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追跡

魔獣の死体を辿って助けに向かう。

3人で走って行くが、意外とメロが速い。小柄な男の子だけど体力はあるみたいだ。


「メロ、意外と走るの速いな」


「体力には自信がないんだけどね〜、走るのは得意なんだよ〜」


……走るのに自信がない?嘘だ、既に1キロ近く走っているのに息一つ乱れていない

結構な距離走って来てるけど、体力がないなんて……


『メロに魔力探知を行ってみろよ』


急にブラッドから声を掛けられる。魔力探知を行えって、何かそれで解るのか?

少し疑問を持ちながらも魔力探知を行ってみる。

すると、メロの体の回りに魔力が覆っている。もしかして……


『これって、魔法纏いなのか?』


『ちょっと違うな、魔法纏いは人間族が使っている技法だろ。

そうじゃなくて、アイツは回復魔法を自身にかけ続けながら走ってるんだ』


それで全力で走っても疲れない訳か……でも、魔法をかけ続けながら走るんだったら魔力使い切ってしまわないか?


『メロの魔力量ってどれくらいなんだろうな?』


『そうだなぁ……サンドラってやつに近いな、ありゃ相当なもんだ』


サンドラ様に近いなんて……魔族はバケモノ揃いなのか?


「メロってサンドラ様と戦闘したりとかするのか?」


「しますよ。って言ってもずっと撃たれっぱなしになるんですけど……」


その気持ちよく解る……俺も2度ほどやられたからだ。


「でも、回復魔法を使いながらですから、死にはしないんですけど〜」


「もしかして、あれを喰らい続けてるの!?」


「だって、避けれないですもん……」


たまげた……あのサンドラ様の魔法を喰らっても回復魔法で無事って…

魔力量を上げる為の戦闘訓練って事か……死と隣り合わせで鍛われる。さぞかし痛いだろうに……

それをやっているから、走りながらの回復魔法なんて造作もない事なんだろう。


「色々と大変だな……」


「はい〜、でもお陰で魔法についての耐性も強くなりましたし」


マゾっけがある様に聞こえた……体質と正確に合ってる修行なんだろうな……これ以上は聞かない様にしよう。


「ふ、2人とも…速すぎます……」


話しながらずっと走って来たが、ライラの事を考えてなかった。


「ごめんライラ、メロ少し待っててくれないか」


「解りました〜」


「そんなに全力で走られたら…付いて行くので精一杯で……こっちこそごめんなさい」


「ライラが謝る事ないさ、背中に乗りなおぶって行くから」


「……ありがとう、付いてきて足でまといになるなんて……メロちゃんがあんなに速く走れるとも思ってなかったし」


確かにそれは俺も思ってなかった。

だけど、サンドラ様から任されるぐらいだ……これくらいは当然なのかもな……

ライラを背中に担ぎ上げ、待たせたメロと一緒に走って行く。


しばらくすると、魔獣の死体から出ている血が固まっていないのに気付く。


「メロ、ライラ、もうすぐ近くかもしれない、魔獣は戦闘体勢をとっているはずだ。

ここからは気を抜かずに移動するぞ」


メロは頷き、ライラは俺の背中で周囲の警戒を強めた。

森を抜け、少し広い草原に着くと、まだ息のある魔獣がいる。

それと、先からは魔獣の唸り声が聴こえてくる。


草原は丘の様になっていて、向こう側が低くて先が見えない。

丘の頂上部分に到達すると、魔獣の群れが確認出来た。まだまだ相当な数が襲っている。

それと、その先で戦闘している複数のダークエルフ達も見える。


「俺は先に突っ込むから、後ろから追いかけて来てくれて」


ライラをその場で降ろし、一気に群れに向かって突っ込む……

俺に気付いた数体のオオカミ型の魔獣が襲いかかろうとするが、ショーテルで一斉に斬り倒す。

そして、土の魔法剣を使い広範囲の魔獣を薙ぎ払う。

流石に大体数の魔獣がこっちに気付くが、その時には遅い……長さ10m程の魔法剣が魔獣に襲いかかる。

後方から、ライラが風の魔法剣で斬撃を飛ばし、メロは土魔法を使い岩を飛ばして援護してくれている。


土の魔法剣で固まった魔獣を掃討した後、風の魔法剣でライラと同じく斬撃を飛ばして倒していく。

魔獣自体はさほど強くはなく、片付けるのは問題ないだろう……


急に前と後ろからの挟撃にあった魔獣達は戸惑い、どんどんと数を減らされていく……


もう少しでたどり着くと思った瞬間、白い一体の魔獣が腕を振りかぶってこちらに向かって突進して来た。

急ぎ魔法剣を解き、ショーテルで攻撃をガードするとそこには、白い狐の魔獣がいた。


「……ナゼワラワタチノ…ジャマヲスル」


魔獣が喋った!?魔獣化された人なのか?


「お前は魔獣なのか?それとも人なのか?」


「……シツモンノイミガワカラナイ」


「元々人だったのかって聞いてるんだ」


鍔迫り合いの続く中、会話が続いていく。少しでも気は抜けない……


「……ヒトガ…マジュウ?ナオサラワカラナイ」


「そうか、なぜ話すことが出来るんだっ」


腕を押しのけ、狐型の魔獣と距離を置く。


「……ソウカ、ハナシガデキルマジュウハハジメテカ…ダガコレデ、サイゴニモナルダロウ」


狐型の魔獣は飛び蹴りを放ってくる。それを、ショーテルで防御すると、その足でショーテルを横にズラし回転して、もう片方の足で回し蹴りを放つが仰け反って避ける。

両足をショーテルが持ち上げられない様に力を入れたかと思うと、仰け反っている俺に向かって尻尾で追い討ちをかける。

急ぎ横に飛び退き直撃を避けたが、肩にカスった……尻尾の毛は1本1本が尖っており、複数の切り傷になっていた。


「……ヨケルナンテスゴイジャナイカ、タノシクナッテキタワ」


「俺は怖いばかりだ……」


だけど、コイツに興味が湧いてきた。なんとか生け捕りにしたいとこだけど、難しいかな……



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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