表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/213

奪還作戦

村から出ると外はもう日が沈んでた……ロロに工房と、子供達が捕まっているかもしれない場所を聞く、距離的にはそんなに離れていないようで、まずは工房の方へと様子見に移動する。


工房の入り口らしき場所には、見張りをしている人間が1人いる。

魔力探知で確認してみると、木の上にもう一人いるのが解った……


「入り口に1人と、木の上にもう一人居るようです。

両方一緒に黙らせられれば一番ですが、近づくだけでも難しいかもしれない状況なんですよね……」


今、俺達がいる場所は木から死角になる場所の茂みだ。

ここから出て見張りの2人を倒すとしても、すぐに見付かってしまい大事になる。

手段としては2人同時に倒すっていうのが1番なんだが……


「誰か上にいる敵を狙撃出来ないか?」


「私の魔法であの距離を正確に狙うのは難しいわ……」


ライラでは難しいか……確かに正確な場所も感知出来なければ、当てるのも厳しい距離だ。


「なら私がやりましょうか?」


「フューリー、いけるのか?」


「そうね……場所も解るし問題はないわ」


「それならば後は下の見張りだけど……」


「私に任せて下さい、気付かれずに倒すくらいなら出来ますよ」


発言したのはタニアだった。

彼女の実力も判らないし、ここは任せてみようと思う。

なんてったってサンドラ様のご推薦なんだから、全く心配はいらないだろう。


「解った。じゃあ、上はフューリーで下はタニアに任せる。

俺を含めた他の皆は周囲の警戒を頼む。

合図を出すのは遠距離を狙うフューリーが良いだろう」


作戦は決まった。

後は合図を待つばかりだ……

周囲に魔力探知を使い、近づく者がいないか確認している。

一応ブラッドにも広範囲での探知を頼んでおいた。

二重の警戒網を張っていれば、かなり安心だろう……


「それじゃあいくわよ……」


『待て!!』


フューリーからの合図を出そうとした時にブラッドからの静止がかかる。

同時に俺もフューリーに静止をかける……なんとか気付いてくれて止まってくれた。


『奥の方から多人数の反応だ。結構な数がいる』


「どうしたの?」


「奥から大人数で近付いて来ている」


自分の魔力探知を奥へと伸ばし確認すると、確かに結構な数が近付いて来ていた。

ブラッドにも頼んでいて助かった。

危うく正面から戦う羽目になってしまうとこだった……


少しづつ近付いて来て、視認出来る所まで来ていた。

人数が多かったのはどうやら子供達を連れて来ていたからだった……

これで全員の子供達がいるのかは判らないが、一気に片付ける事が出来るかもしれない……


「ロロ、見えるか?」


「うん、見える」


「捕まっている子供達はあれで全員か?」


「待ってて………………

正確じゃないかもしれないけど、殆どの子供達がいるのは間違いないよ」


「解った。ありがとう……

だけど、何しに人質の子供達を工房へ連れて来てるんだ?」


「解らないな……判断材料が少な過ぎる。

だがこれで手間は省けたんじゃないか?

ジン殿、このまま全員助けようじゃないか」


そこにいる人間の数は7人だ。

木の上の見張りを倒した後に突っ込めば、1人で1人づつ相手すればなんとかなるが、騒ぎたてられないように一瞬で終わらせないといけないな……

行動に移すなら早くしないと工房に入って行ってしまう。


「フューリー頼む、狙撃した後に一斉に仕掛ける。

みんな気を引き締めてくれ!」


一瞬で緊張が張り詰める。

失敗は許されない状況なのだ……


「いくわよ……」


フューリーが土魔法を勢いよく放つ、丸まった石じゃなくて尖った形に形成して飛ばした。

それを皮切りに、皆で飛び出す……

俺は脚力強化し、一瞬で敵との距離を殺した。

その後をタニアが付いて来ている……さすがは自分から言い出すだけのスピードだった。


上の見張りに狙撃が命中した瞬間に、ショーテルで手前にいた人間の首を斬る。

そして、次にたどり着いたタニアが、敵の開いた口の中に何かの魔法を掌底と共に打ち込むと、顔中から血を噴き出し倒れていった。


他の者がたどり着くまでに時間が少しある……その間に他の人間に攻撃を仕掛ける。

タニアも同じ考えの様で、2人同時に動き出した。

残るは4人だ……こっちに先に気付いた人間に向かってショーテルで喉を一突き、タニアも他の人間に手刀で首を裂いた。


遅れて来たライラがサーベルで眉間を突き、絶命させる。

次に着いたメロが水魔法で顔面を覆って、狙撃を終えて追ってきたフューリーが尻尾で串刺しにした。


これでここにいる人間達は全滅させたと思う……すぐさま魔力探知で周囲を警戒し、誰も居ないこと確認した。


「皆速すぎるぞ……」


最後に着いたウィリアム様が話してきた。


「急がないと危険でしたからね、上手くいって良かったです」


その後からロロが走って来る。


「みんなーーー」


「ロロ君!?

ロロ君だ!居なかったからみんなで心配してたんだよ」


子供達が泣きながら抱き合っている。

さっき起こった人間達の殺害に対して呆然としていたのにな……


「この人達が助けてくれたんだ。

今も皆を助けてくれたんだよ」


子供達が俺達を見回している。

ダークエルフと魔族に人間(1人は人間に化けているが)……まぁ他種族ばかりの一味だから珍しいんだろうか?


「皆さんありがとうございます。

でもまだお父さん達が捕まってるんだ……」


「心配しなくて良いわ、私達が助けてあげるから」


「お姉ちゃんありがとう……

でも、下にいる人間の数はいっぱいだよ」


「大丈夫よ。なんとかするから」


子供の扱いはライラが上手いな……

だけど、まずは子供達を安全な場所へと避難させないと。


「ライラとウィリアム様とメロで子供達を村で守っててくれないか?」


「でも、下の人間達が……」


「大丈夫だって、なんとかしてくる。

子供達をそこに連れて行くわけにもいかないだろう?

それに、少数の方が奇襲はかけやすいし、子供相手はライラが1番みたいだしな」


「解ったけど、本当に大丈夫なの?」


「心配すんなって」


「連れて行こうとしてる私達の心配はしてくれないのかしら?」


「フューリーとタニアの実力だったら心配なんていらないだろう?」


「言ってくれるわね……」


「私は問題ありませんよ。

ちゃんと助け出してみせます」


「……全く…じゃあ行くわよ」


「ライラ、子供達を頼んだぞ。

ウィリアム様、メロも子供達を守ってあげて下さい」


「解った。

無事に帰って来るんだぞ」


二手に別れ、俺達は工房に侵入する。

フューリーに見張りの1人に化けてもらい先行してもらう。

何が中で行われているのか解らないが、無事に助け出してやる……




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ