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着いた先は

昨日は色々あって疲れてしまったから、食事の後にすぐに休んでしまった。

翌朝早くに目覚めた俺は、朝練の相手もいない為、散歩に出た。

外はまだ薄暗く、明けゆく日の光を感じながら歩いて行く……


そういえば朝早くから釣りに行っていた時は、田舎でまだ暗い中をジイさんやバアさんが1人や犬を連れて散歩してたのを見て、何してんだって思ってたけど、俺もそんな歳に近付いてきたのか……

いやいや、昨日はたまたま早く寝たからだ。

まだまだそんな歳ではないはずだ……と思いたい……


そろそろ日も明けて来るといった時に、とあるものを見た。

そこに居たのはフューリーだった。

姿は人型ではなく魔獣の姿をしていて、明けてきた日に照らされ白い毛が美しく輝いていた……


「……ノゾキトハシュミガワルイワネ」


「覗きじゃねえよ。朝の健康的な散歩の途中だ。

お前は何してんだ?」


「……シツナイハ、ナカナカマジュウニトッテイゴコチワルイノヨ」


「いつも外で寝てるならそうかもな、俺は外で寝るのが落ち着かねぇよ……」


「ソトトハイッテモヤネグライハアルノヨ……ワザワザドウクツヲネグラニスルモノモイルクライダカラ」


「そうだよな、雨ざらしは辛いもんだからな……

話しを変えてもいいか?」


「……イイワヨ」


「魔獣の中で友人関係とかって結構あるのか?」


「……ソウネェ…ソンナニハイナイトオモウワ…

ドウシタノ?」


「いや……俺がここに来てから何体も魔獣を倒してきたからな…

もしかしてお前の友達がいたら悪いと思ってな」


話した直後にフューリーの姿が人型に変わる。


「魔獣の姿で長く話すと疲れるから姿を変えさせてもらったわ。

友達ね……私がそう呼ぶのはあくまで彼だけかしら…

それに、魔獣同士は特に仲が良いとは言えないわ。

縄張り意識が強いし、同じ魔獣でも弱者は喰われていくだけだし」


「そうか、もしお前が知っていたやつを倒していたら謝らなきゃいけないと思ったんだ」


「そんなの気にしなくても良いわ、結果として彼を助けるのに利用させてもらえれば良いから……」


イルニードの話しを詳しくした方がいいのだろうか……だけど、現段階で解っている情報だけでは解っていない事が多過ぎる。

もう少し整ってから話した方がいいだろう……その話題から自分が逃げている気がするが、裏をとる必要はあるだろうと思う。


「友じゃなくて、敵対している魔獣ならいるけどね」


「敵対している魔獣?」


「……そう、ここの領土の中での派閥かしらね。

森の中に住む私達と、山に住むアースドラゴン達よ。

長い事戦っているけど、直接アースドラゴンと戦えなくて決着が着いていないの」


「言っていいのか……」


「なに?言いなさいよ」


「そのアースドラゴンなら倒してきたんだけど……」


「倒したの?なかなか姿を確認出来ていないアースドラゴンを?」


「そうだな……そいつの素材があるから今はドワーフ達に色々と作ってもらおうかと思っていてな」


「山の奴らは焦っているでしょうね。

まぁいい気味だけどね……

だけど、どうやってあの硬い皮膚を攻略したの?」


腕輪の効力について説明をした。

実際に戦闘を行ったフューリーは、すぐに理解してくれた……


「……そうなの…あの時尻尾を引っ込めておいて正解だった訳ね。

引っ込めてなければ、今頃尻尾とはさよならしていたって事かしら」


「あの時は、殺されないように全力だったからな……

そんなに責めないでくれよ」


「ふふ…冗談よ。

さて、そろそろ戻りましょう。

彼女が起きて見付かって怒られる前にね」


「そうしよう…っていうか、冗談はよせよ。

彼女には通じないんだから」


「はいはい、解りました……でも、良い息抜きになるから止めれないと思うけど」


フューリーの言葉を聞いた後、少しため息を吐きながら戻っていった。




―――――――――――――――――――――――――――――――




戻った後に起きてきた皆と一緒に朝食をとり、支度が終わった後に入り口で集合した。

ウィリアム様は、目的の物を背中に担いで出てくる。

どうやら、目的の物と言っていたものは武器で、俺のショーテルを超えるサイズの大剣だった様だ。


スケジュール的には遅れてもいないので、時間通りに出発した。

再び馬での移動でドワーフ領へと向かって行く。

魔獣に襲われる心配もフューリーがいるから少なく、警戒に意識を割くことなく移動出来た。


当初の予定通りに行けば、明日の夕方にはたどり着く筈だ。

地図を見せたフューリーも間違いないと言っていた。


その日の夜は野宿の予定だったので、ライラと2人で仮設住宅を造った。

お陰でこの日もゆっくり休めるかと思ったのだが、夜にライラが部屋へと押し掛けて来て「一緒に寝ても良いかな?」と聞かれて断る事も出来ずに、一晩を理性と保ったままで明かす事になった……




翌朝、仮設住宅から出発し目的地を目指す。

途中何度か小休憩を入れながら、予定通りに目的地付近までたどり着いた。


入り口とされていた場所へと着くと、大きな木の間に門が造ってある。

門を開き中に入ると、下へと続く階段があった。

皆で階段を降りて行くと扉があり、それを開くと家々が建ち並んでいた。

しかし、どうも様子がおかしい……

ここに来るまで人っ子1人見ていし、今だって誰も居ないのだ。


「なぁ……ここはドワーフの村だよな……」


「その筈よ。地図にもここって描いてあるし、実際に家も建っているわ…」


「けど、おかしいよな……誰も居ない」


「家の中に入って夕食でもとってるんじゃないか?」


ウィリアム様の言う通り、今は夕食時だ。

だけど、家の中からも明かりが見えない……入って確かめて来るしかないか。


「ウィリアム様、行って確認して来ます。

ライラ、タニア、メロはウィリアム様の護衛を頼む。

俺とフューリーで行って来るから」


3人に指示を出し、中を確認しに行く……

この世界に来てから、いつも何か起こってる気がする……何も問題なければいいんだけど……




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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