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奪還成功

タニアと長身の人間が戦っている。

相手は大剣、タニアは無手での戦闘だ……リーチだけ見れば男が有利だが、タニアは軽々と躱していく。

決して男の動きが悪い訳ではない、だがそれだけの実力差があるのだ。


タニアが攻撃に転じる為に、一気に距離を詰める。

すると男は大剣を離し、腰からメイスを両手に持ち挟み込む様に攻撃、タニアに接近をさせなかった。


「よく避けたな……

これを避けるなんてな」


「あなたが遅いだけよ。

それくらいだったら何回だって避けてやるわ」


「減らず口……を!」


男がその場から飛び出し、タニアとの距離を詰める。

両手に持ったメイスで叩きつける……攻撃の速度は圧倒的に上がっている。

タニアが着ている鎧にメイスがカスると、鎧は簡単に割れている。


何度も何度もメイスで攻撃を仕掛けるが、まだタニアに直撃はない。


「だいぶ余裕が亡くなった様だな。

では、本気で攻撃させてもらう……」


男は今まで足を止めて攻撃していた。

それに移動を加えながらの攻撃が始まる……タニアに危険が及べばサンドラ様に何を言われるかわかったもんじゃない……


「タニア……」


心配は杞憂に終わった……

タニアはメイスを弾き飛ばした。


「ジン殿、心配はいりませんよ。

これくらいなら全く問題ありません」


どうやってあのメイスを弾き飛ばした?

タニアはずっと無手のままだ……素手であれに触れば大怪我しているはずだ。

けど、タニアの手は怪我一つない……


「キサマ……何をした?」


「お前に言うことは何もないさ……

解らないまま死ねばいい!」


タニアが突っ込む、男は迎撃しようとメイスを振り回す。

それに対しタニアは素手でメイスを叩きにいく……接触する瞬間に、タニアの手から魔法が発動される。

そして、その魔法でメイスを男の手ごと吹き飛ばした。

仰け反った男の腹部に目掛けて掌底を放つ……当たる間際に、またもや魔法の発動、男は工場の壁へとぶっ飛んでいく……


どうやらタニアは攻撃の瞬間に、自らの攻撃のスピードと威力を魔法に伝播させて威力を増強している。

ただの掌底の威力が、近距離でショットガンを発射させたかのような威力までに昇華している。


タニアが追い討ちをかける為に接近する。

移動の際にも足から魔法の発動、さっきまでの移動スピードと全く違う……

ベッコリと凹んだ男の腹部に向かって飛び蹴りを放つ。

男の鎧に穴が空き、腹部から大量の出血が確認出来た……


男は大声で叫んでいる……それを気にせずタニアは喉元へと手刀を放ち、声を断ち切った……しばらくして男は動かなくなった。


「お待たせしました」


「タニア…それは暗殺術か何かか?」


「いえ格闘魔と言って、接近戦を主として行う者用の魔法戦闘です」


一気にタニアが怖くなった……俺もまともにやったらどうなる事か…さすがサンドラ様ご推薦だ。


「とりあえずこの中は制圧完了だな……って、何をしていたのか聞くのを忘れていた!」


「そうでした……申し訳ございません。

ちょっと久しぶりに戦えるので嬉しくなってしまってつい……」


「いや、タニアの所為じゃないよ。

俺が気を付けて確保しとかなきゃいけなかったんだよ…」


「工場の外に1人拘束しているわ……」


「本当か!さすがフューリー!」


「誉めるんだっやら何かちょうだいよね」


「あぁ、帰ったら何かあげるさ。

じゃあ、ドワーフ達のとこに行くとするか」


フューリーのお陰でとりあえず目的は聞ける。

3人で工場から出たドワーフ達の元へと向かう……



「お前さん達のお陰で助かったぞ、皆を代表して礼を言わせてもらう……ありがとうな」


「ちょっと聞きたいんだが、なぜ人間に捕まって作業させられていたんだ?」


「なぜ働かされていたかはワシは知らんが……」


「そうか……とりあえずは子供達が村で待っているよ」


「何から何まで本当にありがとう……」


ドワーフ達は工房から出て行った。

俺達は拘束された人間の元へと向かった……



「お前らこんなことしてただで済むと思っているのか?」


the悪党の負け惜しみみたいなセリフ言うやついるんだな……


「それはこっちのセリフだな……ドワーフ達にやった分はしっかり返させてもらうぞ。

タニア、少し態度を改めさせてくれ」


タニアが拘束された男に近づき、膝を踏み折ると男は大きな叫び声をあげてのたうち回った。


「自分の立場が理解出来たか?

まだ解らない様なら、もう1本の足もイカせてもらうが?」


「すいません、すいません……」


泣きながらこっちを見上げている。


「立場が理解出来たならよろしい。

とりあえずお前に質問だ……なぜドワーフ達を捕らえて武器防具を造らせていたんだ?」


「……戦争を続ける為だ。

最近仕掛けたダークエルフとの戦争で、多くの仲間と装備品を失った我々だった。

人員の確保はなんとかなったが、装備品だけはどうしてもどうにもならなかったのだ……

その為にドワーフ達を捕らえ、武器防具を造らせたのだ」


「待て……なぜ捕えなければならなかったんだ?

普通に金を払って造らせれば良かったじゃないか」


「……金?金なんか軍が持っているものか!

全て金は教団が牛耳っているんだ……

戦争を始めたアイツらは指示するだけだ!全て我々軍が全て行動しなければならない!」


人間にとっても悪なのか……何がしたいんだ教団は……


「それで、金がないなら言う事を訊かせれば済むって考えた訳か……」


「そうだ……しかし、ここでは失敗してしまったという訳だ。

なぜお前は人間なのに、敵対してくるんだ?

しかも魔族なんかと結託して、何を……」


タニアがもう片足の膝を破壊する。

魔族なんかって言ったのに気を悪くしたんだろう……それと、もう少し態度を改めろって感じか…


「俺は俺の目的があるんだ。

しかしお前らはなぜ教団の言う事を聞いているんだ?

お前らには何の利益があるって言うんだ」


「……ハァ、ハァ……利益なんかないさ……

あるのは自分達が教団に逆らえば、想像も絶する仕打ちを受けて殺されるだけさ……

こんなこと仲間に聞かれたら、家族や親戚まとめて拷問されて殺されるな……いい見せしめにされてな……」


恐怖政治ってやつか……どれだけの組織なんだ教団は


「人間の殆どは教団に入っているヤツらばかりだ。

誰も文句なんて言わないさ……」


「内容は解った……

お前には選択肢を与えてやろう、ここから逃げ去るか、ドワーフ達に匿ってもらうかだ」


「ドワーフ達に匿ってもら……う?」


「そうだ。

どうせその足では逃げれないしな、それを選択するならば俺達がドワーフに話しをしてやる」


「そんな事が……解った。

そうさせてもらう、どうせ戻っても教団に良いように使われて、戦争で死ぬだけだ……」


「そうか、ならまずはドワーフ達の元へと向かうぞ。

おまえの名前は?」


「ラスだ……」


ラスを抱えてドワーフの村へと移動する。

何の公約も無いが、ドワーフ達にわがままを聞いてもらわなきゃいけない……



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