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魔獣化

ケインと別れ、負傷していたブランの所へと向かう。

出血も無かったし、回復魔法を使ってもらえてれば起きているだろう。


ブランが運び込まれたのは、試験中に怪我した場合にと思って造った医務室だ。

場所自体そんなに離れていない為、すぐにたどり着いた。


医務室に入るとブランが横たわっている。

まだ気を失っているのか……起こすのも悪いから少し様子見て、起きなければ明日にでも話しをするか。


『ご主人!』


久しぶりにショウから話し掛けてきた。


『どうしたショウ?』


『この人危険ですよ!身体の中で魔力が暴れてる』


『どういう事だ?』


『僕にも解らないんだけど、決して良い状態じゃないよ』


『でも危険って言ったよな、何が危険なのか……』


『それはこの前のイルニードと近い状態だって事だ』


『ブラッド、まさか人の魔獣化って事か?』


『魔力の流れはそれに近い……イルニードはそれに対応する様に体を馴らしていたって言っていたが、彼はそうじゃないから体が抵抗しているんだろう。

しかし、放っておいていい状態じゃないのは確かだ』


『けど、どうしろと?今からアリを呼びに行って間に合うのか?』


『解らないが、どんどんそれに対しての抵抗力が弱まっているのは確かだ。いつどうなってもおかしくないだろう……』


『くっ…ショウ、急いでアリを探しに行ってくれないか。俺は何かあった際に居ないといけない』


『解ったよ。待ってて!』


ショウを召喚して城に急がせる。間に合うかどうか怪しいが、出来るだけの手は打っておかないと……


ブランの体に異変が現れた。顔と手足に白い毛が生えてきている。魔獣化の全長じゃないのか?


『ブラッド、これって大丈夫なのか?』


『いや、既に抵抗出来る力は消滅しそうだ……構えろ、いきなり襲われるかもしれん』


話してる間にも魔獣化は続いている。だが止めようがない……遂には顔まで変化してきた……


体の変化が止まった。まだ起き上がって来ないし、意識は回復していないが魔獣化が完了している。

見た目はガルーダと言った感じか……


しかし、このまま起こさず待つのか?起こせば危ない気がするし、起こさなかったらこっちがいつまでも気を張っとかなきゃいけないから疲労がどんどん蓄積していくだろう。


よし……起こそう。イルニードの時は意識を保っていたじゃないか、今回もそうかもしれないし


『ブラッド、このままじゃ埒があかないから、ブランを起こすぞ』


『だが、起こして何があるか解らないぞ。上手く落ち着けば元に戻る可能性もあるかもしれない』


『いや…待ってたら何時になるか解らない。それなら起こして、早急に問題解決したいんだ』


『……解った。気を付けろよ』


ブラッドも心配してくれているが、今は行動したい。結果がどうなるか解らないけど、この緊張感に耐えきれない。

まずは自分の心を落ち着かせて……よし、じゃあ声を掛けるぞ。


「……ブラン、起きてくれブラン……」


声を掛けるとゆっくりと目を開けている。


「大丈夫か?俺の事解るか?」


ゆっくりと起き上がっている……俺の声に反応している訳ではない。そこから立ち上がり、こっちを見る。

臨戦態勢をとる。いつ何が起こってもいいように……


「ブラン解るか?俺だ…仁だ。解っていたら返事をくれ」


静寂……一切返事はない。話せないだけ何か?でも、イルニードが魔獣化した時は喋っていたけど……


魔獣化したブランの口が開く


「クゥワァーーーーーー」


『お前さん威嚇されている様だぞ……』


『だな、戦うしかないか……』


ブランは咆哮の後に構えた。そして、次の瞬間にはその場から消えた。

魔力探知を行い移動した先を探すと、自分の斜め後方の壁に飛び付いていた。

既にこっちに攻撃出来る状態であり、今にも飛びかかろうとしている様に感じとれる。


《ガァーン》


壁を蹴る音が聴こえた。俺めがけて跳んで来ている。

その場から急いで回避を行うと、自分の横を一瞬で通りすぎて行く……


『速いな……これが連続でくれば回避出来ないな』


『どうする?融合して早めに決着を着けるか?』


『この前は相手がイルニードだったから手加減しなかったけど、今回は殺さない様にしなければいけないだろ。

融合してその調整が上手く出来ないと厳しい、とりあえずは融合なしの全力で戦ってみる』


ブラッドと話してる間にも、ブランは攻撃を開始している。

壁から壁へと跳び移って攻撃を繰り返している。魔力探知でなんとか追えているが、視線は追いつかない。

全ての攻撃を探知だけで回避しているが、どんどん速くなる。このままだと危険だと思い、後方に土魔法で壁を造った。

これで後方からの攻撃は避けられる。後は、前方から来た時になんとか反撃しないと……


そう思っていた矢先に、ブランは後方の壁に向かって跳んで来ている。


まさか……

急いで壁から離れると、壁が粉々になって破壊された。一瞬遅かったら、破壊された壁の瓦礫でダメージを負っていただろう……


壁を破壊した魔獣化ブランは、壁で勢いを殺されそこに着地しようとしている。


今を逃せば、また壁から壁への跳躍が始まる。脚力を強化し、着地までの間に攻撃を仕掛ける。


一瞬で距離を詰め、飛び出した勢いを利用した回し蹴りを放つ。ブランは腕を交差しガードする。


回避を選択せずにガードしてくれるか……ありがたい。


回し蹴りが当たり、ブランは後ろへと吹き飛んでいくが、壁には激突せずに途中で堪えた。


「グラァーーー!」


怒りに満ちた声を発するブランが再び壁への跳躍を開始する。

今度は直接狙わずに、助走代わりに壁から壁へと跳び移り、どんどんスピードを速めていく。

魔力探知で追う事は可能だが、どの瞬間に来るかを感じとらなければならない。神経をすり減らす作業だ……


スピードがさっきのマックス近くになった。そろそろか?


後方でさっきまでの壁を蹴る音と違い、大きな音をたてる。そして、その方向からブランが向かって来る。


それを確認出来た瞬間に魔法を発動させる。

さっきの蹴りと同時に爆破魔法を引っ付けておいたのだ。大規模な爆破は無理だったが、跳んで来るブランを下に叩きつけるぐらいの威力はあるだろう。


ボンっという音がし、ブランは地面に落とされ、地面を勢いよく滑って来る。

後ろを振り向き、狙い通りにいったのを確認すると、滑って来るブランの顔面に向かってサッカーボールキックを放つ。


蹴りで滑ってきたブランの顔を蹴り上げ、その場で一回転すると、俺は蹴り上げた足を戻し反対の足で無防備なボディにミドルキックを放つ。


なす術なくブランは横の壁に激突し壁にメリ込んだ。


これで終わってくれれば良いのだが……




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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