使って木と一緒に倒していかなければならない。

そこで、先日戦ったタニアの真似をしてみる事に。

接近戦用の魔法格闘術だ……ショーテルを背中に直し、素手での戦闘を行っていく。

魔力を腕や脚に集約させ、すぐにでも魔法を発動出来る様にしておく。


まずは、風魔法を纏わせての手刀……見た感じ上手く出来ている様で、そのまま切りつけていくと見事に霊を倒せた。

同じ要領で脚にも行ってみると、これも成功……タニア程の威力はないものの、コイツらを倒すには十分な威力だった。


ライラ達の方には向かっていない様で、囮作戦は上手くいっているようだ。

このまま倒しきってしまえば一安心だが、死霊使いを倒さないと何度だってこういう場面に出くわすハメになる。


次々に魔獣の霊を倒していく、格闘術も上手くいっている為、どんどん数を減らす事が出来た。

残り半分くらいになった頃、ブラッドから声が掛かる。


『ジン、見付けたぞ!

場所はかなり離れているが、発信源はそこで間違いない』


『解った……ショウ行けるか?』


『大丈夫だよ。行ってくるねー』


ショウにその人物を発見させる為に飛ばせる。

最初はショウに救援をお願いしようとしたが、敵を倒し終わらずに見つける前に逃げられてしまうかもしれない、という事態に備えて待機させていた。


確認を任せて敵の討伐に集中していく……対象が見つかった今、残る敵を向かわせない様に殲滅が最優先事項だ。




―――――――――――――――――――――――――――――――




殲滅が終わった後すぐにショウを追う……


『ブラッド、対象は移動しているのか?』


『あぁ……既に逃げ出している。

そう早い訳ではないから追い付けるだろう』


『ショウは追いついてるのか?』


『後を追っているぞ、正確な場所はお前さんも解るだろうから、それを追えばいい』


ショウとの距離が詰まってきた……


『ショウ、対象はすぐ近くか?』


『ご主人から近いよー

もう少し先を走ってるー』


もう少しか……魔力探知を全開にし対象を探す。

魔力を見つけ、そこに近づく。


走ってる後ろ姿を確認出来た……あれが死霊使いか?

後ろ姿が、小学生くらいの男の子にしか見えない……


『アイツであってるんだろうな……』


『間違いないぞ。

姿自体は俺は見てないが、魔力はアイツから出ていた』



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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