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息子

村へとザガと一緒に向かい、俺の装備品の製作者に出会いに行く。

村に降りてザガの後を歩いて行くと、そこはザガの家の前へとたどり着く……


「ここって、あんたの家じゃないのか?」


「そうです……中に造った者はおりますぞ。

ささ、どうぞ入って下さいな」


言われた通りに中へと入る。


「爺ちゃんおかえり〜。

あれ?ジンおじちゃんも一緒か」


「まさか製作者がロロって訳じゃないよな?」


「何の事だ?」


「さすがにそれは違いますよ。

ロロ、バズは中におるか?」


「父ちゃんな、今風呂入ってるよ。

もうすぐ上がって来ると思うけど」


「製作者はロロの親父さんで、あんたの息子って事か?」


「そうですじゃ、ワシの技術は全て息子に教えております。

ドワーフ達の中でも5本の指に入る程の腕前と言われる程の人材で、ワシの自慢の息子ですじゃ」


「俺の父ちゃんスゲーんだぞ」


「そうだろうな、これ程の装備品を造ってくれるぐらいの腕を持ってるんだからな」


ザガの息子ならどうにかなりそうじゃないかな……


「噂をすれば来ましたぞ」


「なんだぁ親父、俺の噂なんてロクなもんじゃないいだろぉ」


「いや、あんたの事を褒めていたんだよ」


「親父から褒められるなんて気持ちワリィな。

あんたは確かジンだっけか?助けてくれてありがとぉな。

それで、オイラが造った装備はどぉだい?」


「最高の出来栄えだ。

ここまで言った通りに仕上げてくれるなんて、正直驚いているよ」


「そりゃあ最高の褒め言葉だぁな」


「バズ、ジン殿はお前に一緒にダークエルフの領土に来て手伝って欲しい事があるそうじゃ」


「オイラに手伝いってなんだい?」


「今、ダークエルフの中で技術部隊ってのを作るってなってるんだが、鍛冶の腕前はドワーフに大きく下回っているんだ。

それで、その部隊の鍛冶を専門に力を貸してくれないか?」


「……受けてやりてぇのはヤマヤマだが……」


「何か気にかかる事があるなら言ってくれないか」


「あぁ、村を出なきゃいけねぇんだろ?

そんな中、親父やロロをほっぽり出して行けねぇよな……

慣れるまでは付いていてやりてぇんだ」


「お前に心配されるほど弱ってはおらん……」


「そういう事じゃねぇんだ。

上手く説明出来やしねぇんだけどよ……

オイラが守んなきゃいけねぇんだ。

それが今のオイラのやんなきゃいけねぇ事だと思う……」


「父ちゃん……」


「そうだな……確かにバズの言う通りだな」


「バズよ……お前の気持ちは嬉しいが、ワシは……」


「理屈で言ってんじゃねぇんだよ」


「解った。

無理に誘う事は出来ない……」


「ジン殿……」


「いや、本人の意思を尊重したいと思う」


「村を守るのは長であるワシの仕事じゃ……だからワシは村人を守り抜いてみせる。

じゃが、ワシらは彼等に恩を返せなんだ。

それを返せるのはお前なんじゃ……行ってくれぬか?」


「それは解るってぇんだ。

だけど、それじゃロロが……」


「じゃあ、お前は他の者がそういう気持ちになるのはどうでも良いと言うのか?

お前じゃなくても、ワシはこの村から誰か手伝いに行ってもらおうと思う……それがワシが思うワシらなりの恩返しと思っておる。

その者にも家族はおるじゃろうて、それでも自分の気持ちのみを優先すると言うのだな?」


「父ちゃん、俺なら大丈夫だって。

俺が爺ちゃんを守ってやるって」


「親父……確かに俺の考えが浅かったのかもしれねぇ……

自分の都合しか考えてなかったのかもしれねぇな。

ロロまで一端の口ききやがって……オイラが1番子供みてぇじゃねぇかよ……

ジンさんよ……返事は明日まで待ってくんねぇか?

必ず明日までには返事すっからよ」


「あぁ……解った。

急かせる訳じゃないんだが、明日の昼にはダークエルフ領土に戻ろうと思ってる。

出来ればそれまで返事をもらえれば助かる」


「明日の昼だな、絶対それまでには返事すっからよ」


「じゃあ待ってる。

無理言ってすまない……」


「ジン殿、ワシらはワシらの受けた恩を返したいのです。

我らがここで断れば、ドワーフとしての恥じゃと思っています。

だから、気にしないで下さいな」


「いや、それでもだ。

俺こそ浅慮だったのかもしれないと反省したよ。

だけど、人間族との戦争を終わらせる為にはそうも言っていられない状況なんだ。

どんな惨めになっても、何にでもすがってやる……」


「おめぇは同族にどうしてそこまでやろぉとすんだ?」


「そうだな、これは伝えておかなきゃいけないかもな。

俺は……」


それから、ここに至るまでの経緯を全てではないが、必要だと思う事柄は伝えた……

ロロも聞いていて1番目を輝かせていた。


あらかた話し終わった後、時間も遅かった為に宿へと帰った。

バズは帰る間際に「絶対明日には返事すっから」と再度伝えてきた……それに手を振って踵を返した……


部屋では皆が待っていた。

とりあえずは今までの事を話しておいた。


ライラは俺の出来上がった装備品をみてテンションが上がっていた……終いには俺と同じマントが欲しいと駄々こねていた。


他の者はパイルバンカーに目がいっていて、どんな物か聞いてきたが屋内で使えるシロモノじゃないから、明日にでも外で見せてあげる事にした。


さてと、明日はどんな返事がくるかな……

無茶な依頼をしてしまってるけど、出来るだけ一緒に来て欲しい……




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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