表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/213

旅路

サンドラ様の宿舎に着き、中へと通された。

中へと入ると、サンドラ様は既に待っていたようで若干ご機嫌斜めだった。


「遅いぞ!朝一から出発する予定じゃなかったのかい?」


「サンドラおばさん、まだ日が明けてそんなに経ってないと思うんだが……」


「朝一と言ったからには、日の出と共にと言うのが相場で……」


「すいません。遅くなってしまい申し訳ありませんでした」


こういう時は謝るに限る。

色々と言い訳すれば、どんどん立場が悪くなってしまう。


「最初から謝ればよいのだ。まぁよい、もう行く準備は整っておるのだろうから、ごちゃごちゃ言うまい」


「ありがとうございます。それで、同行してもらえる方はもういらっしゃるんですか?」


「今は別室で待たせてある。呼びに行かせるから待っておれ」


横に立っていた従者らしき人、呼びに行く為に出て行った。


「サンドラ様、ちょっと別の話しをしても?」


「構わんぞ」


「ありがとうございます。前に言っていたキャメロの事なんですけど」


「あぁ、それならば会ってみた。戦争の時に居ったやつだったのか、言ってくれれば最初から会いに行かずに済んだものを」


「すいません。その事をすっかり忘れてました。

それで、どうです?サンドラ様の見た感じでは」


そういえば会っていたの忘れてた……実際に一緒に戦闘なんかしていないから、実力は判らないだろうけど。


「……魔力量は多くないけど、鍛えればそこそこ強くなると思うのだけど……いかんせんあの性格はどうにかならんのか?」


「……臆病って事ですか?」


あった時に何があったのやら……ただ話しをしたとかの次元じゃなさそうだ。


「ちょっと呼び出して、実力を測ろうと腕試しをしたのだが、ずっと逃げ回っておったぞ」


いやいや……サンドラ様の攻撃を逃げ回れるだけ十分だと思うんだけどな……実際俺だって必死なんだし。


「でも、サンドラ様の攻撃を避けていたなら素質はありますよね?」


「確かに1度も攻撃を喰らわずに魔法で回避しておったが……まぁよい、十分に鍛え直してやるわ」


「よろしくお願いします。彼は戦力として期待してますから」


キャメロ……性格直される程の修行がどんなものか判らないが……頑張れ……


「失礼致します。サンドラ様、呼んで参りました」


「そうか、ならば早く入れ」


後方から1人の女性と少年?が入って来る。


「紹介しよう、女の方が妾の部下でタニア、そして男の方は妾の弟子のメロだ。

タニアは魔法を使いながらの近接戦闘を得意としておる」


「ご紹介頂きましたタニアと申します。旅の間よろしくお願い致します」


「そして、メロは魔族の中でも珍しい回復魔法使いだ」


「メロと申します!よろしくです」


「2人とも頼りになると思うぞ、タニアは独特な近接戦闘だが、妾の部下の中では5本の指に入る。

メロに至っては、まだ若いのに回復魔法はほとんどと言っていい程使える」


「お褒め頂きありがとうございます。ご期待に応えられる様に努力します」


「僕も足でまといにならない様に頑張ります」


「紹介も済んだし、何もなければ行ってよいぞ」


「はい、ありがとうございます。では行ってきます」


サンドラ様の宿舎を後にし、ようやくメンバーが揃い旅路が始まる。

1枚の地図を持ち、まだ見ぬ土地へと出向く……

なんだかRPGっぽいな、始める異世界に来てワクワクする。戦争中で不謹慎かもしれないが、ちょっと楽しいぞ。

ドワーフ領……どんな所だろうなぁ、気のいいドワーフが陽気に迎えてくれるとかあるのかな……




―――――――――――――――――――――――――――――――




途中までの移動は、前と同じで馬に乗っての移動だ。

途中、ウィリアム様の城で1泊してから翌日にはまたドワーフ領へ向かう手筈になっている。

何やらウィリアム様が戻って持って行きたい物があるらしい……

城までは馬で半日程の所らしいから、夕方前には着く予定だ。


道中は魔獣に襲われることなく、穏やかに移動が出来た。

一旦食事をする為に、馬から降りた際も全く魔獣から襲われることはなかった。


しばらく移動すると襲われなかった原因が判明する。

道の途中で魔獣の死体が大量に転がっていたのだ……死んでいる魔獣には、剣で斬りつけられたであろう後や、弓で射貫かれた死体などで、明らかにここで戦闘が行われたであろう痕が残されていた。


「誰かが戦っていた様ですね……」


「しかし、尋常じゃない死体の量だ。戦闘の痕を見ても、複数で戦っているのが解るが、この量は異常だ……」


「そうですね……ですが、まだ人の死体はありません。どこかでまだ戦っているのではないですか?」


「そうかもしれんな、時間には少しだが余裕がある。助けに向かおう」


ウィリアム様の指示に皆が頷き、死体の方へと移動を開始する。

長い距離で死体が続いていて、途中から森の方に入って行っていた。


「ウィリアム様、馬ではこれ以上進めません。

だけど、ここで馬を離すには距離があります。

そこで、馬を見張り護衛する者と、助けに向かう者とで二手に別れませんか?」


ライラからの提案だった。確かにここで移動スピードを落とすのは厳しい。

二手に別れれば馬を確保したままで探索に行けるから、その後も安心していられる。


「じゃあ、自分が行きましょう。後は、負傷者もいるかもしれないのでメロも同行して欲しい」


「そうだな。では私も……」


「「ウィリアム様はここで待ってて下さい!」」


ライラとハモってしまった……


「なんでだ?私だって十分な戦力だぞ、どうしていかんのだ」


「非常に言いにくいのですが、もしも混戦になって離れ離れになってしまったとしましょう。

その時に、自分やライラであれば十分帰って来れます。が、前回の例を見ても、ウィリアム様が戻って来れるとは考えにくいんです。

自分からのお願いと思って、ここはご了承頂きたい」


精一杯、理解してもらえて失礼のないように言葉を選んだつもりだ。

二次災害だけは勘弁して欲しい……


「う、うむ……そうだな、解った。それならば、ライラとジン殿とメロの3名で追いかける。

そして、私とタニアは馬とここで待つという事だな」


「はい、ありがとうございます。

では、私達で行ってきます。もし、夕方までに戻って来ない場合は、先に城へと戻ってて下さい。

地図はタニアさんに預けて行きますので」


なんとか納得してもらったと言うより、後で怒られるのが怖かったので、引き下がってくれたんだろう。


とりあえずは急いで追いかけて、生存しているなら助けないと……



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ